Google × ネスレ デジタルマーケティング両雄のコラボレーションが実現

コンテンツマーケティング

デジタルキャンペーンで数々の成功事例を積み上げてきたネスレ。そして、デジタルマーケティングのインフラを築き上げたGoogle 。

今年2013年、デジタルマーケティングの両雄がタッグを組み、クロスプロモーションキャンペーンを作り上げたことをご存じだろうか?

Android4.4のリリースに併せて実施されたこのクロスマーケティングキャンペーンだが、見事な相乗効果を生み、「1+1=2」以上の大成功を収めている。

今年のデジタルマーケティングの成功事例を押さえておきたい方、クロスプロモーションの方法を知りたい方は、ぜひこのキャンペーンをチェックして欲しい。

始まりはアンドロイドのネーミングから

既にご存じの方もいるかもしれないが、Google は2009年から発表しているアンドロイドのコードネームにお菓子の名を付けている。第1号は「Android Cupcake(カップケーキ」と名付け、その後はアルファベット順に「Android Jelly Bean(ゼリービーン)」までアンドロイドの更新を繰り返した。Jの次のアルファベットはK。そこで、アイディアとして誰もが知っているKit Katが挙がり、製造者であるネスレとのクロスプロモーション企画が生まれた。

キャンペーン概要

ネスレは「Android KitKat」のリリースを記念して、日本を含む19か国で5000万個を超えるスペシャルキットカットの発売を開始した。スペシャル版の特徴は、パッケージにアンドロイドロボットが載っていることである。

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このキットカットを購入した消費者は「Google Nexus 7」の他、Google オンラインショップ「Google Play」で使えるポイントなどが当たるキャンペーンサイト(android.com/kitkat)にアクセスすることができる。

卓越したクロス・デジタルマーケティングキャンペーン

今回のクロスプロモーション企画であるが、デジタルマーケティングの観点からも優れたキャンペーンが実施されている。

1.オウンドメディア施策:チョコレートを、ガジェット風に解説

まずはキットカット側のキャンペーンのオフィシャルページhttp://www.kitkat.com/android/を見てもらいたい。ネスレはAndroid4.4のリリースに合わせて、従来のキットカットをKitKat4.4と名付け、Webサイトを魅力的に改編した。コンテンツは非常におもしろく、チョコレートであるKitKat4.4を、あたかもスマートフォンであるかのように解説している。

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 (出典:www.kitkat.com/android)

例えば、「Tech Specs」の項目ではKitKat4.4の長さや重さ、アクセス可能地域(=購入できる国)について触れている。まさにスマートフォンの取り扱い説明書のようだ。また、「無制限のスタンバイモードが設定されているため、KitKat4.4は何時でもあなたの休憩の手助けをできる」、とユーモラスなことも書かれている。

2.バイラルムービーを制作

ネスレとGoogle のコラボレーションは動画コンテンツにも及んでいる。この動画は上記のWebサイトのように、チョコレートの特徴をガジェットのように解説している。立て板に水を流すように、すらすらとIT用語でチョコレートを紹介している様は、まるでコントのようで観ていて飽きない。

例えば、クラウド(インターネットをベースにしたネットワーク)を“A taste sensation that will you leave you up in TheCloud.” (=あなたを雲まで運ぶ、感動的な味)というキャッチコピーに使用している。YouTubeではこの動画は既に250万回以上再生されており、バイラル効果を十分に発揮していると言えよう。

3.チョコ仕様のAndroid人形の設置

「Android KitKat」のリリースを記念して、ネスレ本社とGoogle マウンテンビュー前に「Android KitKat」の人形が設置された。Google の上席副社長を務めるサンダー・ピチャイが人形をツイートしたところ、4000回以上のリツイートと1000回以上のお気に入りを記録した。

ピチャイだけでなく、Google 本社を訪れた観光客の多くも、この人形と写真を撮りSNS上にアップロードしている。上記のようなデジタルコンテンツだけでなく、人形というリアルコンテンツによっても、バイラルマーケティングの効果を得ているのだ。

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このキャンペーンの狙いをまとめると、まずはキットカットの売上増加が挙げられる。しかし、それと同時に、多世代に親しまれている老舗菓子に現代的な要素(IT企業とのコラボレーション)を加え、新しい風を取り入れている。また、Google にとっては「Google Nexus 7」と「Google Play」のプロモーションになるだろう。そしてもちろん「Android KitKat」の機能に対する興味も惹きつけられるはずだ。

まとめ

いかがだっただろう? デジタル上でのクロスプロモーションがここまで徹底されたキャンペーンは珍しく、正直なところ、中途半端な施策が多い。

皮肉にも、日本における両社のクロスプロモーションは、どうも中途半端で、なおかつデジタルも上手く活用できていない。

上記のように、デジタル上のクロスプロモーションキャンペーンは、リーチの拡大が狙えるだけでなく、ユーザーエクスペリエンスを拡充させることもできる、非常にポテンシャルの高い施策である。

ぜひデジタルクロスプロモーションに実践し、このキャンペーンを超える成功事例を作って頂きたい。

参考: ・Google and Nestl? announce Android KitKatHave a break, have an Android

Photo: ・Some rights reserved by Maria Elena, flickr

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