1枚の写真からユニークなソーシャルコンテンツを生み出す巧みな技:オレオの事例

コンテンツマーケティング

オレオといえば100年以上続く有名なクッキーブランド。白いクリームを黒いチョコクッキーで挟んだ、おなじみの商品である。実はオレオが数々のコンテンツマーケティングを成功させてきたことをご存知だろうか?

本記事では事例の1つをご紹介しながら、成功の理由を探ってみようと思う。事例自体がユニークなので、もちろんその独創性からもヒントは得られるだろう。しかし、コンテンツマーケティングの基本はしっかり押さえていることがわかっていだだけるはずだ。

大人気動画シリーズ「Oreo Snack Hacks」

「Oreo Snack Hacks」は、オレオクッキーのアレンジレシピを紹介している動画シリーズである。例えば、

・オレオを砕いてポップコーンに混ぜる ・オレオをペッパーミルですり潰してアイスに振りかける

といったアイディアを紹介している。

シリーズの最新動画は、プロのシェフ3人がそれぞれオリジナルのアレンジレシピに挑戦するというものだ。ルールは「オレオクッキーを使うこと」、そして「料理手順は4ステップまで」。シェフ達がチキンストリップ、トルティアチップス、カクテル、パンプディングを作っていく姿を追っている。

この3本の動画は、非常によく作られたドキュメンタリーである。そのリアルさから、視聴者は作り物でもやらせでもないことを見抜けるだろう。

「こうと見せかけて実は宣伝」というようなあざとい演出もない。初めから隠さずに、オレオのプロモーションであることを明らかにしているからだ。

それぞれのシェフにオレオの思い出を語らせているのも上手い。視聴者は間違いなく自分の子供時代に結びつけるだろう。そして、そのときのオレオの味、それにまつわる思い出が呼び起こされるはずだ。

Oreo Snack Hacks: Midnight Hack by Roy Choi

Oreo Snack Hacks: Fanatic Hack by Michael Voltaggio

Oreo Snack Hacks: Impulse Hack by Starry Kitchen

「Oreo Snack Hacks」シリーズは、現時点で12本の動画が公開されている。総再生回数は20万回以上になる。

またオレオのTumblrページでは、その他のアレンジレシピも紹介している。さらに、レシピアイデアの一般募集も行っているので、ファンはさらに増えていくだろう。

コンテンツが生まれたきっかけ

「Oreo Snack Hacks」のアイディアが生まれたきっかけは、1枚のバイラル写真であった。フォークに刺したオレオを牛乳に浸そうとしている画像である。つまり、「フォークを使えば手が汚れないよ」というメッセージが込められている。

一般消費者が作成したその画像を見て、オレオチームは気づく。「オレオを楽しむ新しい方法が発見されたのだから、他にも色々な方法があるのでは?」

チームがさらに目をつけたのが、ネット上で流行っていたアレンジレシピである。その中でも特に人気を集めていたのが、オレオクッキーのレシピだ。チームは早速、オレオを使ったレシピアイデアの投稿を呼びかけ始めたのである。

ちなみに、「Oreo Snack Hacks」キャンペーンを新聞やテレビで行う予定はないそうだ。不純物が混じっていない「本物」のソーシャルコンテンツのまま育てていくためである。

成功の要因は?

ここで、「Oreo Snack Hacks」キャンペーンが成功した理由を分析してみたい。

・消費者の興味を引く: 「オレオのアレンジレシピなんて可能なの? 美味しいの?」といった好奇心を抱かせることに成功している。あまり美味しそうでないレシピでも、面白いから誰でも楽しめるコンテンツになっている。

・商品のイメージを印象づける: オレオの食べ方をちょっと違う視点から提案することで、商品のイメージをさらに印象づけている。消費方法の選択肢が増えていくほど効果は増すだろう。ユニークな利用方法を何通りも考えられるような商品にも応用が利くかもしれない。

・消費者に行動を起こさせる: コンテンツを見た消費者はまずオレオを買いに走り、提案されたレシピを試すだろう。簡単に試せるものばかりという点もポイント。もちろん独自レシピの開発に挑戦する者も出てくるから、キャンペーンの参加者は自然にどんどん増えていく。

・消費者からアイディアを募る: 消費者からアレンジレシピのアイディアを提供してもらう。つまり、よりバラエティ豊富なコンテンツを作ることが可能になるということである。食に貪欲でグルメな日本人もアレンジレシピやちょい足しが大好きなので、日本でも応用できるだろう。

・ヒントやタイミングを見逃さない: チームは写真にあったヒントを見逃さず、アレンジレシピの流行に乗り遅れることなく、すぐ行動を起こした。常にアンテナを張り、ベストなタイミングを見極めることの重要性を常に意識したいものである。

最後に

オレオの事例で一番重要なのは、買わせるためではなく、消費者との繋がりに集中していることである。「Oreo Snack Hacks」は消費者を楽しませることを最優先にしたコンテンツであることがわかるだろう。

「会社ではなく、顧客や見込み客にとって有益なものを提供する」

これはコンテンツマーケティングの基本中の基本である。しかし、その基本を忘れがちになってはいないだろうか? 独りよがりなコンテンツになってはいないだろうか? ファンやお客様のためのコンテンツを提供できているかどうか、もう一度確認していただきたい。

参考元: Oreo Turns Snack Hacks Into Web Series OREO and Celebrated Food Innovators Michael Voltaggio, Roy Choi and Nguyen Tran Team Up for New Snack Hacks Video Series Ad of the Week: Oreo, Snack Hacks

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