コンテンツマーケティングの成功と失敗から学ぼう!オーストラリアのファッションブランド「Black Milk」の事例

コンテンツマーケティング
「Black Milk」は、オーストラリア発のファッションブランド。「ディズニー」「スターウォーズ」「バットマン」「お姫様」などをテーマにしたアイテムは、どれもユニークだ。その少し風変わりとも言えるスタイルは、世界中の個性的な女子たちから愛されている。
しかし、「Black Milk」がユニークなのは、商品だけではない。ソーシャルメディアを使って、とても個性的で興味深いコンテンツマーケティングを展開しているのだ。
また、ソーシャルメディアマーケティングでの大きな失敗も経験している。本記事では、そんな「Black Milk」の成功と失敗、両方の例を取り上げてみようと思う。
出典:Black Milk公式サイトより~「バットマン」ファッションのページ(※カーソルを置くと、モデルの後ろ姿が見られるのが親切だ)
見習いたいハッシュタグのひと工夫
オンラインでアパレル商品を販売することは、簡単なことではない。試着することも、商品に直接触れることもできない……。それが購入を躊躇(ちゅうちょ)する、大きな理由になり得るからだ。
そこで「Black Milk」が考えたのは、商品名だけでなく、商品のサイズも含めたハッシュタグである。購入者は、そのハッシュタグを使って、商品を身につけた自分の写真を投稿する。購入を考えている人は、自分と似た体型の人を見つけて、自分に合うかどうかを判断できるというわけだ。
また、異なるサイズの入ったハッシュタグを広めることは、「どんな体型の人にも合うアイテムが揃っていますよ」というメッセージにもなる。
このユニークなハッシュタグのアイデアは、SNSに投稿されたファンたちの“自撮り写真”から得たのだそうだ。いろいろな体型、さまざまなサイズの女性たちが自社商品を着こなしているのを見て、ひらめいたらしい。
「Black Milk」は、ファンたちが自主的に行う自撮り写真の投稿を、ハッシュタグでさらに加速させ、情熱的なフォロワーをどんどん増やしていく。ちなみに、広告を出したことは一度もないそうだ。
このサイズ別のハッシュタグ+画像というコンテンツは、「モデルみたいじゃない私でも着られるのかしら?」という、見込み客の疑問を解消した。そして、試着できないというデメリットを見事に乗り越えたのである。
ファンを失った痛い失敗
このように「Black Milk」は、ソーシャルメディアを通して順調にファンを増やし続けていた。しかし、大きな失敗をしてしまったのもまた、ソーシャルメディアであった。
事件は2014年5月、「Black Milk」がFacebookページへ投稿した1枚の画像から始まる。それは、2人の女性の写真が並べられたものだ。
「好ましい」とされる方は、ブランドの商品を着た、細くてセクシーなモデル。そして、「現実」とされる方は、アメリカのテレビドラマ「ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則」に登場する、垢ぬけない印象のエイミー・ファラ・ファウラーだ。
この明らかな「イケてる女性」と「イケてない女性」の比較は、「Black Milk」の熱烈なファンたちを怒らせた。Facebookページに記されている、「他人の身体について批判をしないこと」という決まりごとに、自らが反していると大騒ぎになったのだ。
さらに「Black Milk」は、ファンたちからのクレームに対する対応でも、過ちを犯してしまう。「自分たちのジョークに気分を害したのであれば、ファンをやめてもらって構わない」という態度を取ったのだ。今までブランドに貢献してくれたお客さんたちを締め出すという選択は、賢いとはとても言えない。
最終的に「Black Milk」は謝罪したが、それは、多くのファンを失望させた後のこと。この一連の出来事が、大きな痛手となったのは確かだ。
ハッシュタグを使った快進撃は続く
出典:Black MilkのFacebookページより~Princess Flatlayコンテストのアルバム
その後「Black Milk」は、初心に返ったのだろう。そして、今でもファンを喜ばせている。
最近の例で注目すべきなのは、「プリンセス」と「悪女」がテーマの「flat lay」コンテストだ。flat layとは、上記の画像のように、複数のファッションアイテムをまとめて、平らに並べたものを指す。今回のハッシュタグは、「#bmprincessflatlay」と「#bmvillainsflatlay」だ。
「Black Milk」は、今後も、ハッシュタグでファンにインスピレーションを与え続けるだろう。そして、ファンもその期待に応えて、ユニークなコンテンツを提供し続けることは間違いない。
最後に
成功と失敗の両方を経験した「Black Milk」の事例は、勉強になる部分がたくさんある。特に、ハッシュタグのひと工夫加えた使い方などは、とても参考になるのではないだろうか。
また、ちょっとした油断が多くのファンを失ってしまうきっかけになることを、再確認できたと思う。これは、非常にもったいないことだし、どんな企業にとっても大きな損失となる。
ファンをどれぐらい取り戻せたのかは不明だが、2014年9月末現在でもFacebookページの「いいね!」の数は、69万を超えている。今後どんなコンテンツマーケティングを展開していくのか、期待しつつ見守りたいと思う。
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