4秒で顧客の心をつかめ!ランディングページ(LP)のファーストビューにストーリーをまとめてアクション率を高める方法

コンテンツマーケティング
ランディングページの最終目的は、そのページを訪れたユーザーに、「お問い合わせ」「注文」のアクションを起こさせることだ。アクション率の高いランディングページは、訪問者が最初に見る画面(ファーストビュー)に、アクションへと誘導するストーリーを作っている。そのストーリーは、3つのステップで成り立っていることをご存知だろうか。
ユーザーがアクションに至るまでの心理的3つのステップ
ランディングページは、ユーザーが最初に目にする画面、ファーストビューですべてが決まる。一時期、『人は見た目が9割』(竹内一朗著)というビジネス心理学の本がベストセラーになったが、ランディングページの場合は、「ファーストビューは見た目が10割」なのである。
ファーストビューの「見た目」を10割にするには、ユーザーの心理を読み、誘導する仕掛けを作る必要がある。その仕掛けは、3つのステップで成り立っている。
1. 3秒の法則:発見する
ページを訪れたユーザーは、画面が開いた瞬間にそのページが、「何を」「誰に向けて」「どうやって」提供しようとしているのかを、瞬時に判断する。つまり、そのページを発見するのである。そしてそれにかかる時間は、3秒以内。
認知心理学によれば、人があるものを認知して判断するのにかかる時間は、平均3秒以内。ちなみにテレビCMは、最初の3秒で視聴者にインパクトを与えられなければその商品の購買率は下がる、ということを前提に構成が考えられているものが多い。
ファーストビューにおいてまず大事なのは、最初の3秒間をつなぎとめるための、心理的な演出である。
2. 4秒の法則:魅力を感じる
ページの趣旨を認知したユーザーは、その画面から魅力を感じるかどうかを無意識ではかる。そのための時間は、多くて4秒から5秒。もし、この数秒間で、ページの最初の画面に出てくる情報に魅力や興味を感じなければ、ユーザーはそのまま立ち去っていく。
なぜそんなことがわかるのかというと、ネット上におけるユーザーのふるまいは、街の繁華街における通行人のふるまいと、質的に同じ心理経緯をたどっているからである。
例えば、街中で、ある通行人が飲食店に入店しようと店頭までやってくるとする。ほとんどすべての通行人は、店頭で入店するかどうか迷う。外から店内が見えない分、店頭に掲出されている情報だけで判断しなくてはならないからだ。
店頭で迷っている通行人が、その店に魅力をより強く感じることができれば、彼は入店し、店は顧客をひとり増やすことになる。ところが、店頭に出す情報に魅力を感じなければ、通行人はそのまま立ち去り、二度と店の客になることはない。この間にかかる時間は、4秒から5秒。これは、統計的な数字である。
ランディングページにおいても同じだ。ファーストビューで魅力を感じなければ、そのユーザーはスクロールすることなく、立ち去ってしまうだろう。4秒でユーザーに興味を抱かせる演出が、ファーストビューには必要なのである。
3. 「安心感」で誘導する
「発見」し「魅力」を感じたユーザーは、ほぼ間違いなく画面をスクロールするだろう。そこからアクションに至るまでのハードルはかなり低くなる。その鍵は、「安心感」。
先ほどの街中の例をもう一度引く。
店頭までやってきたのにも関わらず、入店をためらうのは、「不安感」を抱くからだ。「店内の雰囲気」「料金」「サービスの質」など、瞬時にさまざまな不安要素を想像し、常に最悪を想定するのが、通行人である。店頭で通行人の不安を払しょくするための、なんらかの演出を行っている店ほど、店頭からの入店率は高くなる。
ランディングページにおいては、「それは実効性のあるサービスなのか?」「それを購入して本当に得になるのか?」「この会社は信用できるのか?」「金額に見合った満足感をもたらしてくれるのか?」……などという不安感の解消が必要だ。ファーストビューで不安感を解消する演出をすべてする必要はない。しかし、その一端でもほのめかしていれば、ユーザーを「お問い合わせ・購入」というアクションに導くことは、もう難しくない。
