レッドブルにみるコンテンツマーケティングの方法

コンテンツマーケティング
エキサイティングなスポーツを見て興奮した時や、過酷なレースに挑んだアスリートが勝利を手にした時、その興奮や感動を誰かに伝えたい(シェアしたい)と思ったことはないだろうか?
「レッドブル、翼をさずける」というキャッチコピーで有名なレッドブルは、F1やバイクレース、スノーボードなどのスポーツを支援し、スポーツイベントを通じてブランドのエンゲージメントを高めてきた。
レッドブルが配信するコンテンツは多くのユーザーに興奮と感動を与え、ソーシャルメディアを通じて世界中でシェアされている。そのアグレッシブかつエキサイティングなコンテンツの一部を紹介しよう。
目次
地上3万6576メートル!同時に4つの世界新記録を樹立した成層圏からのフリーフォール・プロジェクト「Red Bull Stratos」
Red Bull Stratosは、地上3万6576メートルからのフリーフォールを行う前代未聞のプロジェクトだ。
このプロジェクトで、フェリックス・バウムガートナーとレッドブル・ストラトス・チームは、最高高度の有人気球飛行、最高高度からのフリーフォール、動力補助不使用での音速を超える人類初のフリーフォール、さらにはフリーフォールにおける最長垂直落下と、4つの世界新記録を同時に樹立した。
神聖な寺社の境内をマウンテンバイクが駆け抜ける「Red Bull Holy Ride」
険しい山の斜面を駆け抜けるスリリングなマウンテンバイク(MTB)ダウンヒル・レースを、神社や寺といった「聖なる場所」で実施するレースが「Red Bull Holy Ride」だ。
第1回レースは2010年に京都にある石清水八幡宮境内の表参道、第2回レースは2011年に愛媛県西条市の石鎚神社本社境内、第3回レースで勝運の寺として有名な大阪府箕面市の応頂山勝尾寺(かつおうじ)境内にて開催された。
120人の参加ライダー達は、境内に設置された全長約500メートル、石段約250段、最大傾斜約25度という難易度の高い特設コースを駆け抜ける。
マウンテンバイクと寺社という、一見ミスマッチな組み合わせが実にユニークである。
世界トップクラスのFMXライダーがダイナミックに宙を舞う「Red Bull X-Fighters」
マドリードの闘牛場やリオ・デ・ジャネイロのサンバ会場、ギザのスフィンクスやモスクワの赤の広場など、都市や国を象徴する場所や世界遺産の前で開催された「Red Bull X-Fighters」。
世界トップクラスのフリースタイルモトクロス(FMX)ライダーたちが、制限時間内に一連の技を競い合う。
2014年5月24~25日には、日本人予選と本戦予選が大阪城公園の西の丸庭園にて開催された。ライダーがダイナミックにジャンプする姿は圧巻だ。
商品のPRをしない?感動がバイラルを生む徹底したコンテンツマーケティング
どのコンテンツを見ても、「レッドブル」というエナジードリンクがほとんど出てこないことにお気付きだろうか。
レッドブルのコンテンツマーケティングは、購入促進のために商品をPRするコンテンツの作成ではない。主催するスポーツイベントを通してユーザーと接点を取り、エキサイティングな感動や疑似体験を与えているのだ。コンテンツの主役は商品ではなく、真剣勝負を挑むアスリートだ。
人は興奮や感動を誰かに伝えたくなるものである。アスリートが奮闘し、勝利を手にする姿にユーザーは共鳴し、心を揺さぶられる。共鳴が感動と興奮を呼び、ソーシャルメディアでバイラルを生むのである。
レッドブルはスポーツの他に音楽やゲームイベントもサポートし、「Red Bull TV」で多彩なコンテンツ配信を行っている。
また、FacebookやTwitter、Google+、Instagram、YouTube、Pinterestと多数のソーシャルメディアアカウントを持ち、活用している。
2014年6月4日現在、レッドブルのYouTubeチャンネル登録数は352万2577人、Facebookフォロワー数は4362万人、Twitterフォロワー数は150万7178人と、世界中で多くのユーザーから支持されている。
コンテンツマーケティングを成功させるためのキーワード
設立から25年。1本目を販売した1987年からこれまでに消費されたレッドブルは、約350億缶を達成した。2012年の販売実績は、世界165カ国で計52.26億缶となっている。
売り上げの1/3をマーケティングに投資しているといわれており、多くは謎に包まれているが、めざましい販売実績は徹底したマーケティング戦略の成果といえるだろう。販売チャネルを絞ることで、価格競争に左右されずにブランド・ロイヤリティを保っている。
ところで、レッドブルの缶はリサイクルされることをご存じだろうか。
一度回収されると、リサイクルされて市場に出る。リサイクルされ続けることで新たな価値を生み出す。
コンテンツも同様だ。コンテンツがシェアされ続けることで、新たな価値を生み続ける。「シェア」と「継続」は、コンテンツマーケティングを成功させるための重要なキーワードだ。
まとめ
レッドブルのコンテンツマーケティングは、売りたい商品やサービスにスポットを当てた従来の日本企業のコンテンツと比較すると、異色に見える。
彼らのコンテンツマーケティングのすべてを真似できるわけではないが、ユーザーが自らシェアし、支持したくなるコンテンツを作る者こそが、コンテンツマーケティングの勝者と言えるのではないだろうか。
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参考:
How Red Bull Takes Content Marketing to the Extreme
Six marketing lessons from Red Bull Stratos
Red bull 公式サイト
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