たった10カ月で月間5000万のユニークビジターを獲得!ペットフード宅配ECサイトPetFlow.comの事例

EC(Eコマース)
PetFlow社は米国でペットフードの宅配サービスを展開する会社だ。そのECサイトPetFlow.comへのアクセス数が爆発的に増加している。
ウェブサイトのアクセス数を調査・統計するアレクサ社(Alexa Internet, Inc.)によると、PetFlow.comは月平均5000万のユニークビジターという驚異的な数を叩き出している(2014年10月現在)。そして何とその98%は、PetFlow.comのブログサイトからアクセスしてきているのだ。また、ブログ訪問者の90%はソーシャルメディアから流れてきている。
ここでは、ブログ開設からたったの10カ月で、これほどまでの読者を獲得した同社のコンテンツマーケティング手法を考察していく。
目次
Facebookのしくみを理解する
約1年前までの同社のブログサイトは、扱っている商品の情報、ペットに関するイベント、動物の救済活動などを淡々と載せた、ごく普通のビジネスブログだった。
しかしこの無名のブログが、突如ペット業界で一躍有名になったのだ。PetFlow.comのブランディングの成功の裏には、Facebookのアルゴリズム変更時(2014年1月)に、すかさずその波に乗った臨機応変な対応がある。
Facebookの主な変更内容は、友達による投稿がブランドのページ更新よりも優先順位が高くなるというものである。そのため、ニュースフィードにブランドの投稿が表示されにくくなるのだ。これに対してFacebookは企業やブランドに、「リンク投稿」を促している。そうすることで、エンゲージメントが高まり、ニュースフィードに表示されやすくなるという情報を提供した。
同社はこれを受けて、ペットの可愛い写真や、ミーム(ネット上で話題になっている面白いネタ、画像、ビデオなど)のリンクを投稿し、莫大なフォロワーを獲得したのだ。もちろんリンク先はPetFlow.comのブログである。
Facebookアルゴリズム変更における各投稿のエンゲージメント率変化
主要15ブランドにおけるエンゲージメント率の変動を、アルゴリズム変更前後2週間リサーチしたShopIgniterの報告によると、これらのブランドによる「テキストのみ」の更新に対してのエンゲージメント率が何と65%も減少している。
以下のグラフは、リサーチ期間中のテキスト投稿による平均エンゲージメント率を棒グラフにしたものである。青は変更前、赤は変更後を指す。
出典:Socialflesh: ShopIgniter’s bar graph
また、以下のグラフは、リサーチ期間中のリンク投稿による平均エンゲージメント率を棒グラフにしたものである。青は変更前、赤は変更後を指す。
写真や動画投稿は、ほぼ横ばいであった一方、「リンク投稿」のエンゲージメント率は30%跳ね上がる結果となった。
出典:Socialflesh: ShopIgniter’s bar graph
このように同社は、Facebookの変更等に迅速に適応することで、競合他社より先に見込み客を探し当て、多大なエンゲージメントを獲得することができた。
ペット以外のコンテンツを取り入れる
PetFlow.comのブログはペットに関するコンテンツばかりではないのが特徴である。今話題になっている面白いネタやビデオなどが多くの人々の注意をひくことを熟知したうえで、ブログには豊富なコンテンツを揃えている。しかも、全て大ヒットだ。
実は、この大ヒットにも理由があるのだ。
PetFlow.comのブログ制作チームには、8人のキュレーターが存在する。彼らはYouTubeなどから人々が飛びつきそうな内容のビデオを探し、それらのビデオのバックストーリーをリサーチする。その後、ビデオとストーリ―を1つの記事にして、クリックしたくなるようなタイトルをつける。
こうして1日に、90~100記事を制作している。しかし、この中からブログに掲載されるのはたったの15記事である。
では、一体どうやって人気の出そうな記事を確実に選んで、ブログやFacebookにリンク投稿しているのか。
Facebookでコンテンツ人気度テスト
同社は見込み客だけでなく、それ以外のFacebookユーザーにも楽しんでもらえるコンテンツの提供をゴールとしている。
そこで制作した未掲載の100記事を「Unpublished Page Posts」ツール?を利用し、ブランドページの投稿としてではなく、Facebookで「広告」として投稿している。この機能では、様々なターゲットを設定できるため、幅広い層のエンゲージメントが期待できるのだ。
日本語版では、「非公開ページ投稿広告」である。
例えば、「赤ちゃんがペットの犬と1分間二人きりに……するとこんなことに」というタイトルのビデオは、150万人のFacebookユーザーにシェアされている。タイトルからして明らかにクリックしたくなる動画である。
出典:A Baby Was Left Alone With A Dog for One Minute…And This Happened
このようにFacebookの広告欄である一定の基準(「いいね!」、シェア、コメント、クリック等)に達成した記事は、晴れてPetFlow.comブログに戻され記事となり、Facebook自社ページでリンク投稿するというしくみである。
PetFlow.comは広告費と引き換えに、単にリンクを自社ページに投稿しただけではリーチできなかった幅広い層のFacebookユーザーにも興味をもってもらい、自社サイトへのアクセス数を劇的に増加することに成功している。
共同創業者のAlex Zhardanovsky氏は、Facebookを活用したビジネスについてこう述べている。
「Facebookは優れた広告ツールです。狙った消費者層へ確実にリーチするだけでなく、純粋に関心を抱いてくれるオーディエンスとつながりを構築することができます。Facebookに予算を集中しているのは、実際に効果があるからです。コンバージョンピクセルを使った効果測定は広告費回収率の向上にも役立ちました」
まとめ
いかがだっただろうか。ソーシャルメディアを通してコンテンツをキュレーションし、新たにコンテンツを作成していく。そしてFacebook広告ツールを効果的に活用しコンバージョンへと確実につなげていくマーケティング手法は、ぜひ参考にしていただきたい。
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