インフルエンサーマーケティングとは?BtoB企業でも取り組むべき理由と活用方法・成功事例を一挙に解説!

BtoBマーケティング

InstagramやYoutube、Twitter、FacebookといったSNSの発展によって注目を集める「インフルエンサー」。企業が自社のマーケティング活動において、インフルエンサーを起用して行う宣伝活動を「インフルエンサーマーケティング」と呼び、これまでは、主にBtoC業界で消費者向けの製品・サービスの認知度を拡大するため、情報拡散、購買意欲を促進する効果的な方法として普及してきました。

インフルエンサーマーケティングは、消費者向け(BtoC)に効果的な手法というイメージが根強いですが、近年ではBtoBビジネス向けのマーケティング施策としても注目を集めており、既に海外・日本ともに有名企業の成功事例も存在しています。

本記事ではインフルエンサーマーケティングが、BtoB企業のマーケティング活動においてどのような役割を果たすのか、効果が見込める理由やその手法、成功事例について隈なく解説します!

インフルエンサーマーケティングとは?

現代におけるインフルエンサーの役割

SNSの普及によって、誰もがインターネット上で情報を発信したり、情報収集ができるようになったことで、芸能人や著名人に限らず、一般人の情報発信の質やその価値が高まり、個のインフルエンサーが現れるようになりました。

日本でも、企業がインフルエンサーを自社の宣伝活動に起用しはじめ、ある程度の効果をデジタル上のデータを通して得たことで、一般人であるインフルエンサーが、消費者購買の意思決定に大きな影響力があることが実証され、インフルエンサーマーケティングを活用する企業が増加しています。

インフルエンサーマーケティングとは?

かつて主流であった、マスを狙った新聞・雑誌広告・テレビCMなどの販促活動は、企業や商品・サービスの認知度を上げるという効果はあるものの、大企業でなければ手が届かないほどの費用感、かつ、その費用感から継続できる企業はさらに限定されてしまい、さらには販促活動における厳密な効果計測が難しいという課題がありました。

一方で、オンラインチャネルを利用したインフルエンサーマーケティングは、それらの課題を解決することが可能となりました。

特定のターゲットを意図的に狙ったマーケティング活動が可能となり、従来のマスマーケティングには手が届かなった企業でも、現実的な費用感で取り組める施策となりました。

また、計測ツールを使用したタイムリーで透明性の高い効果測定が可能になったことで、インフルエンサーマーケティングによってどういった効果が生まれたのか、企業側でも定量データを得れるようになったことで、戦略の改善もしやすくなりました。

インフルエンサーマーケティングは、製品・サービスの認知拡大に留まらず、購買者の意思決定を後押しする効果がある点がマスマーケティングと大きく異なります。

これには、ユーザーが、製品を販売する側でない第三者や購買者が自らの意思で発信する情報である口コミやレビュー(UGC:ユーザー生成コンテンツ)に対して、高い信頼を持っているという背景があります。インフルエンサーは、実際に企業から提供された製品やサービスを一ユーザーとして使用し、自分のフィルターを通した情報発信をします。インフルエンサーをフォローするユーザーは、自身が信頼するインフルエンサーの意見を信頼するため、その情報がポジティブであれば、購買意欲が促進されるという効果が生まれています。

BtoCビジネスにおけるインフルエンサーマーケティングの成功事例

インフルエンサーマーケティングの理解を深めるために、まずはBtoCにおける成功事例をご紹介しましょう。

1. Daniel Wellington(ダニエル・ウェリントン)

ダニエル・ウェリントンは、2011年に創設されたスウェーデンの時計ブランドです。

インフルエンサーマーケティングを唯一のマーケティング手法として取り入れているDaniel Wellington。自社のターゲット層に親しいインフルエンサーを入念に吟味し、選定されたインフルエンサーに依頼をしています。

自社の商品を送り、インフルエンサーのファッションに取り入れたコンテンツを指定のハッシュタグとともに、インフルエンサー自身のInstagramアカウントに投稿してもらう手法です。この手法で、日本市場においても徐々にブランド認知度を上げ、かつ、広告などのプロモーション手法を一切取らないことにより、ブランドの信頼度がより強調される結果となりました。

