「自分の夢」をアップロードしてプレゼントをゲット!マークジェイコブスのキャンペーンから学ぶデジタルマーケティング

デジタルマーケティング

マークジェイコブスは、ファッションデザイナーのマーク・ジェイコブスが立ち上げたファッションブランドだ。洋服だけでなく、バッグや靴・アクセサリー・時計・財布・フレグランスまで、幅広く取り扱っている。

今年(2014年)に入ってから、マークジェイコブスは、すでに3つのユニークなキャンペーンを行っている。しかも、どれもオンラインとオフラインを組み合わせていることが興味深い。

本記事では、それぞれのキャンペーンを順に見ていくとともに、マークジェイコブスが仕掛ける、マーケティングの強みに迫ってみたい。

SNSの投稿で豪華なプレゼントがもらえるDaisy Marc Jacobs Tweet Shop

今年の2月、マンハッタンに登場したのが「Daisy Marc Jacobs Tweet Shop」。これは、人気フレグランス「デイジー」のキャンペーンとしてオープンした、期間限定のポップアップ・ストアだ。

このお店で、お金は何の価値も持たない。では、何と引き換えに商品を手に入れるのか……? 答えは、TwitterやFacebook、または、Instagramへの投稿だ。

ソーシャルメディアに優しい店舗には、心地良いラウンジに食べ物や飲み物、そして、Wi-Fiが用意されている。そこでお客さんは、ハッシュタグ「#MJDaisyChain」を使って、画像やテキストを投稿し、帰りにプレゼントを受け取れるという仕組みだ。

もらえる物は、フレグランスからネックレス、財布などなど。さらに、その日ごとに、Instagramに投稿された写真のなかから最優秀作品が選ばれ、優勝者には、ハンドバッグが贈られた。

自分の夢をデジタル「タイムカプセル」に預けるDream Room

次にご紹介するのは、ロンドンのウェストフィールド・ホワイトシティ・ショッピングセンターにオープンした、「Dream Room」。こちらは、7月に1週間の期間限定で行われた、フレグランスの新商品「デイジードリーム」のキャンペーンだ。

そのポップアップ・ストアの空間は、「デイジードリーム」をテーマにした、まるで夢のようなデザインとなっている。訪問者に、「デイジードリーム」の世界観を体験してもらうのが目的だ。

今度のプレゼントは、ニューヨークシティへの旅。そして、エントリーに必要な条件は、自分の夢を、iPadから「ドリームカプセル」にアップロードすることだ。

訪問者には、雲の形をしたクッキーや記念写真といったお土産も配られる。写真は、後に、直接本人にメールで送られるので、ハッシュタグ「#MyDaisyDream」を付けて、SNSでシェアすることも可能だ。

さらに、「ドリームカプセル」に入っている参加者の夢は、1年後に本人の下へ送り届けられることになっている。夢を忘れがちな忙しい現代人に、本当に望んでいるもの、目指すものを思い出させてあげるというわけだ。

Daisy Marc Jacobs Tweet Shopがロンドンにも登場!

そして8月に、前述の「Daisy Marc Jacobs Tweet Shop」が、初めてロンドンにも登場した。

クレジットカードや現金が使えない、という点は同じである。使えるのは、ソーシャル通貨のみだ。

また、ハッシュタグ「#MJDaisyChain」でSNSに投稿することで、お店で使えるクレジットをゲットするルールも変わっていない。投稿は、テキストでも画像でも、Vine動画でもOKだ。

その日、一番クリエイティブな写真をツイートした人は、マークジェイコブスのハンドバッグがもらえる。

クレジットと引き換えにもらえるのは、「デイジー」「デイジードリーム」「デイジー オーソーフレッシュ」のサンプル3つ。他にも、ファッションアイテムやアクセサリーと取り換えることもできる。

ポップアップ・ストアで提供されているのは、無料のWi-Fi・ラウンジ・飲み物・ネイルバー・フォトブースなど。また、デイジーをテーマにしたLangley Foxのアートワークも楽しめる。

マークジェイコブスのマーケティングが効果的なわけ

今回ご紹介した事例は、どれも自動的に、そして、とても自然に、インタラクティブな体験を提供していることがわかる。ユーザー参加型マーケティングのお手本と言えるだろう。

かなり、予算はかかっているはずだ。しかし、「ソーシャル通貨」、つまり、オンラインで投稿してもらうことに、どれだけの価値があるかをわかっているからこそできるのだと言える。

また、ゲーミフィケーションをうまく取り入れているのも、参考にしたい点の1つだ。投稿をコンテスト形式にすることで、お客さんのなかにある、「自分が一番のファンであることを証明したい!」という気持ちを刺激している。SNSへの投稿数はどんどん増え、キャンペーンはさらに盛り上がっていくだろう。

しかし、マークジェイコブスがファンに対して、ここまで気前がいいのには他にも理由がある。

同ブランドのグローバルマーケティング部長であるLori Singer氏によると、キャンペーンは、ファンへの感謝のしるしであるとのこと。つまり、オンラインで「デイジー」に対する愛を表現していたファンたちに、オフラインで直接感謝を伝えたということでもあるのだ。

テクノロジーとその効果を熟知しているマークジェイコブスの快進撃は、今後もまだまだ続くだろう。次は、どのようなマーケティングを仕掛けて私たちを驚かせてくれるのか、とても楽しみである。

参考元:?Marc Jacobs Opens Pop-Up Shop Where Fashionistas Pay With Tweets?Marc Jacobs Pop-Up Shop Takes Tweets, Instagrams for Payment?Marc Jacobs Fragrance Installation Asks Shoppers to Upload Their Dreams?Marc Jacobs harnesses the power of dreams to launch ‘Daisy Dream’ fragrance with experiential promotion at Westfield White City?Trade Hashtags for Handbags at Marc Jacobs Tweet Shop?Marc Jacobs: Tweets For Treats

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