シリコンバレーのエンジェル投資家に学ぶ、アメリカと日本のベンチャー環境の違いとは?

経営・ビジネスハック
先日、シリコンバレー在住のエンジェル投資家の平強(たいらつよし)さんが、イノーバのオフィスを訪問してくださいました。
平強さんは、3年前に日本のベンチャーイベントでお会いして以来お世話になっていて、お目にかかるたびに優しく(時には厳しく)アドバイスをくださいます。
今回もとてもためになるお話を伺うことができたので、ご紹介します。
平さんは元々、半導体の黎明樹にテキサスインスツルメントやフェアチャイルドで半導体エンジニアとして仕事をされており、その後、個人投資家に転じて、シリコンバレーをベースに活躍なさっています。
平さんのブログはこちらです。
今回は半導体ビジネスの黎明期の話や、IBMがマイクロソフトOSを採用する時の話、三洋電気でデジカメのOEMビジネスを行っていた時の話など、ワクワクするお話を沢山伺いました。僕は、NHKの電子立国ニッポンなどで読んで、すごく憧れていた世界だったので、イノベーションの歴史をまさに目の前で語って頂いた感じでとても嬉しかったです。
オフィスで社員のみんなと記念撮影をパチリと取らせて頂きました。
なかなかお会い出来る方ではないので、社員のみんなも良い記念になったと思います。
日本とアメリカ、ベンチャー企業を取り囲む環境の違い
さてさて、沢山のお話をお伺いしたのですが、特に考えさせられた部分を1箇所だけご紹介します。
日本の市場はビジネスをスケールさせるのが難しい。
平さんのブログによれば、アメリカで3ー5年でIPO出来るのに、日本では10-20年かかるとの事でした。
日本でも、最近の上場例を見ていると、上場までの期間が短くなっているとは感じますが、それでもやはりアメリカよりは、上場までに時間がかかるというのは、事実だと思います。
僕も、今までのキャリアでアメリカの会社と取引をしていた経験があるのですが、アメリカの方がベンチャーにフレンドリーだという事です。なぜかというと、アメリカの企業の方がベンチャー企業との取り組みに積極的だという事、市場が十分に大きいので十分にスケールを出しやすいという事です。
日本では、概して大手企業はベンチャー企業との取引に消極的です。このため、取引先が増えるのがスローになります。このため何が起きるかと言うと、プロダクトカスタマイズしたり、サービスを付与したりして、1社当たりの取引額を増やすという事が必要になります。しかし、プロダクトをカスタマイズすればするほど、受託ビジネスに近くなり、成長出来なくなっていく。これは、日本におけるスタートアップのジレンマのように感じます。
この日本版スタートアップのジレンマをどう乗り越えるか?事業会社と提携してOEMで製品を提供するのか?販売代理店を開拓するのか。あるいは、製品を増やし、事業を多角化していくのか。早いタイミングで、日本を飛び出し海外展開を図るのか。限られたリソースをどこに戦略的に投資していくのか、これが日本でのスタートアップの成長スピードを決める事になりそうです。
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