NPO関係者必見! 意外と知られていない、NPOのためのオンラインマーケティングツール

デジタルマーケティング
非営利団体や公共事業におけるマーケティングの必要性については、P.F.ドラッカーやP.コトラーを学んだことのある方ならすでにご存知であろう。
人的にも資金的にも限られたリソースで、活動内容の啓蒙や認知度の向上を図っていかなければならず、今日においては、SEOやソーシャルメディアの活用も求められる環境になっている。また、デジタルリソースの活用によって活動報告や事業管理の負担を軽減することも課題となっている。
一方で、Google Grants(非営利団体向けAdWords)やMicrosoft Dynamics CRM Onlineのような、非営利団体をサポートするデジタルリソースやプログラムが提供されていることをみなさんはご存知だろうか。
今回は、それらの非営利団体向けオンラインマーケティングツールを2、3紹介しよう。
非営利団体に必要不可欠なオンラインマーケティング
先にも述べたように、非営利団体の運営にあたっては、限られたリソースの中で活動を続けるべく団体の社会的目的や理念、活動内容を広く認知してもらい、啓蒙し、あるいはサービスを提供していくことが必要となる。
更に公的資金や寄付、物資販売などによって活動資金を集めていくという部分でも、少なくともマーケティングの基本知識と戦略は不可欠である。
ロンドンに拠点を置き、非営利団体や公共事業者のために社会福祉法とテクノロジーをサポートする団体Lasaにより2012年に実施された調査によると、334の非営利団体のうちの7割近くにあたる68.6%が「デジタル(オンライン)マーケティングを実施しているが、もっと出来ることがあると感じている」と回答している。
また、約2割にあたる21.3%は「団体役員から職員まで、デジタル(オンライン)マーケティングをフル活用している」と答えている。
つまり、ここで調査した非営利団体の9割がテクノロジーを活用したマーケティングは「必須」と考えているのだ。
強みと弱み
非営利団体のオンラインマーケティングにおける強みは、スタッフの情熱、オーディエンス(インターネットから情報を得る人々)の共感、その事業・活動から起こる自然で強力なコンテンツだ。
弱みは、先にも述べた人的、資金的リソースの欠乏に尽きる。特に企業マネジメントやマーケティングを学んだ人が運営しているわけでもなければ、企業で働いていた人が、全く違う畑でゼロから立ち上げているというケースも少なくない。
しかし、そのリソース不足さえカバーできれば、人々に共感される魅力的なコンテンツを持つ非営利団体ほど、エキサイティングで成功し得るオンラインマーケティングを実施できる可能性があるのだ。
では、ここから、いくつかの非営利団体向けオンラインサービスを紹介していこう。
非営利団体向けオンラインサービス
・Google Grants (非営利団体向けAdWords)
法人格を有する必要、充分なコンテンツを含む有効なWebサイトを持っていることなど、細かな条件設定はあるが、1 か月あたり 10,000 ドル分の AdWords™ 広告費が助成されるという目から鱗のプログラムだ。
日本語での詳細はGoogle Grantsをご参照いただきたい。
・NPO向け Microsoft Dynamics CRM Online
顧客管理ソフトのNPO向けテンプレート。特定非営利活動法人格をもつ団体向けに特別支援価格でリリースされており、以下から詳細や導入事例をご参照いただける。
[外部リンク] NPO向け Microsoft Dynamics CRM Online
・Youtube非営利プログラム (Youtube’s Nonprofit Program)
残念ながら、2013年8月末日現在、日本からはまだ利用が出来ないようだが、将来的に利用可能になれば、動画チャンネルへの寄付ボタンの設置、視聴者にアクションを促すメッセージの差し込み、ライブストリーミング、コミュニティフォーラムなど多くの機能を利用することができる。日本でのサービス提供開始に期待したい。
[外部リンク] Youtube非営利プログラム
・ JustGiving Japan™
既にご存知の方も多いと思うが、こちらは信頼性の高い英国発のファンドレイジングオンラインプラットフォーム、JustGiving™の日本サイトである。
こちらで支援先団体となるには審査が必要だが、法人格のない任意団体でも条件を満たせば資金を募ることが出来る。ソーシャルメディアとの親和性も高いこうしたサービスを巧く活用したい。英語圏ではすでに非営利団体のFacebookページにおいて、JustGiving™を通じて寄付を募るための連携もされている。
[外部リンク] JustGiving Japan™
プロボノも大きなオンラインマーケティングリソース
また、今回は深くは触れないが、もしあなたが社会貢献活動のために活用できる何らかの知識、経験、スキルをお持ちであれば、今、世界でも注目されている「プロボノ」(ラテン語で pro bono publico の略。公益のために職能を活かす専門家)として何らかの活動に参加されることもお勧めしたい。
筆者も東日本大震災直後に発足したとある団体に参加させてもらった経験をもつ。テクノロジー分野の第一線で活躍している人たちばかりが集まっていたその団体で、社会的な活動目的に向き合いつつ、自らは企業名などの肩書きが一切取り除かれた状態になり、自らの本当の能力、弱点を客観的に再確認する良い機会となった。
営利企業と非営利団体に共通する最も重要なリソースは「ヒト」であることを忘れてはならない。
最後に
日本ではまだまだNPO向けオンラインマーケティング支援ツールは開発途上のように感じる。
例えば、PayPalを利用して寄付を集めることの出来るFacebookアプリ DonateApp や、Google と報道機関系チャリティー組織 Media Trust による Grow Your Charity Online のような非営利団体向けオンラインマーケティング管理ツールなどがもっと日本でも提供されれば、社会貢献活動もより広がりを見せるであろうし、コンテンツマーケティングという側面から見ても、今後の非営利団体のマーケティング活動には多くの可能性があると考える。
参考元: ・Results of The Charity Digital Survey ・Online Marketing Tips for Nonprofits Photo: Some rights reserved by Cambodia4kids.org Beth Kanter, flickr
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