コンテンツマーケティングの3つの事例(不動産業界)

コンテンツマーケティング
アメリカでは、不動産会社がコンテンツマーケティングを取り入れる事例が増え始めている。
誇大広告や強引な売り込みによってではなく、「顧客が求める情報を提供して、彼らの側から近づいてきたくなるような会社になろう」というコンセプトの下、顧客にとって有益なコンテンツを制作しているのだ。
一方、日本の不動産業界のコンテンツにも面白い事例や顧客の役に立つものが見られるようになったが、どうも惜しいと思ってしまう事例が多い。
今回は、日米の事例を参考にしながら、日本の不動産業界におけるコンテンツマーケティングの可能性について考えていきたいと思う。
コンテンツの「ネタ」が豊富な不動産業界
不動産業界のコンテンツはどんなものにすべきか?このあと具体的な事例を見ていくが、かなり幅広いテーマの中からトピックを選べる。
「住まい」や「暮らし」に関する事柄というのは、実に多い。地域コミュニティーのイベント情報、ショッピング情報、インテリア情報、住み替えのための資金調達方法など、さまざまなトピックが考えられる。
「テーマの豊富さ」という点で、コンテンツマーケティングに取り組んでいきやすい土壌が既にある業界だと言える。そのチャンスを活かさない手はないのではないか?
しかし、テーマが豊富といえど、どのようにコンテンツマーケティングに取り組んでいったらよいのだろうか?以下では、その事例を紹介していきたいと思い。
1. HALSTEAD PROPERTY
HALSTEAD PROPERTYは、ニューヨークの不動産会社である。同社のブログは現在、顧客の興味を惹けるようなコンテンツを定期的に配信している。例えば、最近のブログでは、「ペットと泊まれるニューヨークのホテル一覧」を掲載していた。
このブログではまず、ホテル一覧を提供し、最後に「ペットと住める物件情報はこちら」というリンクを表示している。ここが日本の不動産賃貸のサイトとは大きく異なる。
日本の不動産賃貸サイトでは、「ペット可」のマンションをソートできるようになっていたりはするが、載っているのは「物件情報」のみだったりする。ペットの飼い主が必要とするコンテンツを提供することで、より「ペットと暮らす上での住環境の良さ」を訴求することができるのではないだろうか?
例えば、動物病院一覧や、ペット用品が買える店一覧など、ペットの飼い主たちの興味を惹けるようなローカル情報を提供するのもよいだろう。
ペット情報に限らず、このHALSTEAD PROPERTYのブログでは、このようなローカル情報や地域のイベント情報が多く見られる。これらのコンテンツを掲載することによって、その町でのライフスタイルをイメージしてもらい、興味・関心を喚起することができるのだ。
日本の不動産賃貸情報のサイトでも、街の歴史や地元店の情報などはよく見られるが、それだけでは足りない。思わずその町に暮らしたくなるような魅力的なコンテンツを配信することで、購買意欲を促進することができるだろう。
2.ナイス賃貸情報株式会社
日本でもすでにコンテンツマーケティングに取り組み始めている企業が存在する。
例えば、ナイス賃貸情報株式会社のサイトには、「素敵な街探し」 というコンテンツがあり、イベント情報が充実している。また、そのページ上で、興味のある地域名をクリックすると、施設や学校の場所を検索できるリンクがあり、その位置が地図上に示されるようになっている。
アメリカでも学校の情報を掲載する不動産会社のサイトがあるが、子供のいる家庭にとって、これらの情報は住まいを決める際の重要なポイントとなる。顧客が必要とするローカル情報をコンテンツとして発信していくことで、サイト内の滞在時間・リピート訪問を増やし、顧客とのエンゲージメントを高めることができるのだ。
3. Douglas Elliman
Douglas Ellimanは、ニューヨークの不動産会社である。 同社は 『ELLIMAN MAGAZINE』というオンラインマガジンに、不動産に関するファイナンスの情報や、マーケット情報を載せているのだが、下図のようにインテリアのグローバルトレンド情報も発信している。
インテリアなどの情報はビジュアルで訴求するのが定石だろう。オシャレなインテリアをコンテンツとして配信していくことで、「素敵な住まいを提供する会社」というブランドイメージ確立につなげているのである。
また、インテリアに限らず人々のライフスタイルに関する様々な情報を提供していくこともできるだろう。
例えば、旅行会社やホテル業界のオウンドメディアなどでゲストブロガーとして執筆したり、逆にこのような業界からゲストブロガーを招いたりすれば、コンテンツのテーマに幅を持たせることができるだろう。総合的に「素敵なライフスタイルをプロデュースする企業」というブランドイメージを確立できる可能性がある。
物件という商品では差別化が困難な場合、このようなブランディングが競合他社との差別化を図る1つの方法となるだろう。
日本の不動産会社のサイトにも面白いコンテンツや有益なコンテンツがある
さて、海外の事例を中心に見てきたが、先述の「ナイス」のように日本にも優れた事例があるので、覗いてみてほしい。例えば次のようなものが挙げられる。
1. 面白いコンテンツ
2. 顧客の役に立つコンテンツ
この他、ローカルな不動産会社のサイトにも面白いコンテンツがあるので、覗いてみてほしい。
見込み客を増やすために、サイトをもう一度見直そう
このように、日本の不動産業界にもいいコンテンツが出てきているが、冒頭で述べたように「惜しい点」がいくつか存在する。次のような点を見直すと、より顧客目線に立った良質なメディアになるのではないだろうか?
1. コンテンツの表示の仕方
複数のコンテンツが表示されているサイトを見てみると、それぞれのコンテンツに社名が載っている場合があるが、ページ全体を見ると、何度も社名が出てきてしつこく感じる顧客も出てくるのではないか。また、社名に字数をとられるためか、コンテンツの内容が分からない場合も多い(そこをクリックすると何が出てくるか分からない)。
2. コンテンツの表示に時間がかかる
凝ったデザインのためか、コンテンツの表示に時間がかかる場合がある。あまり顧客を待たせると離脱してしまうだろう。
3.見込み客が欲しいコンテンツにフォーカスする
例えば、企業の実績などを強調しているコンテンツも見られるが、見込み客や顧客が必要とするコンテンツはもっと他にあるはずだ。彼らが生活上必要とするローカル情報など、ニーズの高い情報を中心に掲載したほうがよいだろう。
まとめ
いかがだっただろうか?
海外では盛んに行われている不動産会社のコンテンツマーケティングだが、日本ではまだ強力なプレーヤーは存在しない。
今こそコンテンツマーケティングを始め、競合他社と差別化を図るチャンスなのではないだろうか?競合他社の後塵を拝さないよう、ぜひコンテンツマーケティングの実践を検討してみて欲しい。
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