マーケティングが苦手なあなたに!「参加型コンテスト事例」

EC(Eコマース)
ソーシャルメディア時代のマーケティングでは、人々が興味を持ってくれるようなコンテンツを作る事が重要だ。しかし、ブログや動画などの面白いコンテンツを作るのはなかなか大変だ。
アメリカでの調査結果だが、「魅力的なコンテンツを作るのが難しい」と答えた人が、調査対象の4割近くに達している。(Marketing Prof調べ)ソーシャル・メディア先進国のアメリカでこれだから、日本企業は、もっと厳しい状況だろう。
想像してみよう。
あなたは、中小企業のオーナー経営者だ。社内には専任のマーケティング担当者も居ないし、コンテンツを作るノウハウも無い。あなたは、いったいどうするだろうか?
今回、ご紹介したい事例は、一般の人が応募できるコンテスト企画を使って、予算をかけずに、魅力的なコンテンツを沢山作成する事に成功した事例だ。予算が少ない、人が居ないという問題で困って居る人は、是非参考にして欲しい。
マーケティングが苦手なあなたに!「素人参加型コンテスト」
実況レポーター大募集
2010年の夏に、シカゴにある科学産業博物館でユニークなコンテストが実施された。それは、博物館の広報担当者を一般から募集するというものだ。ただ、普通の広報担当と違うのは、博物館に30日間、毎日寝泊りし、ソーシャルメディアを活用して博物館の魅力を伝えるというものである。
コンテストの優勝者は、1万ドルの賞金、パソコン、一生涯使える博物館の入場資格が与えられる。このコンテストは、事前にTwitterを通して、ブロガーや主要メディアに周知され、開始前から関心を集めた。
このコンテストには1500人が応募、それぞれがYoutubeの動画を作って、熱心に自己アピールを行った。その中から選ばれたのは、シカゴ在住の24歳の女性であるケイト・マグロアーティである。彼女には、T-シャツ、ブログを書くためのパソコン一式、館内の全ての場所にアクセスできるカードが渡された。
ソーシャル・メディアで博物館の魅力を中継
博物館にまず、ケイトは、ブログを使って、毎日1回、博物館の魅力を伝える記事を書く事からスタートした。そして、次にYoutube、Twitter、Facebookなど、様々なソーシャルメディアを組み合わせて、情報発信をしていった。
Youtubeの専用チャンネル
ケイトが開設したYoutube上の専用チャンネル。毎日、博物館の様子を実況中継する動画を撮影し投稿していった。このチャンネルは、大変人気で、多くのコメントを集める事が出来た。
ケイト自身のツイッターアカウントも活用し、告知を行った。
Facebookページ「ケイトの博物館1か月生活」
一番人気だったのは、ケイトがたち上げた、「ケイトの博物館1か月生活」というフェイスブックページだ。ここで、博物館の写真を多数掲載し、大勢の人のコメントを集める事が出来た。
Facebookでの写真投稿は、大勢の人の目にとまりやすいので、ぜひ、真似したいポイントだ。この公式ページはこれまでに15000をこえる“イイね”を獲得し、いまだに “イイね”を集め続けている。
ケイトが取材した題材は?
彼女が取り上げた題材は、博物館のユニークな展示品、博物館の中で働いている従業員やガイドへのインタビュー、博物館でのイベント等である。
例えばこれだ。こちらは、巨大な時計の展示品だが、従業員の勤怠管理に使われていたそうだ。
こちらは、ワークショップに参加した時の様子。ふわふわのお菓子のように見えるが、これは薬品を混ぜて作ったもので、実際には食べられない。
イベントの効果は?
今回の「30日間泊まり込み」コンテストは大成功だった。シカゴ科学産業博物観は、予想を上回る成果をあげたとして、現在、2回目の泊まり込みコンテストを実施している。
このような、一般の人が参加するコンテスト型のイベントを実施する事のメリットは何なんだろうか?
1 自分達の魅力の再発見
会社の中で毎日仕事をしていると、色々な事が当たり前になってしまう。このため、本当は魅力的なコンテンツに自分達では気付いていない事が多い。今回のように、外部の人を巻き込み、様々なものを見てもらい、体験してもらう事で、自分達が見逃していた魅力を再発見する事が出来るだろう。
2 手作り感こそが面白い
ケイトは普通の消費者だ。コンテンツ作成のプロでも何でも無い。実際、彼女の動画や写真は、素人っぽい手作り感あるれるものだ。しかし、ソーシャル・メディア時代では、むしろ、この素人っぽさが重要だ。お金をかけて、プロの会社にコンテンツを制作してもらわなくても、家庭用のビデオカメラ、デジカメなどで、面白いコンテンツを作る事は可能なのである。
3 見ている人が共感しやすい
今回のような、実況中継レポートのメリットは、読者が共感をしやすいという事だ。ケイトは、シカゴに住む「ごくごく普通の女の子」なので、見ている人が友達感覚で応援しやすい。
実際、Facebookやブログの書き込みを見ると、彼女を応援するコメントが多い事に気付く。これは、自分と境遇の近い人が出演し、その応援が出来る環境を整える事は大変効果的だ。
若手のお笑いや若手タレントを応援したくなるのと同じ心理である。
4 外部の人にコンテンツを作ってもらえる。
社内にマーケティングの担当者が居ない、社内にブログを書いたり、Youtubeの動画を撮影するノウハウが無い会社は多いだろう。そのような会社でも、一般の人をコンテストで募集し、実況中継コンテンツを作成してもらう事で、多数のコンテンツを作成できるのではないだろうか?。
5 口コミが広がる
今回のようなコンテスト型のイベントでは、盛上がりのポイントを複数作れるのがポイントだ。
最初に、応募者の募集の告知に始まり、一般の人からの投票受付、優勝者の発表、実況中継、打上げと、それぞれの段階でコンテンツを作成し、ソーシャルメディアで広げる事で、口コミが広がり、盛り上りを作りやすい。
人が集まるイベント、盛り上がるイベントは、雑誌や新聞、テレビなどの関係者も興味を持ってくれやすいものだ。PR的な効果も期待できる。
6 投資対効果が高い
今回、コストとしてかかったのは、優勝者であるケイトに授与された100万円とパソコン代、そして、ブログやFacebookページの制作コスト程度である。
一方で、マーケティングの効果としては、多数の人がFacebookやYoutubeを使って、博物館に興味を持っただけでなく、主要メディアや有力ブロガーの注目を集め、大きなPR効果を得る事が出来た。
7 顧客とつながるチャネルを手に入れた事
そして、何よりも貴重なのは、博物館が地元の大勢の人と直接繋がるチャネルを手に入れた事だ。それまで誰も見る人の居なかったブログを、大勢の人が見てくれるようになり、Facebook、Twitterなどにコメントを寄せてくれるようになった。まさに、地元の人を博物館のコミュニティの一部に取り込むことに成功したのである。
まとめ
どうだろう?参考になっただろうか?
あなたの会社で、コンテストをやるとしたら、どのような形があるだろうか
小売りであれば一日店長、メーカーではれば工場見学など、アイディア次第でいろいろな取り組みが出来るだろう。
今回、シカゴの博物館は、100万円の賞金だったかが、小さな規模でやるのであれば、賞金はもっと小さくても問題ないはずだ。
大事なのは、今回の「博物館泊まり込み」のように参加者が集まる面白い企画内容にする事である。
あなたは、どのような視聴者参加型コンテストが面白いと思いますか?
参考資料:Huffington Post, Hubspot
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