ローカルな本屋さんから、オンライン書店では真似できないコンテンツマーケティングを学ぼう!アメリカの事例3つ

EC(Eコマース)

Amazonが君臨し、電子書籍も普及している今、本屋さんが苦戦を強いられていることはご存知だろう。

「本は、オンライン書店で手軽に購入できるので、本屋さんに足を運ぶ機会が減っている」という読者の方も多いのではないだろうか?

そんななか、ローカルながらもがんばっている本屋さんが世界には存在する。本記事では、コンテンツマーケティングを取り入れているアメリカの本屋さん3店をご紹介しようと思う。

オンライン書店では真似できない例もあるので、参考にしていただきたい。

事例その1:White Birch Books

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出典:White Birch Books – Conway, NH – Book Store | Facebook

まずご紹介するのは、ニューハンプシャー州のホワイト山地にある「White Birch Books」。美しい自然に加えて、雰囲気のあるお店、優れたカスタマーサービスも魅力だ。しかし、オンラインのコンテンツマーケティングにも手を抜いていない。

特に力を入れているように見えるのがFacebookページだ。お店の魅力がそのまま反映されているようなコンテンツを提供している。更新は定期的だが、多すぎないところもよい。

ユーモアを取り入れることも忘れていない。例えば、バレンタインの季節には、「私たちは本とチョコレートが大好き! 2月にチョコレートを持ってきてくれれば、感謝のしるしとして、10%割引させていただきます」といった投稿をしている。

また、コミュニケーションにつながるような質問を投げかけるのもうまい。「あなたは本を読みながら寝てしまうタイプ? それとも、本に夢中になって遅くまで起きているタイプ?」というような投稿を目にしたら、本の虫であれば、ついつい反応してしまうのではないだろうか?

他にもブログやニュースレター、スタッフのおすすめ作品などのコンテンツを提供しながら、イベントも開催している。

事例その2:Strand Bookstore

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出典:Strand Book Store (strandbookstore) on Twitter

次は、ニューヨーク市にある「Strand Bookstore」。この本屋さんが行っているコンテンツマーケティングでまず注目したいのが、ニュースレター「The Buzz」だ。

毎週発行の「The Buzz」では、マイケル・カニンガムのような著名な作家を取り上げている。作家たちの作品はもちろんのこと、そうした作家たちが好きな作品も紹介しているのがポイントだ。「本当に本を知っているプロの推薦」でつくられたコンテンツは、「Amazonの機械的なおすすめ機能」とはレベルが違うということをわかっていただけるだろう。

もちろん、ソーシャルメディアも賢く活用している。例えば、Twitterでは、「選び抜かれたアートブックのリスト」といった一度限りのちょっとしたコンテンツが多い。ちなみに、Twitterのフォロワー数は、約3万9000人、Facebookの「いいね!」数は、約3万1000(2014年8月時点)なので、効果はまずまずと言えるだろう。

もう1つ特筆すべきなのは、「Personal Collections」というキュレーション・サービスだ。これは、古典・受賞作・初版本といったコレクションの充実を、プロが手助けしてくれるというもの。コレクターたちの本棚やコレクションの写真も、楽しめるコンテンツの1つだ。

著名作家を招いた朗読も行っているが、これもローカルだからこそできること。こうしたイベントのプロモーションも、ソーシャルチャネルを通じて、うまく行っている。

事例その3:RiverRun Bookstore

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出典:RiverRun Bookstore(スタッフおすすめ作品のページ)

最後は、ニューハンプシャー州ポーツマスの「RiverRun Bookstore」だ。

この本屋さんは、カスタマーサービスや、コミュニティーとのつながりをとても大事にしている。小さなお店の場合、オフラインを重視すると、なかなかオンラインの方まで手が回らないものだ。しかし、工夫をしながらオンラインでのコンテンツマーケティングも行っている。

コンテンツ配信に使っているのは、主にTwitterとニュースレター。「RiverRun Bookstore」の場合、どのソーシャルチャネルにも、あえて同じコンテンツを使っているそうだ。スモールビジネスであるため、こうしないとお店を運営する時間がなくなってしまうからである。

ブログではニュース、本の宣伝、スタッフの選んだおすすめ作品の紹介といった記事を投稿。スタッフにも記事を書かせようとしているそうだが、今のところ店長の投稿が多いように見える。

店長のTom Holbrook氏は言う。「ただドアを開けて待っているだけでは、人は来てくれない。常に皆の前に姿を見せ、自分の個性を伝える必要がある。ソーシャルメディアはそれを可能にする方法の1つだ」

作家を招いたイベントも行っており、地元の作家が自費出版できる出版社も立ち上げたというのが驚きだ。コンテンツマーケティングを適度に取り入れながら、読者と作家のコミュニティーを築き上げた素晴らしい事例である。

最後に

3つの事例全てに共通しているのは、オフラインとの組み合わせだ。

お店そのものの雰囲気や、イベントの開催といったオフラインの要素をうまく使っている。ローカルな本屋さんだからできる、コンテンツマーケティングの工夫と言えるだろう。

今回は本屋さんを取り上げたが、他の分野にも応用できるヒントがたくさん隠れているはずだ。特に、オンラインとオフラインの両方で販売を行っている方に役立てていただきたいと思う。

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