2:GU

衣料ブランドのGUは、人気Youtuberを起用し、GU商品のコーディネート特集動画を投稿。

投稿3か月で動画再生回数は104万回、高評価数2.8万回と大きな影響を与える事に成功した。また、複数のインフルエンサーとコラボする事により、爆発的な拡散効果を発揮しました。

Instagramでは、雑誌モデルやInstagram上でのファッションモデルにGUの商品を使ったコーディネートを投稿してもらうことで、GUをおしゃれに着こなす方法などが視覚的に訴求でき、これも消費者の購買意欲を促進することに寄与しています。

3: Maybelline(メイベリン)

米化粧品メーカーメイベリンでは、若者に人気のモデルや女優を起用し、SNSで自社製品を使用、「#Maybellinegirls」のハッシュタグで投稿してもらうことで、ターゲット層における認知度を上げました。現在、Instagramにおける同ハッシュタグの投稿数は11万件に登っています。

メイベリンは、更にブロガー、Youtuberとも提携し、チュートリアル等の動画コンテンツを作成。一つのインフルエンサー動画は2.4億回再生を獲得しました。

インフルエンサーマーケティングの市場規模とチャネル

このようなインフルエンサーマーケティングの成功事例の増加ととともに、インフルエンサーマーケティングの市場規模はますます拡大しています。

インフルエンサーマーケティング市場はここ数年で急速に拡大しており、直近2019年から2020年でも約1.5倍の成長が見られました。(Influencer Marketing Hub 調べ)。また、インフルエンサーマーケティングの企業側の需要は2020年には317億円(前年比105%)、2025年には670億円にまでなると予測されており(株式会社サイバー・バズ 調べ)、今後ますますマーケティング活動に活用されていくことが予測されます。

インフルエンサーマーケティングでは、主に、Youtube、インスタグラム、ツイッター、ブログなどのチャネルが使用されており、それぞれの市場が伸びている背景をご紹介します。

Youtube

日本でもYoutubeの登録者数は他SNSの中でもトップで、幅広いユーザー層を抱えている魅力的なSNSチャネルです。動画は視覚的な訴求力が高く、また商品を使うプロセスや、商品やサービスの背景を理解することが容易なコンテンツであることが人気の一つの理由です。

ユーザーの増加とともに、近年、魅力的な個のクリエイターが、幅広い世代、幅広い分野で生まれたことで、企業は、ターゲット層に影響力のあるインフルエンサーを見つけやすくなっており、インフルエンサーマーケティングが活発になっていることがあげられます。

Instagram

FacebookやYoutubeと比較して、ユーザー数が少ないInstagramですが、若年層、特に女性向けの市場需要が高まっており、同セグメントにターゲットを抱える企業にとっては、効果が見込めるチャネルです。

Instagramの日本のユーザー数は2021年現在で約3600万程で、2025年までには5300万程度まで増加すると予測されておりStatista 調べ)、Instagramを使ったインフルエンサーマーケティング活動は、今後も右肩上がりで増加していくことが予測されます。 

Twitter

長きに渡り日本人に人気の高いTwitterですが、ここ数年のユーザー成長率は減少しており、やや高止まり感があります。しかし、すでに幅広いユーザー層、特に匿名登録が可能なため顔出しをしたくないユーザーもカバーしており、他SNSよりも潜在層へのリーチ力が高い点が魅力的です。

情報の即時性が高く、何よりも情報の拡散機能性の高いSNSであることから、インフルエンサーマーケティングでの活用は継続していくでしょう。

この他にも、Clubhouseなどの新たなSNSも誕生しています。ここでご紹介したSNSに留まらず、インフルエンサーマーケティングは、今後もさまざまなチャネルを通して拡大していくでしょう。

BtoB業界においてインフルエンサーマーケティングを行うメリット

BtoBインフルエンサーに求められる要件

BtoB業界におけるインフルエンサーを「ビジネスインフルエンサー」と呼んでいます。例えば、業界や分野における著名人、専門家、業界をリードする企業のトップやエバンジェリストなどが挙げられ、専門性が高く、彼らを支持する一定数のフォロワーを持つ影響力のある人物を指します。

