ショールーミング対策とは?スマートフォンの登場でリアル小売りとECの闘いが激化

EC(Eコマース)



これまでイノーバブログで何度かショールーミング(Showrooming)を取り上げてきた。ショールーミングとは、消費者が、小売店の店舗に行った際に、「商品を見るだけ」で買わない、実は安いネットショップで買うなどの現象を指している。前回のブログ記事で紹介したように、リアルの小売りは、ショールーミングにより収益を奪われており、小売業の世界で大問題となっている。イギリスの調査会社Euro Monitorがショールーミングの対策を考える上で、良いフレームワークを提示しているのでご紹介したい。

ショールーミングへの8つの対応策

消費者サイドからのショールーミング対策

ポイントプログラム(Loyalty Scheme)

一般にはロイヤリティプログラムと呼ばれリピート購入を促すものだ。日本ではポイントプログラムと呼ばれ、家電量販店、コンビニ、主要な小売店ではほぼ標準的なサービスとなっている。ポイントプログラムは、ポイントを貯めたいという消費者の心理を活用したもので、価格競争を避けつつ、顧客をリピート化させる事が出来るため、ショールーミング対策として非常に効果が高い。

分割払い(Credit Facility)

Credit Facilityとは、消費者にローンやクレジットカードの形で分割払いでの支払いオプションを提供する。信販会社と組んでローンを提供する、自社ブランドのクレジットカードを発行するなど。かつて、丸井が大成功した原因は、丸井の赤いカードである事は有名である。

修理・メンテナンスサービス(Repair/Checkup Service)

単価の高い商品は、修理やアフターサポートなどの関連サービスを提供するのも有効な施策である。修理が無料で受けられる、訪問での家電設置サポートが無料などとなると消費者に安心感を訴求できるだろう。

例えば、Appleストアは保証期間内であれば、積極的に新品交換を行う。待たずに新品が手に入るという事で、これがAppleのブランド価値を上げる事に寄与しているのは間違いない。ちなみに、引き取られた故障品は、工場で修理されて、新品同様にした上で、工場再生品(Refurbished)として主として米国で割引販売される。消費者の多くは、ネットショップのアフターサポートに不安を感じているので、この点は、リアルの小売店の大きな強みとなるだろう。

ECサイトと同価格での販売(Online Price Matching)

これは競合するECサイトに価格で対抗し、最安値で商品を提供するというもので、もし実現できれば、非常に有効な施策になるだろう。しかし、ネット通販サイトの競合他社の価格を調査するには、手間と時間がかかり簡単ではない。場合によっては専任のスタッフが必要となるだろう。

サプライヤーサイドのショールーミング対策

独占契約(Exclusive)

メーカー/サプライヤーと独占販売の契約を結び、ECの会社を含む他社が商品を取扱えないようにする事である。独占販売契約は、昔からある商習慣であり、サプライヤーと小売りの間の中長期的な取引関係を構築する事も出来る良い施策だ。

大手の小売であれば、一部の商品について、メーカーに独占販売権を求める事が出来るだろう。一方でサプライヤーは、独占販売契約の条件として、小売店に販売目標やプロモーションの施策を約束させるなどして、特定の商品の販売を増やす事ができる。Appleが、自社の商品を扱う販売チャネルをコントロールしているのがいい事例になるだろう。

プライベートブランド(Private Label)

自社の製品ブランドを立ち上げるのが、いわゆるプライベートブランド戦略である。これは、ショールーミングに対する強力な対策だ。特に、自社のブランド力が確立している場合には、非常に有効な戦略となり得る。英国では、自転車の通販サイトが人気で、リアルの自転車店が苦境に立たされており、対策としてプライベートブランドの自転車がリリースし、大成功したという事例がある。この施策は、サプライヤーとの協力関係と一定額の投資が必要となるが、ショールーミングを阻止する上での究極の作戦と言えるだろう。

ショールーミング対策のまとめ

以上、Euro Monitorのフレームワークに従って、ショー・ルーミングの防止策を見てきた。

サプライヤーサイドの対策は、効果も大きいが、大きな施策となるため、企業をあげた取り組みが求められるだろう。

一方で、消費者サイドのプログラム、例えば、ポイントプログラムなどは、比較的簡単に立ち上げる事ができるが、逆に簡単に真似されやすい。

結局、本質は顧客満足度を高め、顧客が来店してくれる理由を高めていくのが第一だろう。顧客がロイヤリティを感じていないブランドは、いかに頑張っても、消費者の指示を得るのは難しい。

今後、スマートフォンが普及するにつれて、消費者は、ますます情報を検索するようになる。消費者に支持されない企業が生き残る事は極めて難しいだろう。

アメリカのオンライン小売りであるZapposなどは、インターネットの常識に反して、顧客サポートにコストかけることで、顧客ロイヤリティを高めているのは有名である。

自社の提供する価値がなんなのか、顧客の満足度を高めるにはどうするべきか、真剣に検討するべき時期が来ていると言えるだろう。

どうだろう?参考になっただろうか?意見、コメントなどを是非よせて欲しい。

出典:ショールーミング:防止のための戦略とテクニック(Showrooming: Prevention Strategies and Techniques)