世界中のヘンなシーンが保険パンフレットに!Allianz(アリアンツ)の事例から学ぶ、堅い業界の柔らかマーケティング

コンテンツマーケティング

「読者に受け入れられるためには、面白いコンテンツが必要。でも、ウチの商材は、イメージの固いものだから面白くするのが難しい……」そんなふうにお困りのマーケティング担当者は、いないだろうか。

確かに、保険や医療の分野は、堅いイメージが定着してしまっており、面白いコンテンツを生み出すのは難しいかもしれない。下手をすると、「不謹慎だと言われてしまいそうで怖い」と考えるのもうなずける。

しかし、そこはアイデアで勝負してみよう。今回は、その「堅い」商材である保険の販促ツールで、面白いコンテンツを生み出している事例を見つけたので、ご紹介したい。

Googleのストリートビューと保険パンフレットを融合

ご紹介するのは、ドイツの大手保険会社Allianz(アリアンツ)の事例だ。外資系保険会社として日本でも展開されているので、ご存知の方も多いだろう。

保険のパンフレットというと、とかく難しいイメージがつきまとうもの。いくらわかりやすく説明しようとしても、「免責」「特約」「満期」などの専門用語が散りばめられ、内容を正確に理解するのは至難の技である。生命保険や損害保険など種類も多く、どの保険に入れば自分の不安が解消されるのかも、いまいちわかりにくい。

「何だかわからないけど、もうこれでいいや」と、さじを投げてしまった経験のある人もいるのではないだろうか。

しかし、同社がフランスで制作したパンフレットは、ひと味違う。Googleマップのストリートビューに映り込んでいる「ヘンなシーン」を取り上げ、自社の保険内容の説明に利用してしまったのだ。その概要は、以下の動画にまとめられているので、ぜひご覧いただきたい。

Youtube/Allianz Real Life - L'assureur de la vraie vie

 

 

 

保険パンフレットは、ここまで楽しくなる!

ご存知の方も多いだろうが、Googleのストリートビューは、世界中の街並みを専用の車で撮影し、パノラマ画像として見ることができるサービスである。

本物の街並みを撮影しているからこそ、思いもよらない「ヘンなシーン」が映り込んでいる場合があり、ネット上では、まとめサイトが作られるなど、話題になったこともある。

同社は、ここに目を付け、「もしこんなシーン、ウチの保険に入っていれば……」と、保険内容の紹介をするパンフレットを制作してしまったのだ。以下で、その具体例をいくつかご紹介しよう。

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出典:banlable news/Allianz France launches Real Life with Google Street View

雪の中で、スタックして動けなくなった車。「こんなときでも、Allianzのロードサービスならすぐに駆けつけます!」と紹介している。

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出典:banlable news/Allianz France launches Real Life with Google Street View

男が門を乗り越えようとしている。こんなシーンには、「強盗に入られてしまった場合でも、Allianzの保険に入っておけば安心です」というコメントが付与されている。

もちろん保険という商品の性質上、これだけでは、説明が不十分であることを否定できない。実際、Allianzのキャンペーンサイト上でも、それぞれの画像にはリンクが貼られており、そこから詳細な説明が読めるという仕掛けになっている。

しかし、難しく、つまらないというイメージの強い保険パンフレットが、ここまで面白いものになることが驚きである。これなら、それほどストレスを感じずに、続きの説明を読むことができるのではないだろうか。

「保険」という難しいものと、ストリートビューの「ヘンなシーン」という2つを組み合わせた発想力には、脱帽するばかりである。

難しく、わかりにくいものは、誰でも敬遠したくなる

保険などの商材には、それにふさわしい信頼性が求められると思われがちだが、その発想こそが、取り付きにくいコンテンツを生み出すことになってしまう。

誰だって、難しく、わかりにくいものは敬遠したいもの。ときにはAllianzの事例のように、面白さを前面に押し出したコンテンツがあってもいいのではないだろうか。

今回の事例が、「楽しく、柔らかく!」を実践する参考になれば幸いである。

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