BtoBビジネスとBtoCビジネスにおけるインフルエンサーマーケティングにおいて注意すべき点の違いは、インフルエンサーを信頼する際の指標にあります。BtoCの場合、情報受領者やフォロワーはインフルエンサーの主観や感情を含めて支持しています。

一方で、BtoBにおいては、情報や意見が客観的であり、公平性、透明性があることが信頼に繋がります。インフルエンサーと企業の間に利益相反があるような情報発信の仕方や、インフルエンサーの特別な感情が持ち込まれたように見えるコンテンツは、BtoB マーケティングにおいては、ネガティブな印象を与える可能性が高くなります。

BtoB マーケティングにおけるインフルエンサーは、業界や分野を客観的に分析した上で、自社の製品やサービスのベネフィットを語ってくれるような人物を選定しましょう。

BtoB業界においてインフルエンサーマーケティングに取り組むメリット

インフルエンサーが決裁権限者に好影響を与える

BtoBビジネスにおいては、見込み客との商談に至るまでのリードタイムが1年〜2年と長期化する傾向にあります。

その理由として、BtoBビジネスの商品は専門性が高い傾向にあり、お客様の商品理解が難しく、ソリューション化が求められやすいため提案にも時間がかかります。

また、製品・サービスの価格帯が高く、購入に至るまでの意思決定には、営業窓口から部の責任者、購買部や役員決裁など複数の段階をクリアする必要があり、それぞれの段階の人物に納得してもらえるような資料作りや提案が求められます。

高額な商品を購入するだけでなく、導入後、部をまたいだ一定期間の社内教育などのコストも発生するためスイッチングコストが高くなる傾向があり、契約・購買にはより一層慎重になります。

こういった複雑で長期化しがちなBtoBビジネスの意思決定を、ビジネスインフルエンサーを活用することで、シンプルに短縮化にすることが可能です。

例えば、影響力のあるビジネスインフルエンサーが、第三者の立場で該当商品についてポジティブな評価をしたという情報やコンテンツがあれば、決済権限者は信頼度を高め、意思決定を後押しします。

信頼できる第三者から決裁者に太鼓判を押しておいてもらうことで、成約までのリードタイムを短縮化することに繋がります。

従来のインバウンドマーケティング手法との相性が良い

また、一般的にBtoBマーケティングの場合、専門性が高い故に、商品情報が届く層が限定的になる傾向にあります。

しかし、ビジネスインフルエンサーは、業界や分野において、すでに一定層のフォロワーやコミュニティを持っており、企業はビジネスインフルエンサーとのコラボレーションによって、その新たな潜在顧客層へ自社の存在を明らかにすることができます。

また、ビジネスインフルエンサーの推薦によって認知を広めることで、「信頼のできる商品」「業界の中でもより良い商品」を取り扱っているといったポジティブなブランドイメージから入ることができ、これは、先述したように、決済権限者の意思決定を促進することにも一役買います。

また、ビジネスインフルエンサーをきっかけに、潜在顧客が自社のSNSアカウントやウェブサイトへ流入した場合、潜在顧客は企業や商品についてさらなる情報を求めます。ウェブサイトやSNSで記事コンテンツや動画コンテンツをしっかりと蓄積しておけば、潜在顧客は商品を認知しただけでなく興味を持ち、SNSに「いいね」をしたり、メールマガジンの登録をします。

このように、インバウンドマーケティングの下地があれば、インフルエンサーマーケティングで獲得した潜在顧客を自社の見込み客として着実に取り込んでいくことができます。

すでにインバウンドマーケティングを実施しているBtoB企業にとって、インフルエンサーマーケティングは相性がよく、それまでの施策との掛け算の効果が見込めます。

専門家であるインフルエンサーからフィードバックをもらえる  

ビジネスインフルエンサーとのコラボレーションにおいては、別のメリットもあります。インフルエンサーにもいくつかのタイプがありますが、例えば業界や分野を熟知した専門家の場合は、専門的な視点で自社の製品の脆弱性や改善点について意見をもらえる機会となり得ます。

業界のオーソリティであれば、より俯瞰した客観的な視点で、社内のR&Dチームだけのアイディアでは生まれにくい、他社との競争力を意識した製品やサービス開発のアイディアなどを得る手がかりとなります。

