ECサイト運営者のための動画コンテンツ戦略

マーケティングオートメーション

いま、動画がアツい。

品薄状態が続く米Appleの最新スマートフォン”iPhone 5s"はカメラ性能の進化をうたっており、新たに搭載された「スローモーション撮影」は毎秒120フレームの高速撮影を行うことで簡単にスローモーションの映像を撮影する事ができる。

デジタルカメラ顔負けの高画質での撮影が可能なスマートフォンと、大容量の動画データを高速にやり取りできる通信回線の普及で、個人がスナップ感覚で動画を公開できるようになった。

個人だけでは、ない。

いま、世界の企業は動画での製品プロモーションや情報の発信に躍起だ。

この潮流乗りたいと考えているECサイト運営者のために、動画コンテンツ導入の際のヒントを紹介する。

動画コンテンツで顧客の心を掴め

8月に公開した記事「世界のトップブランド100社のFacebook利用実態」では、写真や動画といったビジュアルコンテンツの高いエンゲージメント率を紹介した。 世界のトップブランドは今、テキストではなく視覚に訴えるコンテンツによる発信に力を入れている。

その効果も、実証されはじめている。

ECサイトへの動画コンテンツの導入を支援している米invodo社が行った調査によると、全ユーザーのうち半数が、”製品紹介動画を観てからのほうが安心して製品を購入出来る”と答えており、動画を複数回に渡り視聴したユーザーの実に3分の2が購入に至った、という結果も出ているという。

当然、製品ジャンルや価格帯など様々な要因によって左右されるが、傾向として、ECサイト上の製品紹介動画はコンバージョン率の向上と、購入単価の向上に一定の成果を上げているようだ。

こう見ると、ECサイト運営者であれば誰でも導入への興味をかき立てられるだろう。

しかし、誰でも気軽に高画質な写真や動画を扱うことが出来るようになったとはいっても、それをECサイトの売上増た顧客体験向上に繋げることは容易ではない。低品質な動画コンテンツはあなたのサイトのブランドを傷つけ、ヘタをすれば顧客が離れて行ってしまうこともありえるだろう。

そうならないためにはどうしたらいいのだろうか? 動画コンテンツ導入にあたりおさえておくべきポイントを6つお伝えしたい。

1.はじめにインフラありき

動画コンテンツをストレス無く扱うために必要なサイト環境を構築しよう。 折角クォリティの高い動画コンテンツを準備しても、サイトの反応が鈍かったり、動画のダウンロードが遅い、などといった状態ではユーザーはすぐにサイトから離脱してしまう。

ネットワークの帯域幅やサーバーの処理能力に注意しよう。 また、アクセス解析、モバイル対応など、必要な機能にはコストをかけよう。

2.動画制作は専門会社にアウトソーシング

高品質な動画コンテンツを自社制作するのは至難の業だ。 ECサイト向けの動画コンテンツ制作の経験のある会社を探し、制作はアウトソーシングしよう。 その時に、Webだけでなくスマートフォンやタブレット向けにも利用出来るようにしておくこと。 また、数をまとめて発注することで制作単価を下げることも検討しよう。

3.ブランドアンバサダーを利用しよう

あなたのサイトやブランドに高いロイヤリティを持ち、製品やサービスを広めてくれる顧客を「ブランドアンバサダー」に任命し、動画に活用しよう。

特定のブランドアンバサダーが頻繁に動画に登場し製品の紹介やプレゼンテーションを行うことで、顧客はあなたの会社やサイトではなく、そのブランドアンバサダー個人に親しみをおぼえ、より強い結びつきを感じるようになる。

それにより、製品やメッセージを広めやすくなるのだ。

4.使い倒さなきゃもったいない。一つの動画をあらゆる目的に活用しよう

コストをかけて制作した動画コンテンツを、Webサイトに載せておくだけではもったいない。 動画から静止画を切り出して製品パンフレットやチラシなどの印刷物に利用したり、プレスリリースに使うこともできるだろう。

5.ソーシャルメディアでの拡散を狙え

制作した動画コンテンツは、自社サイトだけでなくYouTubeやVimeoなどの動画共有サイトにも公開しておこう。ソーシャルメディアの強みの1つは”共有と拡散”だ。ユニークかつ高品質の動画コンテンツであれば、おもわぬところでクチコミが拡がる可能性も。

6.熱意をもって、感情に訴えるメッセージを

マーケティングツールとしての動画コンテンツからどうやって購買に繋げるか。。そういった戦略ももちろん大切だ。 だが、顧客に対してあなたが伝えたいメッセージを、熱意をもって伝えることを忘れてはいけない。

動画は語り手の声や表情、熱意を余すところなく伝えることのできるコミュニケーション手段だ。 あなたがその製品やサービスを通して顧客に届けたいものはなんなのか。 その熱を感じ、感情を動かされた顧客こそが「購入」ボタンをクリックしてくれることだろう。

おわりに〜中小企業ほど、今から取り組むべき〜

前述したようなトップブランドを除いて、中小企業での動画コンテンツの導入はまだまだ少ないのが現状だ。

しかし、それこそが大きなアドバンテージになる。 中小企業や個人こそ、今から動画コンテンツに取り組み、ノウハウを吸収しておくべきではないだろうか。

様々な速読法や飛ばし読みの技術のある”読む”という行為に比べ、”視る”行為には時間短縮の術が限られている。

だが、ユーザーの時間は有限だ。

ネット上に動画コンテンツが増えれば増えるほど、その限られた時間を奪い合う競争は激しさを増していくだろう。

それにつれて、ユーザーのコンテンツに対する眼も加速度的に厳しくなっていく。

取り組むべきは、いま、だ。

<参考> ・ECサイトこそコンテンツマーケティングを始めるべき理由 ・How Retailers Can Use Video for E-Commerce ・Video Content For Ecommerce Sites = Improved Search Results + Increased Sales ・How Consumers Shop With Video: 2012 Survey

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