ネスカフェの「Pop-Up Café」に学ぶ、コンセプトの見えるマーケティング

コンテンツマーケティング

ちょっと思い出してみてほしい。これまでの人生のなかで見てきたテレビCM、動画広告、雑誌広告、キャンペーン……。その中で、何か特に記憶に残っているものがあるだろうか?

おそらく、1つや2つはあるのではないだろうか。その場合、なぜそれを覚えているのだろう?

好きなタレントが出ていたから、BGMが良かったから、ユーモアのセンスが優れていたから……など、理由はさまざまだろう。

今回ご紹介するのも長い間記憶に残りそうな広告であるが、上記のような理由によって、というわけではない。

では、その理由は何だろうか? 一緒に考えてみてほしい。

パリの街に出現した「Pop-Up Café(ポップアップ・カフェ)」

今回ご紹介したいのは、「ネスカフェ」がパリのフリーペーパーに仕掛けた広告。まずは次の動画を見ていただきたい。

Nescafé: Pop-Up Café

https://www.youtube.com/watch?v=YG3ILWseZTc#t=12

無料新聞を挟んだホルダー(カバー)に、2つの紙製マグカップ付きの広告を掲載したネスカフェ。

そのコンセプトは、「朝、新聞を読む時間はちょっと孤独。けれど、そんな孤独な時間を、コーヒーでも飲みながら、人との会話を始める時間に変えられたら、素敵ではないか?」というもの。

このカップにはインスタントコーヒーも付いている。あとはお湯を注げばコーヒータイムを楽しめる、というわけだ。

コンセプトが見える広告

まずは、この広告のクリエイティビティに感心する人が多いだろう。

フリーペーパーを挟むホルダーに、まさかマグカップが付いてくるとは……(しかもコーヒー付き!)といったところか。2Dから3Dへと「飛び出す(pop up)」広告というのも、初めて使われる手法ではないが、インパクトが強い。

しかし、ここで最も注目したいのは、その「コンセプト」である。

この Pop-Up Caféには、消費者にとっての価値(=朝の楽しいひと時)を全面に打ち出したコンセプトが、目に見えるかたちで表れている。

クリエイティブなだけでなく、心も和む広告作りは、マーケティング活動において手本としたいものだ。

これまで見てきた他の広告のなかで記憶に残っているのは、もっぱらビジュアルや音楽の印象が強いものだったが、このPop-Up Caféは、そのコンセプトの明瞭さで記憶に残り続けるだろう。

コーヒーの話に終わらない奥深さ

ところで、「ネスカフェ」は言わずと知れたコーヒー製品の商標である。だが、今回のPop-Up Caféはコーヒーの話に終わらない、という点にも注目したい。

朝、仕事前の忙しい時間には、1人で新聞を読んだり、パソコンに向かってニュースを検索したり……など、ほかの人とコミュニケーションをとらないことも多い。

現在、このような状態が見られる場所はオフィスに限らない。携帯端末が普及した今、多くの場所で、自分のスマートフォンとばかり向き合い、すぐ隣に座っている人とのコミュニケーションが全くないことも多い。

Pop-Up Caféに触れると、そのような状況を、「う~ん……これでいいのだろうか?」と、考えさせられる。想像の及ぶ範囲が、コーヒーだけでなく、現代よく見られる光景や自分自身の生き方にまで達するのである。

そういう奥深さがこの広告にはある。そして、このように「考えさせられた」広告というのは、忘れがたいものだ。

「自分のことばかりに集中しすぎて、周りが見えていないことがあるかも……。ちょっと目を上げれば、人とのコミュニケーションのきっかけが待っているかもしれないのに」

そんなことを気付かせてくれるPop-Up Caféは、後味がいい。温かな気持ちが後に残る。

まとめ

コンテンツを制作するとき、自社商品の機能的な良さを隅々まで細かく紹介するのも良いが、時には一歩引いてその商品を見つめ直してみてはどうだろうか?

広告を作る際、自社商品が必要とされる理由や、その商品を取り巻く社会環境などにもっと目を向け、練りに練ったコンセプトをメッセージとして発信できれば、それは人々の記憶に残りやすいだろう。

ぜひ、今回の事例を参考に、コンセプトの見える広告作りで、「コンセプトの見えるマーケティング」を目指してほしい。

この記事がマーケターのみなさんにとって、「ちょっと周りに目を向けてみる」きっかけとなれば嬉しい。Pop-Up Caféのように。

参考元: Nescafé Inserts 3D Mugs Into Newspapers to Inspire Shared Moments Pop-Up Paper Coffee Mugs

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