ツイッターは悪なのか?ソーシャルメディアの発達と報道の正確性から読み解く報道スタイルの変化

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2012年12月14日、アメリカでまたも銃による悲劇が起きてしまった。アダム・ランザ容疑者によって小学生20人を含む26人もの尊い命が奪われてしまった。

この事件の重大性は、現在も銃規制の問題とともに全米で大きく報道されている。日本では、選挙の報道に押されて小さい扱いとなってしまっているが、アメリカでは、連日メディアがトップニュースとして扱っている。この事件は、銃社会アメリカの社会の価値観を根幹から揺るがす大事件だからだ。

この銃規制報道とともにに今話題になっているのが、ツイッターやフェイスブックといったSNSが誤った情報を拡散し、混乱を巻き起こしたというSNS批判だ。

こういったSNS上の情報の正確性という問題は、東日本大震災において日本でも話題になった。本当にツイッターは悪なのであろうか?今回はこの問題の裏にある報道スタイルの変質を確認していきたい。

銃乱射事件における情報の錯綜

今回の事件でも多くの情報が錯綜し、メディアのみならず一般市民も混乱の渦に飲み込まれてしまっている。現在のところ、小学校内で自殺したアダム・ランザ容疑者が実行犯と考えられているが、驚くことに当初は全く別の人物が容疑者だと報道されていた。

アダム・ランザ容疑者が彼の兄の身分証明書を保持していたことを発端に、この混乱は始まる。CNNがこの兄を実名で実行犯と報じたことにより、実名で登録されていたこの方のフェイスブックのページには大量の誹謗中傷が書き込まれた。現在はこの方のフェイスブックページは閉鎖されているが、この人物はたまたまアダム・ランザ容疑者の兄と同姓同名だっただけだとも伝えられている。

他にも容疑者の母は小学校の先生であると日本でも報道されたが、「実は幼稚園の先生であり勤務歴もなし」といった報道も出ている。このように情報が錯綜し、様々な情報がツイッターやフェイスブックで大量に共有されたため、多くの人が何が本当かわからなくなってしまっている。

CNNやNew York Timesといった伝統的メディアも誤報道を流した

上記のような情報の洪水を引き起こした要因として、特にツイッターは批判の的となっている。しかし、誤情報を流したのは、CNNやNew York Timesといった既存の大手メディアも同じであった。

現在では母親は自宅で殺害されたことがわかっているが、当初は教室で授業をしていた母親を襲うために学校が襲撃されたという誤情報を各メディアは堂々と報じていた。

これはCNNなども間違っているなら、ソーシャルメディアも誤情報を流しても仕方がないということではない。ソーシャルメディアの登場によってニュースを報道する手段が変わりつつある=大量の情報が錯綜するということを、私たちメディアの受け手も認識する必要があるのだ。

精査前の情報が流れるのがリアルタイムニュース

従来のニュース・新聞では、編集・裏取りを基本とした「確認済みのニュース」がテレビで報じられるケースが多かった。ニュース番組や新聞記事の舞台裏では、多くの記者が真偽が入り乱れた情報を必死に選別し、できる限り誤りの少ない報道が心がけられていた。

しかし、CNNのような24時間体制のニュース番組の登場は、今までは舞台裏にとどまっていた情報の一部を公開するようになる。更にツイッターのようなソーシャルメディアの登場は、舞台裏の情報までもそのまま公開するのだ。

これが現在のリアルタイムニュースの現状であり、まずはこの報道スタイルの変質をメディアも受け手も理解する必要がある。

情報を「ただ報じる」から「収集+確認する」というスタイルへ

一見するとリアルタイムニュースは混乱を引き起こすだけなのではないかと思われるかもしれない。しかし、異なる情報の存在こそが「どちらが正しいのか」という「確認」という非常に重要なステップをもたらしてくれる。

これからの報道には、単に情報を垂れ流すだけではなく、複数の情報を集めて確認するという姿勢が必要になってくるだろう。これはテレビや新聞といったマスコミにとってはもちろであるが、私たち情報の受け手もリアルタイムニュースの性質を理解し、「本当にそうなのか?」という批判的な視点を常に持たなければならない。

まとめ

情報の真偽を確かめることは確かに難しい。しかし、情報を簡単に発信・共有できる今「人を傷つける情報」かどうかを判断することは私達にも確実に求められている。

おもしろ半分に共有した情報が人を傷つけたり、ましてや命を脅かすことは決してあってはならない。ソーシャルメディアのようなイノベーションが登場した今、私たちのメディアリテラシーを改めて見直すタイミングがきているのは間違い無いだろう。

今回の事件で亡くなられた26名の方のご冥福を心からお祈りしたい。また、オバマ大統領が強いリーダーシップを発揮し、アメリカが銃規制に取り組み事も合わせて祈念したい。

出典:It’s not Twitter — this is just the way the news works now Photo: eldh