リアルタイムビディングとは?アドテックから学ぶオンライン広告の最新トレンド

デジタルマーケティング
先週シンガポールでアドテックが開催されていたのをご存じでしょうか?
今回は、現地でイベントに参加していた友人に頼みこんで、ゲストブログを書いて頂きました。
テーマはデジタル広告の新しいテクノロジー、RTB(リアルタイムビディング,リアルタイムビッディング)についての報告です。
臨場感たっぷりのレポートです。お楽しみに。
アドテックに参加して
6月13日-14日の2日間、シンガポールで開催されたAd:Techカンファレンスに参加してきました!世界最大のデジタルマーケティングカンファレンスといわれるこのイベント、参加してみての感想は「とにかく楽しかった!」ということ。最先端のテクノロジーやケーススタディに触れられるとても実りの多い2日間でした。このカンファレンスを振り返り、中でも今回最も心に残ったトピックをご紹介したいと思います。
広告のイールドマネジメントとは?
イールドマネジメント(Yield Management)という言葉をご存知でしょうか?主にはHospitality(ホテル・レストランなど)の世界でなじんできたこの言葉に広告の世界で出会ったのはちょっとした驚きでした。航空券やホテルの価格が予約のタイミングで変わってくるのは周知の事実。それは売上げを最大化するためにその時点で可能な最大価格をシステマティックに算出し、売上げの最大化を図っているから。
RTB(リアルタイムビディング,リアルタイムビッディング)
それと同じように広告の世界でも、その時可能な最高の価格で売る、というのが今ホットなRTB(リアルタイムビディング,リアルタイムビッディング)というシステム。つい先週FacebookもこのRTBを導入した広告枠を始めることをアナウンスしたばかりなので、注目している人も多いかもしれません。テクノロジーの発達によりここまでのことができるようになったのかと、私としては目からウロコなトピックだったのです。まずはそのメカニズムを簡単に説明します。
従来の広告の問題点
従来の方法では、広告主はオンライン上の広告枠を事前に買い、どんな消費者がその広告を目にしようとも関係なく決まった広告枠の価格を支払ってたのです。どんな消費者にターゲットを絞り広告をだすかはその広告枠の置かれている場所から想定できるものの、一人一人の消費者属性に合わせた広告出稿の判断まではできない、という状況でした。結果としてターゲットになり得る人にもそうでない人にも見せる広告枠を購入するという非効率性が生まれていたのです。
インプレッション単位で買える
そこで登場したのがRTB。一回一回のAd Impressionごとに、広告を出稿するか否か、またいくらで出稿するのかが入札されるのです。つまり、消費者といってもいろいろ。自社製品に購買意向を持ってくれそうな人かどうか、クッキーなどの属性情報から判断し自社にとって価値の高い消費者だと判断すれば高めの値段でその広告枠を入札する。逆に購買につながる可能性が低めだと思う場合には価格を抑えて入札に参加する。その結果、広告主はImpression単位でその広告出稿の価値を知って買えるのでお得、媒体側はauction方式でより高く売れるのでお得、というまさにWin-winの状況を作れるというわけです。
0.05秒で入札
このRTBの鍵は、膨大なデータを分析し瞬時にImpressionの価値を算出できるというところ。このプロセス全てがテクノロジーによりシステム化されているのです。Impressionが起こってから入札終了まで、わずか0.05秒!この速さがあるからこそ、リアルタイムで個別ターゲティング(「こんな人達(グループ)に広告を打ちたい」ではなく「この人(個人)に広告を打ちたい」)ができるようになっているわけです。
提案してくれる広告
これには興奮しました!このRTBを使えば、消費者の履歴から今何を買おうとしているのか、何を探しているのかがわかった上で関連する製品やサービスを見せられるわけです。
例えば、競合の製品を比較している人に自社の製品がより優れているといった広告を見せるとか、企業の採用活動を告知する広告を出す際にそもそも転職の意図のない人に広告を無駄打ちするのではなく、転職サイトをブラウザしている人に絞って広告を見せることもできるのです。当然、もともと探していた情報なわけですから、広告効果は大きく違ってくるはずですよね?今までは広告は嫌われがちなものだったのが、これからは“自分が欲しいものを提案してくれる”ものになるのかもしれません。
2015年にはUSにおけるIndirect Ad Salesの売上の65%を占めることになる見通しと言われていわれているこのRTB、日本でも昨年6月から導入され急速に伸びています。これを利用してどこまで精度の高いマーケティングができるようになるのか、これからが楽しみです。
消費財外資メーカー勤務、ブランドマネジャー
中谷和世 Kazuyo Nakatani
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