立てた目標は達成したい。おさえておきたいKPI管理のキホン

経営・ビジネスハック

どのような企業経営においても必ず「将来どうなりたいか」という目標が存在します。たとえば、売上倍増やシェア5%アップ、といった目標が掲げられていることでしょう。しかし、そこに至るまでのプロセスを細かく明らかにし、正しく効果測定ができている企業となると、それほど多くないかもしれません。今回は、効率的な企業経営にかかせないKPI管理の概要をおさらいします。

 

KPI管理とは?

KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、重要業績評価指標と訳されます。簡単にいえば、目標を達成するために何をやるか、という点について具体的かつ定量的にしておきましょう、という考え方です。冒頭にも書いたように、通常、企業には「なりたい姿」があります。それを実現するためにいくつもの施策が立てられるでしょう。しかし、これらが単純に「新規顧客獲得」だけであった場合、一体何を基準にしてその活動がうまくいったのか不確かなままです。たとえば、10件の新規顧客獲得がある人(部門)にとっては「目標達成に近づいた」と考えられても、他の人には「これでは目標達成に程遠い」とされるかもしれません。このため、あらかじめ数値化した指標を持ち、それに基づいた客観的な評価をしていく必要があるのです。

このように、KPI管理は立案された施策の効果測定を行うにあたって有効ですが、数値化されたKPIをつくる際に施策の中身を細かく検討できることも大きな利点の1つです。施策とその効果を評価するための指標なので、誰もが見て理解できるものではなくてはなりません。そのためにはKPIは常に具体的で定量化されている必要があります。こうしたKPIを設定しようとすると、おのずとプロセスを分解して検討することができたり、あるいは現実味に欠ける施策を取り除いたりすることができるのです。こうして細分化されたアクションを定量的な価値で示せば、目標達成までの道筋が可視化され、そこまでの施策ごとのPDCAサイクルをスピーディに回していくことができるでしょう。

 

おさえておきたいKGIとKPIの違い

KPIとよく混同されがちなのが、KGIです。これは「Key Goal Indicator」を略した言葉で、「経営目標達成指標」と訳されます。その名の通り、最終的な目標がいかに達成されたかを測る指標です。KPIも指標であることに変わりはありませんが、KPIは目標を達成するための「活動」を評価する点が異なります。

両者は似た言葉ですが、それぞれを取り違えるとKPI管理で狙っていた効果が得られないこともあり、注意が必要です。設定に際しては「KGIからKPIに落とし込む」ことを意識するとよいでしょう。具体的なイメージとしては、「1年で売上を倍増させる」というKGIを立て、そのためには高単価の商品の販売を50%伸ばし、新規顧客を20件獲得するといった、目標達成につながる項目をKPIとして設定していきます。

KPI管理でおさえておきたいポイント

先に見たようなKGIとの違いの中には、KPIについて理解しておくべき重要なポイントが含まれています。それは、KPIはKGIを達成するためにブレイクダウンされた項目ということです。つまり、KGIは掲げた目標の達成を正しく知るために一定期間維持する一方で、それを達成するためのKPIは評価指標として、よりフレキシブルに速いサイクルで見直しを行ってもよいのです。KPI管理を行う利点はPDCAにあると述べました。各施策の効果測定から、思うような成果が得られていなかったり当初予想していた外部環境が変わったりしていることが明らかになったら、その前提でKGIを達成できるようなKPIに見直しを行うことも必要になります。これは、言い換えればPDCAサイクルをスピーディに回し、リアルタイムでKPI管理を行っていくことがKGI達成の近道ということでもあります。

こうしたKPI管理を実行することによって効果を得るためには、以下のようなことに留意しましょう。

実施する前に手順を決め、関係者に共有しておく

KPI設定だけを行って「できた・できない」を判断するだけではPDCAサイクルが回っていきません。KGIを達成するための手法として、KPIを設定しどういった形でレポーティングを行っていくか、結果に対する改善施策の検討や決定を誰がいつ行っていくのか、といった手順が定められていることも重要です。この際、担当者や責任部門を常にクリアにしておくことがおすすめです。この点が明らかでなければ、主体的に動かなくてはならない部門があいまいでアクションが滞ったり、結果を見てから行動の改善につなげられない恐れがあります。

目標や全体戦略、また業績に連動している

KGI達成のためであっても全体戦略と整合が取れていない施策を数値化したり、あるいは達成したところで業績への貢献が低いようなKPIは設定しても意味がありません。マクロな視点も忘れないように検討していくことが必要でしょう。

網羅的かつ実現可能なKPIを設定する

特定の項目に偏ったKPI設定を設定したり、目標だからといって実現が極めて難しいKPIを設定するようなことも避けましょう。

管理部門でもKPI管理ができることを意識する

KPI管理は営業やマーケティング部門で多く実施されるものですが、KPI管理は企業経営全般にわたって使えるものです。たとえば、購買時にかかる輸送コストの削減(購買)や新しい教育プログラムの受講率アップ(人事)のように、管理部門(または間接部門)でのKPI設定も先に挙げた「網羅的な」KPI設定のために大切になってきます。

 

KPI管理には支援ツールを活用

このようなKPI管理を行うにあたって気になるのが、使用するツールです。複数の項目を具体化・定量化し、結果を集計しさらに分析して改善施策を検討しなくてはならないので、何らかの支援ツールがなくてはなかなかこなせない業務となります。代表的なツールとメリットを以下のようにまとめました。

表計算ソフト(Excelなど)を利用する

これからKPI管理をはじめるというときに、真っ先に思い浮かぶのは多くの企業の実務ですでに使われているExcelでしょう。数値を扱うので表計算ソフトは一定の効果を発揮しますし、多くの社員が新たに使い方を覚える必要がないことのメリットも大きいといえます。ただし、ExcelはKPI管理のみに特化したツールではなく、多岐にわたる分野のKPIをまとめ上げハイレベルな経営指標(端的にいえばバランススコアカード)の作成にまで持っていくにはかなりの労力を要します。また、毎回の集計やレポーティングもマニュアルで行わねばならず常に労力をかけ続けながら維持することは実施前に十分認識する必要があるでしょう。

専用の支援ツールを使う

専用のツールは、効率的にKPI管理を行っていくうえで大きな助けになるでしょう。その際に考慮しておきたいのが、まずは「どういった機能を重視するか」です。先のExcelの例でもあるように集計やレポーティングを素早く行いたいのか、プロジェクト管理やそのほか自社の既存ツールとの連携が重要なのか、など自社にとって必要な機能によって選ぶツールも変わってきます。有料ツールを使う場合には多機能なものを選んでしまいがちですが、搭載された機能が多ければ操作も複雑になり、導入担当者や実務的なユーザにとっての負荷が大きくなる可能性もあります。導入やセキュリティ、その後のシステム維持といったIT面を考えた場合でも、自社サーバにソフトウェアをインストールする(オンプレミス型)のかクラウド型を選ぶのかでメリット・デメリットが違ってくるため、注意が必要です。

 

KPI管理は経営をわかりやすくする効果的な手法

各施策の具体化や数値化というと、なんとなく難しそうだったり煩雑な業務になったりするイメージを抱く人もいることでしょう。しかし、KPI管理はたくさんの指標をつくることでも斬新な施策を立案することでもありません。実際には目標達成のための道筋をわかりやすく整理し、誰もが共有できる指標を立てることで施策の実施から改善までを手助けする手法だといえます。正しいKPI管理を行って、着実に目標を達成していく経営を実現させましょう。

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