アイ・ゼットル、グローバル展開へ向け31億ドル調達!

デジタルマーケティング
今、日本を含む世界中で、モバイル決済サービスのリリースが相次いでおり、目が離せない状況となっている。今回は、北欧のモバイル決済サービスである、アイ・ゼットルが31億ドルという巨額の資金調達をし、国際展開に備えているというニュースをご紹介したい。
アイ・ゼットル、グローバル展開へ向け31億ドル調達!
チップ内蔵式カード決済サービス大手・スウェーデンのアイ・ゼットル(i Zettle)社が、ヨーロッパ市場での更なる事業拡大大を目指している.
昨年のベータ版の公開以来、スウェーデンのカード決済会社アイ・ゼットルはその成長の方向を模索してきた。アメリカのスクウェア社同様、iPhoneを通じた支払いサービスを提供するiZettleは、地元スウェーデンで起業後北欧諸国に進出、英国でもパイロット版のリリースを始めている。
しかし今やアイ・ゼットルはこれまでのようなスローペースの事業展開期を脱し、一気に拡大戦略に舵を切るようだ。先ごろ24億ユーロ(31億ドル)の資金調達を完了したのである。
今回の出資は、大手ベンチャーキャピタルのグレイロックのロンドンオフィスと、スポティフィ(Spotify)社やラストミニッツ社などへの出資で知られる北欧のベンチャーキャピタルのノースゾーンにより主導された。また、従来からの出資であるクレンダムやインデックス・ベンチャーズ、プライベート・エクイティ・ファンドのSEBも加わっている.興味深いのは、昨年のVISAがスクウェアに出資したのと同様、マスターカードも今回の出資に加わったことである.
ただ、これは、iZettle、サンフランシスコのライバル、そう、Squarと正面衝突するということではない。何故なら両者の間には技術面における大きな違いが存在するからである。カード決済という同業態を取るものの、スクウェアがアメリカで主流の磁気カードを対象にする一方、アイ・ゼットルはアメリカ以外の各国で普及しているEMVチップカードを対象としているのである。
アイ・ゼットルのCEOジェイコブ・ド・ギール氏は、北欧で培った経験をもとにフランスやドイツ、そしてその他主要なヨーロッパ諸国におけるカード市場で更なる飛躍を遂げたいと野心を燃やす。そしてまた彼は、ヨーロッパを飛び出した地域でも勝算はある、と、グローバルでの事業展開をほのめかした。
我々はニューヨークに滞在中のド・ギール氏に電話取材を行った。彼は次のように語っている。「現在、世界は目まぐるしく変化しています.けれど我々は競合他社に戦いを挑みに行くのではなく、顧客にサービスを提供しに行くのです。他社も良いサービスを提供していますし、それを求める顧客はいるでしょう。これは市場全体のパイを広げて行くという事なのです。」
また彼はこうも付け加えた。「我々が目標とするのは非常に非常に大きな市場です、何しろ世界中のカードの半分はEMVチップ方式を採用しているんですからね。ただ、当面目標とするのはヨーロッパ市場です。まずは我々が熟知している市場から始める、ということです」
スクウェアがグローバル市場への進出に消極であるのに対し,アイ・ゼットルは遠からずそこへ乗り出そうとしている。主要な競合相手は“PayPal Here”サービスのグローバル展開に意欲的なペイパル社また、多くの銀行やカード会社からの支援を受けるNFC方式を採用した決済会社各社となるだろう。
また、ドイツのベンチャーキャピタル、ロケット・インターネットのサムウェル兄弟もSquareの競合サービスである“Zenpay”をリリースするとしており、アイ・ゼットルにとって大きな脅威となるだろう.(注:ロケット・インターネットは、Amazon、Zappos等、成功したビジネスモデルを真似て、世界中でサービスを立ち上げている事で有名。かつてよく言われたタイムマシン経営を大規模に実施しているVC)
このような事業環境の中、アイ・ゼットルとしては、米国以外、特にヨーロッパに力を入れていく意向である。かねてからアイ・ゼットルはiOS以外への展開を狙っていると言われていたが、その予想通りド・ギールCEOは、次のリリースでは、Android向けをリリース予定であると我々に語ってくれた。ただ、市場で主流のサービスとなるためにはまだまだ多くの実証実験や啓蒙活動など普及に向けた更なる努力が必要となるだろう。
「アイ・ゼットルの今後の事業展開について、販売店やカードオーナーからは特に反発はありません。企業や銀行の方が説得が難しいですね。私たちは今、スポティファイ社がかつてレコード・レーベルと交渉した時と同じ課題に直面しています」
人気記事
関連記事