ポイントは疑似体験!遠い国の話と思われないための、慈善団体プロモーション事例

デジタルマーケティング

食料問題や医療問題・難民の支援・紛争地域の民間人への支援など、世界中にはさまざまな活動を行う慈善団体がある。

こうした団体は、一般の人からの寄付やボランティアによって成り立っているケースも多く、自分たちがどのような活動を行っているかをアピールすることは、非常に重要な意味を持っている。

しかし、こうした活動は、日常的に目にする機会が少なく、ほとんどは、日本以外の場所で行われている場合も少なくない。そのため、「遠い世界のどこかで起こっている話」と思われがちで、寄付やボランティア参加といった、実際のアクションを引き出すことは簡単ではない。

こうした問題を抱える慈善団体は、いったい、どのようなプロモーションを行う必要があるのだろうか。その具体的な事例をご紹介したい。ポイントは、「実際に体験してもらうこと」である。

これであなたも、立派な密猟者!?

最初にご紹介するのは、ドイツで動物の保護を行っている団体、「Pro Wildlife」の事例だ。

同団体は野生動物の密猟禁止を訴えるために、ある切手を制作した。まずは、どのようなものかご覧いただきたい。

慈善団体,プロモーション,体験,ポイント,アクション,Pro Wildlife, Save the Children出典:The inspiration/Pro Wildlife - Stamping Down On Poaching By Gurtlerbachmann

切手のなかで表現されている、サメのひれやサイの角、ゾウの牙は、いずれも高値で取引されるため、密猟しようとする者が後を絶たない。捕獲され、身体の一部を「切り取られた」動物は、そのまま命をも奪われることになる。この切手は、そこに焦点を当ててつくられた。

切手を使うためには、動物のひれや角、牙の部分を、「切り取る」ことになる。それは、密猟者が、獲物に対して行っている行為を思い起こさせるものだ。さらに、動物の命まで奪っていると考えると、あまり気分のいい体験ではない。

しかし、こうした疑似体験をしてもらうことで、密猟を、より不快なものとして印象付けることができるのは間違いないだろう。

このキャンペーンは、新聞などのメディアでも取り上げられるなど大きな話題になり、同団体のホームページのアクセス数も4倍に成長した。

壁のなかに閉じ込められた子どもを救え

次に紹介するのは、子どもたちを支援する民間団体、「Save the Children」の事例だ。

世界中には、教育問題や食料問題、自然災害など、さまざまな危機にさらされている子どもたちが多くいて、なかには、緊急の支援を必要としているケースも少なくない。

こうしたケースがあることを知ってもらおうと、同団体が制作したのが、崩れそうなレンガのなかに、少女が閉じ込められているというインスタレーション(オブジェや装置などを含む「空間」を体験する作品のこと)だ。

少女は、あくまで映像ではあるが、設置されたのがデンマークの首都・コペンハーゲンの中央駅とあって、多くの人々の注目を集めた。

レンガのなかに閉じ込められた少女Melikaは、「足が挟まって動けないの。助けて!」と悲鳴をあげていて、痛ましい。彼女を救うための方法はひとつ。この光景を写真に撮り、Instagramで、#HVERTIMETALLEというタグを付けて投稿することだ。

足を止めた人が指示の通りに投稿すると、少しずつレンガが取り除かれていく。それを見た別の人が、「それなら私も」と投稿すると、さらにレンガが取り除かれていくのだ。最終的に全てのレンガが取り除かれると、スクリーンの奥からMelika本人が飛び出してくる。つまり、写真を投稿した人たちによって、彼女は救われたということになるのだ。

さまざまな危機にさらされている子どもたちを助けることは、決して簡単なことではない。しかし、疑似体験とはいえ、Melikaを助けることで、「子どもたちを救うことは、自分にもできる」ことを実感できるという仕組みだ。

Free Melika - Rescue Mission at the Copenhagen Central Station

https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=zR1bRfg6vyI

「遠い国の話」と思われないために

日常的に目にしていないものを実感することは、誰にとっても簡単なことではない。それが、普段興味を持っていない分野であればなおさらだろう。

しかし、今回ご紹介したような疑似体験を通すことで、自分にも関わりがあることを認識させ、世界中にある、さまざまな問題を考えるきっかけになるだろう。

大切なことを「遠い世界のどこかで起こっている話」と思われないために、今回の事例が参考になれば幸いである。

参考元: Pro Wildlife - Stamping Down On Poaching By Gurtlerbachmann Save The Children: Free Melika

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