ビジネスの成功に不可欠なKPI、その意味を改めて考える

経営・ビジネスハック

マーケティングや営業の現場でよく聞くKPIという言葉。漠然と目標数値を表すものであることは知っていても、その意味や数値を設定するメリットをしっかりと説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。実はKPIはただ売上目標を示すだけでなく、業務のスムーズな遂行や高いハードルを超えるために不可欠な概念であり、手法です。ここでは、KPIの意味や設定するメリット、具体的な活用例などについて説明します。

 

そもそもKPIとはどんな概念か

KPIは「Key Performance Indicator」の頭文字を取った言葉で、日本語では一般的に「重要業績評価指標」と訳されています。ビジネスを成功させるためにはマーケティングや営業をはじめ、製造、販売、カスタマーサービスなど各部門が明確な目標を持ち、その目標に向かって業務が遂行されているかを定期的にチェックすることが重要です。KPIはこれらの目標を達成するうえで重要な「評価指標」を表しており、業務の遂行度を数値的に測定する役割があります。

KPIと合わせてよく取り上げられる言葉に「KGI」というものがありますが、こちらは「Key Goal Indicator」の頭文字を取ったもので「重要目標達成指標」を意味する言葉です。KGIは「目標達成指標」という言葉の通りビジネスのゴール(最終目標)を表す指標であり、目標の達成度合いを数値的に測定するために設定するものです。

両者とも言葉で説明すると少しわかりにくい概念ですが、以下のように具体例に落とし込むと理解しやすくなります。

kpi01.png

上記を例にとると「来年度の売上目標50億円」は最終的に達成すベきゴール、つまりKGIとして設定される数値です。この最終目標を達成するためにはいくつものアプローチが考えられますが、Webサイトからの問い合わせ件数や商談件数、新規顧客獲得件数、平均受注単価の向上など、KGIを達成するための中間目標として設定されるのがKPIです。

どのような指標をKPIとして設定するかは、KGIの内容やそれを達成するためのアプローチ方法にもよりますが、できるだけ具体的に、かつ細分化することで目標までの道程が見えやすくなります。KPIを細分化する際は、下記の図のように樹形図で考えると分かりやすいでしょう。

kpi02.png

上記の図のようにKGIを頂点として、KPIを樹形図で書き表した図を「KPIツリー」といいます。ビジネスで達成するべき目標とそれに至る道程を可視化するフレームワークとして、多くの場面で活用されています。

 

KPIの設定は目標達成の近道に

ビジネスのさまざまな場面で設定される目標を達成するためには、KPIが不可欠と言われています。その理由はいったいどこにあるのでしょうか。KPIを設定することのメリットについて考えてみましょう。

①業務の最終目的が明確になる

最終目標が高く設定されている場合や規模の大きなプロジェクトでは、関わる人の数も多く、一つひとつの業務が何のために行われているのか見えにくくなることもあります。しかし、最終的に何を達成したいのか、どのような目標に向かっているのかをチーム内で共有できていないと、業務がスムーズに遂行できないばかりか、意思決定の場面で支障をきたし、モチベーション低下の原因にもなりかねません。

KPIは基本的にKGIをもとにして設定されるものです。そのため、KPIを設定することで最終的に達成したい目標が明らかになるだけでなく、現在の業務が完了したら次に何をするべきかといったプロジェクトの道程が可視化できるようになります。メンバー一人ひとりが目標と業務の関連性を見出しながら取り組むことができるのは大きなメリットといえるでしょう。

②達成までの心理的障壁が下がる

KGIを頂点としたKPIツリーを描きプロジェクトの道程を可視化することは、最終的な目標に対する心理的障壁を下げる効果もあります。例えば「来年度の売上目標50億円」といきなり言われても、ほとんどの人はどう取り組めばいいか分からず困ってしまうのではないでしょうか。しかし、最終的な目標を達成するために必要なKPIを細かく設定し、小さな目標の積み重ねにしてしまえば、不可能と思えるような大きな目標も取り組みやすくなります。

③PDCAサイクルが回しやすくなる

KPIは目標を達成するためだけのものではありません。仮に目標を達成できなかった場合でも、数値的な指標をKPIとして設定していれば問題点を発見しやすくなります。

例えば「新規問い合わせ件数」は目標をクリアしていたものの「新規商談件数」が未達の場合、獲得したリードを営業に引き継ぐプロセスに問題があった可能性があります。また、他のKPIはクリアしているものの「平均受注単価」が足りない場合は、訴求商品や営業の方法を見直す必要があるかもしれません。このように、ボトルネックをすばやく発見し改善することでPDCAサイクルを回しやすくなるのもKPIを設定する大きなメリットのひとつなのです。

 

営業やマーケティング以外の部門でも一般的な指標に

KPIはビジネスにおける最終的な目標(KGI)に対して設定するものであり、具体的に何を指標とするかは、経営戦略やリードに対するアプローチによって異なります。ただ、Webマーケティングに関しては一般的に以下のような指標を採用することが多いようです。

・インプレッション

・クリック数(クリック率)

・ユニークユーザー数

・ページビュー

・コンバージョン率(会員登録/資料請求/商品購入など)

これらの数値は自社のWebサイトを運営していれば比較的取得が容易で、さらに分析方法や活用のためのノウハウも広く知られているため、マーケターにとっては扱いやすい指標といえます。また、明確な数値として表されるため社内資料で説得力のあるデータとして扱うことができるのも大きなポイントです。

このように、KPIはデータ取得の容易さとその活用方法の多様さから、Webマーケティングとの親和性が高いとされていましたが、最近では営業や人事、製造などさまざまな部門で目標達成の手段として活用されています。その具体例を見てみましょう。

・営業部門:訪問回数や成約率、解約件数など

・人事部門:採用コストや離職率、従業員満足度など

・製造部門:機械稼働率や製造数、不良品の発生率など

・カスタマーサポート:クレーム数やアンケート結果、顧客満足度など

通常、KPIにはPV数やクリック率など数値化できるものを指標とするのが一般的です。ただ、最近は消費者との長期的な関係性の構築が重視されていることもあり、顧客満足度やブランドの好意度など、数値化しにくい定性的なデータを指標とし、消費者の嗜好を探る取り組みも増えています。

 

目標達成のためには、まずKPIの設定から

企業が売上目標を達成したり、大きなプロジェクトを成功に導いたりするためには、チームメンバー全員が目標を共有し一丸となって取り組むことが重要です。KPIを設定することは、目標を明確にし、達成に至るまでの道程を見える化することにつながります。こうすることで、一見すると達成が困難に思えるような高いハードルでも取り組みやすく、またメンバーも自分が取り組む業務が目標につながっていることが実感しやすくなるでしょう。

企業の業績向上のためだけでなく、業務のスムーズな遂行やメンバーのモチベーション管理にもつながるKPI、ぜひうまく活用してみてください。

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