【アルゼンチンの危険運転防止キャンペーン】絶対に事故を起こさせない究極の道路標識とは?

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キャンペーンで効果を上げるにはインパクトが重要だ。

大事なのは、伝えたい内容がストレートに伝わることだ。しかし、なんの工夫も凝らさずそのものずばりを表現してもつまらない。インパクトを生み出すためには、人が思いつかないアイデアを、誰もが納得するような表現で伝える必要がある。

例えば、ハイウェイでアクセルを踏み込もうとした瞬間、事故を起こして大破した車の実物が目に入ってきたらどうだろう? 「事故を起こしたらどうなるか」という恐怖が、リアルに伝わってくるのではないだろうか。実際、アルゼンチンで行われた危険運転防止キャンペーンでは、事故を起こした本物の車が使われた。以下で、キャンペーンとして高い効果を上げたこの事例についてお伝えしよう。

キャンペーンの概要

広告代理店「Ogilvy & Mather」と地元の新聞「La Voz del Interior」の協力の下、事故で大破した車をリサイクルし、道路標識として使うという衝撃的なキャンペーンが実施された。

事後でグシャグシャになった車体の横には、「飲酒運転禁止」「スピード制限130キロ」「シートベルト着用」といったメッセージが、ハイウェイ脇に高々と設置されている。見慣れた交通標識と同様のデザインで、遠目からも見やすいよう考えられている。

キャンペーンのリーダーの一人であるJavier Sosa氏は、これは、事故を起こした際の状況がわかる道路標識として、優れた効果を上げていると語っている。

この「Life Signsプロジェクト」は、前述の広告代理店のグループ会社である「Ogilvy Argentina」のJavier Mentasti氏とMaximiliano Maddalena氏を中心に進められた。

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画像出典:La Voz Life Signs
以下も画像出典はすべて同じ

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キャンペーンによる効果

まずは、こちらの動画を見てほしい。

La Voz del interior “Life Signs”

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このキャンペーンにより、アルゼンチンのロザリオ州のハイウェイでは、スピード違反が40%減少した。同国のその他の地域でも飲酒運転は50%減少。ホリデーシーズンの交通死亡事故がゼロになるという驚異的な効果を出した。

交通事故で大破した本物の車をディスプレーするという大胆でリアルなアイデアは、危険な運転の結果をストレートに伝える。そして、ドライバーにあんなふうになりたくないというイメージを与え、恐怖や想像力を刺激する。

ポスターをはじめとした二次元では伝えきれない、本物だけが持つリアリティが一瞬で危険運転を踏みとどまらせた。その結果として、これほどまでの素晴らしい効果が生み出されたといえるだろう。

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「リアル」を追求する

キャンペーンを行う際、それが販売促進目的なら、良いイメージをリアルに作り上げるだろう。例えば、洋服のキャンペーンならどんなシチュエーションで、どこに着ていくかといったポジティブなイメージを表現する。また、クリスマス関連なら、誰とどこで過ごすかといったイメージを、ビジュアルを使って喚起する。いずれにせよ、消費者に行動を起こさせるためには、リアルなイメージが効果的なのだ。

しかし、ビジュアルを使ったリアルなキャンペーンは、ポジティブなイメージ喚起だけに効果的なのではない。今回の危険運転防止キャンペーンのように、事故で大破した車というインパクトのあるネガティブイメージを喚起させることも可能だ。

伝えたいメッセージを即座に伝えるために重要な要素は、「リアリティ」と「共感」だ。インパクトのあるキャンペーン作りの参考にしてほしい。

参考元:
La Voz Life Signs
life signs

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