広告に見えない広告?プロダクトプレイスメントの思想こそがWeb社会で勝ち抜くための広告戦略だ!

EC(Eコマース)

世の中には「良い広告」と「悪い広告」の2種類しかない。あらゆる広告が氾濫するネットの世界でも同じだ。では、良い広告とはどんな広告なのだろう? それは、人の共感を呼ぶ良質なコンテンツそのもののことであり、広告に見えない広告のことである。具体的な事例をあげて見ていこう。

世界最古の広告は「プロダクトプレイスメント(PP)」だった?

人類が社会生活を営むかぎり、広告はなくならない。証拠をお見せしよう。現存する世界最古の広告である。

「奴隷が逃げたので捕まえてほしい。この奴隷は、ヒッタイト人で、身長4フィート5インチで赤ら顔。捕まえてきてくれた人には、お礼に金環を1個、居場所を教えてくれた人には、その半分を進呈する。(テーベで一番上手な織物師であるハプー)」

いまからおよそ3500年前のエジプト・テーベ王国時代のチラシである。パピルスで作られたこのチラシは、街の掲示板のような場所に貼られていたという。

広告の目的が、「何かの活動・成果物・情報等を、不特定多数の人間に向けて広く知らしめる主体的な行為」にあるとするなら、この3500年前に作られたパピルスのチラシは、まぎれもない広告である。

しかも、この文章(コピー)を読んでお気づきだろうか? この広告、「人探し(奴隷探し)」広告の体裁を取りながら、真の目的は最後の一文「テーベで一番上手な織物師であるハプー」を告知することにある。巧妙である。現代の最先端広告手法である「プロダクトプレイスメント(PP)」を、すでに3500年前のエジプトでは行っていたのだ!

プロダクトプレイスメントとは?

プロダクトプレイスメント(※以下、PPと表記)について説明してみたい。PPとは、あるコンテンツの中に別の情報を紛れ込ませ、その広告を見る人間の心理に刷り込んでいく手法の広告である。具体例を示した方が理解しやすいかもしれない。

・アニメ『涼宮ハルヒの消失』では、大手コンビニチェーン「ファミリーマート」が実名で何度も登場し、実際に登場キャラクターたちが店内で買い物をしている。

・アニメ『新世紀ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』では、ピザハット、UCC上島珈琲、ヱビスビールなどの企業と商品が、実名で出てくる。

・アニメ『魔女の宅急便』。ご存知の方も多いと思うが、もともと「宅急便」とはヤマト運輸の登録商標だ。それをタイトルに使用することで、ヤマト運輸の宣伝を兼ねることとなっている。

PPとは、「広告に見えない広告」として、別のコンテンツに紛れ込むものであることが、わかると思う。たまたまアニメばかりの紹介になってしまったが、もちろんPPが有効なのはアニメばかりではない。映画・ドラマ、時には小説やマンガ、いまではゲームの中にまでこのPPは紛れ込んでいる。ハリウッドでは、PPを専門に扱う広告会社があり、ハリウッド映画の莫大な製作費をまかなうための資金調達には、欠かせない存在となっているほどである。

「広告とは気づかれない」広告

PPの思想を拡大解釈すれば、「広告とは気づかれない広告」=「良質なコンテンツそのものが広告になる」ということだ。

真夏の暑い日にうなぎを食べる「土用丑の日」の習慣。これは江戸時代の蘭学者・平賀源内が仕掛けたPPである。真夏に商売がうまくいかないことを悩んでいたうなぎ屋に、「うなぎを売るんじゃなくて、うなぎを食べる習慣を売るんだよ。うなぎの『う』に引っ掛けて、土用丑の日はうなぎの日だと宣伝すりゃいいじゃねえか」……と、実際に言ったのかどうかは知らないが、とにかくそういうコンセプトで作られたものだ。立派なPPである。

「広告とは気づかれない」もので、消費者の心理に刷り込んでくるものが、「良い広告」であることがわかるだろう。

Web時代における「良い広告」はコンテンツそのものである

ネット上にはあらゆる種類の広告が氾濫している。まるで、1982年の映画『ブレードランナー』を彷彿とさせる世界が、現実のものになっているのである。そのような中で、広告の海に埋もれることなく、多くの人に訴求できる広告には、どのようなものがあるのだろうか? 2例だけ紹介してみたい。

・ケータイゲームの中のPP

あるゲームでは、ゲーム中のイベントで「クーポン券」を発行し、それが実在するコンビニで使用できる仕掛けを行ったところ、そのコンビニの売上が5倍に膨れ上がった。別のゲームでは、ゲームの中だけで獲得できるアイテムが、アイドルグループのコンサートチケットと引き換えになる仕掛けを行い、そのアイドルグループのグッズ売り上げが急増した。

・「恋するフォーチュンクッキー」現象

アイドルグループAKB48のヒット曲「恋するフォーチュンクッキー」のMVを模した動画が数多く作られている。自治体・企業など、ジャンル問わず作られており、それぞれの動画は多いもので数百万アクセス、少ないものでも数万アクセスがある。企業・自治体の認知度向上に効果が出ている。

どちらも、コンテンツそのものが広告になっていることを理解していただけるだろうか? そう。現代における最良の広告とは、コンテンツそのものなのである。多くの人に共感してもらえるコンテンツを作れば、それは勝手に拡散されていく。ネットという情報の海の中で埋もれることなく、それを欲する人の元に届けられるのである。

良質なコンテンツこそ、現代における最良の広告なのだ。

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