イスラエルに学ぶイノベーションの秘密

経営・ビジネスハック

昨日は、僕が主催している英語のビジネス書を読む会があったので、その報告をしたい。

この会は、最新のビジネス知識を身につけつつ、英語力もアップできるという一石二丁な勉強会である。そして、今は、イスラエルをテーマにした Start-up Nationを読んでいる。

なぜイスラエル?と思った人は、前回のブログ記事を参照のこと。(日本復活のヒントはイスラエルにある

今回読んだ部分は、イスラエルがイノベーションを生み出す理由を、事例あげて説明している。非常に面白い内容だったので、ご紹介したい。

イスラエルのイノベーションの源泉のひとつは、複数の分野をマスターする事、Multi disciplinary である。

特に、軍隊での経験、学問に対する考え方、過度の専門化を拒否する姿勢などがポイント。

イノベーションを生み出した事例

Doug Woodという、米国のCGアニメの専門家がイスラエルに招待された。彼は、Turner、Warner、Universalなどの一流の会社で経営幹部を務めた人物。彼がイスラエルに行って、びっくりした事がある。

現場で映像の機器が故障してしまって、修理のためにエンジニアを呼ぼうとしたところ、近くにいた美大卒のお兄ちゃんが、どれどれ見てやるよ、と言ってささっと修理をしてまった。どうして修理が出来るのか?と質問をすると、彼はもともと軍隊で飛行機の運転士にしており、そのときに身につけた知識だと言う。

また別の事例。コンピューターグラフィックスの担当だった人が、いつのまにか粘土で模型を作っている。そうかと思えば、撮影中に、ここの台詞はこう変えた方がいいんじゃないか?などと提案をしたりもする。ちなみに、彼の提案した台詞はとても良くて、台本を書き換えたらしい。

このようにイスラエルでは、一人が複数の分野の仕事に通じて居ることが少なくない。ただ、いわゆる日本のサラリーマンのように広く浅く何でもできるジェネラリスト型かと言うとそうではない。複数の分野を深く掘り下げているからこそ、新しいアイディアが生まれるのだと言う。

そして、このように複数の分野をマスターするにあたっては、軍隊の経験が大きな役割を果たしているようだ。実際、イスラエルで生まれたベンチャーは、軍事技術を民間に転用したものが非常に多く、その中でも、複数の分野の専門性が活かされている。

いくつか本の中で取り上げられていた事例を紹介しよう。

1. Given Imaging社のPillCams

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これは、患者が飲み込む事が可能なサイズ(外径:11mm、長さ:26mm)のカプセル型内視鏡だ。 カプセルの中には小型イメージセンサーが内蔵されており、このカプセルは、内臓の中を移動しながら腸内の画像を収集するそうだ。この技術は、もともとミサイルの先に付いているカメラ技術を応用したものだという。

2. Compugen

この会社は、遺伝子の解析で有名な会社だ。社長が、もともと軍隊でテロリストの地下組織を見つける情報分析の仕事をしていて、大量のオーガナイズされていないデータを分析する技術をもっており、これを遺伝子解析に応用したものだ。

遺伝子解析の後には、製薬に進出し遺伝子情報を活用した製薬の効率化を行っているという。この会社では、数学、生物学、コンピュータサイエンス、有機化学のそれぞれの専門性を組み合わせている事から生まれた技術だと言う。

3. Aespironics

この会社は超小型の吸入器(ぜんそくなどの治療で使う装置)を作っている。クレジットカード型の装置で、粉薬を吸引して体に取り込む事が出来る装置だ。この会社は、ミサイル、ジェット噴射、薬学、吸入器などの異なる分野の専門性を持ち寄っているという。

まとめ

以上見てきた通り、イスラエルのイノベーションの秘訣は、異なる分野の専門性をマスターする事で、分野を横断したアイディアを製品やサービスとして実現するという事が特徴だ。そして、この異なる分野の掛け合わせを可能にしているのは、実は、徴兵制による軍隊経験が重要なのである。

日本でも、一つの専門性だけを持つT字型人材ではなく、二つの専門性を持つπ字型の人材の必要性が唱えられている。イスラエルは、まさにこのπ字型人材の有効性をしてしている事例と言えるだろう。

日本で、イスラエルのようなπ字型人材を育成するには、どうしたらいいだろうか?軍隊のような環境で、複数分野を学ぶ環境というのは、どうやったら作り出せるだろうか?ここには、日本がイノベーションを取り戻す上で大きなヒントがあるように思う。

どうだろうか?どのようにしたらいいと思うだろうか?ぜひ意見を寄せて欲しい。