ファーストビューでアクションまでのストーリーを作っている実例
ユーザーがアクションに至るまでのストーリーを、3つのステップで演出しているページを紹介しよう。国内事例2つと海外事例1つを紹介したい。
国内事例
・サンデープランニング「わくわくカヤック体験」
この株式会社サンデープラニングのランディングページは、開いた瞬間に「カヤック遊び」をする子どもたちの姿が目に飛び込んでくる。同時に、「わくわくカヤック体験」「長野県野尻湖」「友達と家族みんなでやってみよう」という3つのコピーで、即座に「カヤック教室」であることが理解できる。さらに、その画面には、レッスンプランの料金がわかりやすく配置されているので、「安心感」を抱く。例えば、夏休みに家族旅行を計画している人ならば、このファーストビューでアクションを起こしやすくなるはずだ。
・スマート電子ブック(佐川印刷)
画面が出てきた瞬間、目が釘付けになった。浮世絵風イラストである。しかも、江戸の大店の女将風な女性がふたり。彼女たちが手にしているのは、どうやらスマホである。和テイスト満載なイラストに、スマホの違和感。さらに、何を紹介しているのかとコピーを読めば、「スマート電子ブック」の文字。ご丁寧に縦書きの筆文字である。この段階で興味津々。どうやら、「オリジナルの電子ブックを作りませんか?」という提案らしい。サンプルへのリンクも、このファーストビューに貼ってある。サンプルの購読率は高いんだろうなあ……と、想像できる画面構成だ。
ふと気がついた。そういえば、江戸歌舞伎や刷版による草紙(いまでいう雑誌)の贔屓筋は、このイラストのような江戸商人の女将さん連中だった、ということに。そこまで含んでデザインしているのなら、これはすごい!
海外事例
・Todoist
この画面キャプチャを見ただけでは、「なにがすごいの?」となるだろう。行けばわかる。このページにたどりついた瞬間、パソコン画面がオシャレなヨーロッパ映画風な映像を映し出すスクリーンに変わるのだ。動画である。30秒ほどのパステルカラーを基調にした動画が、ループする。テーマは、「Todoist」のある情景。つまり、このランディングページで提供するTo-do listアプリの宣伝を、商品そのものではなく、商品のある日常のシチュエーションを作り、動画にしてモンタージュしているのである。音声が一切流れないのに、頭のなかには音楽が流れてくる。映像作品としてクオリティが高い。かつて映像作家だった私は、嫉妬してしまった。それほどクオリティが高い。
そして、ワンフレーズのコピー。
Over 1 million people are doing amazing things with Todoist, the world's most powerful to-do list.
世界で最も強力なto-do list……読んだ瞬間、「大きく出やがったなあ」(汚い言葉で申し訳ない)とため息をついた。とにかくこのページは、一度は見ておいた方がいい。シンプルでありながら、ユーザーの心を確実にとらえるファーストビューになっている。
ユーザーは企業名よりもサービス内容を知りたがっている
様々な企業のランディングページを見ていると、時々、ファーストビューに企業名を全面に出したページを見かける。ところが、ユーザーが望むのは、そこがどんな企業のページか、ということを知りたいのではなく、そのページでは、どんなサービス・商品を、どうやって自分に提供してくれるのか、それはどのくらいの価格(もしくは、そのサービスを受ける資格は何か)なのか、ということに一番の関心があるのだ。
企業のブランディングを考え、社名を全面に出そうとしているのだろうが、それは逆効果である。ナイキやスターバックスコーヒーのブランディングを手がけたスコット・ペドベリは、「ブランドとは記憶の総和である」という言葉で、ブランド化にとって大事なのは、その企業が消費者に提供する商品を多数の人に認知してもらうことだと、語っている。
このブランディングの原則は、ランディングページにも当てはまる。大事なのは、ファーストビューでそこが何を提供するページなのかが、明確に理解できる演出がされているかどうかなのだ。
人気記事
関連記事