BtoBビジネスにおけるインフルエンサーマーケティングの活用方法と成功事例

ここからは、実際にBtoBマーケティングでインフルエンサーの起用によって成功した企業の事例と具体的な活用方法についてご紹介していきます。

カンファレンスに登壇、ユーザーとも交流してもらう

SAP社事例

米国に本社を置くソフトウェア開発会社SAPでは、2016 年に実施されたSAP主催のカンファレンスに、11人のインフルエンサーを起用しました。主に、企業の決裁権を持つ層に影響力のある様々な業界の専門家がインフルエンサーとして選抜されています。

カンファレンスにおいて、インフルエンサーはスピーカーとして登壇しただけでなく、SAP役員や参加者との質疑応答形式によるコンテンツを生成、キャンペーン動画制作に関わりました。インフルエンサーが関与したコンテンツは、16.5%ものソーシャルメディアインプレッションに貢献しました。

ここで、SAPは自社のテクノロジーが「お客様のビジネスをより良くするための意思決定をどのように手助けしているか」というソートリーダーシップを主張したソートリーダーシップコンテンツに注力しました。

SAPのインフルエンサーマーケティングが成功しているポイントは、インフルエンサーに自社の製品を使用してもらい、推薦してもらうことを避けている点です。

SAPの製品は、お客様である企業の課題解決のために生まれた一製品である、という位置付けにすることで、顧客のベネフィットを優先しているという姿勢が、対企業によい心象を与え、これが信頼につながっていると言えます。

自社の製品・サービスをインフルエンサーに利用してもらい、成功事例としてPRする。

IBM社事例

米ソフトウェア開発会社IBM(以下、IBM)では、IT業界とは異なる切り口となるファッションデザイナーGuarav Guputa(グラバ・グプタ)氏をインフルエンサーとして起用しました。グラバ・グプタ氏はインド出身、グローバルなファッションデザイナーで、近未来型のスタイルが特徴です。

IBMは、グラバ・グプタにAIプラットフォーム「Watson」を提供し、人工知能を利用した新しいドレスを制作するよう依頼しました。

IBMのWatsonは、着る人の個性に合わせた色をAIが判断、提案してくれます。これが、グラバ・グプタ氏の創作性を駆り立ててくれたというストーリーです。

グラバ・グプタの制作したドレスは、LEDライトが発光する前衛的なデザインで、AIと人との融合というIBMが描く近未来の世界観を、視覚的に訴求しました。このように、全く業界が異なるインフルエンサーでも、企業が訴求したい世界観をインフルエンサーとコラボレーションして表現するという方法もあります。

また、IBMは、従来アプローチできなかった潜在顧客層であるグラバ・グプタ氏のフォロワーへの認知を高めることにも成功しました。

それだけでなく、グラバ・グプタ氏の出身であるインドは、2050年までに、巨体なIT市場に拡大することが予測されており、ソフトウェア開発会社において重要視されている市場です。IBMは、グプタ氏とのコラボレーションを通してインドでの認知度を高めることを見込んでグプタ氏を起用したことも推測されます。

SNS、Youtubeチャンネルやオウンドメディア等の自社媒体にコンテンツを寄稿してもらう

Video Fruit社事例

米マーケティングコンサルタントVideo Fruitでは、インフルエンサーマーケティングの最も古典的な手法である、ゲストブロギング(インフルエンサーによる寄稿記事の投稿)で成果を出しました。

自身がインフルエンサーであるVideo Fruit社のCEO Bryan Harris氏は、マーケティング・ビジネスを取り扱うOkdork.comへ自身の記事を寄稿したことで、公開日同日VideoFruit社へのアクセスが急増し、結果、ユニークページビューが600%増、サイト滞在時間が8%増を記録しました。

インフルエンサーを募集しコミュニティを形成する

Cisco社事例

米コンピュータネットワーク機器開発会社であるCiscoでは、自社製品に詳しいインフルエンサーを募集し、「Cisco Champions」というコミュニティを形成しました。

SNS上で形成されたコミュニティーでは、Ciscoの製品に関する専門的なナレッジや議論が取り交わされました。このプログラムによって、5.5万件のツイートが生成され、また、4.4万件もののブログポストが投稿され、さらには、これらがSNS上で約8,000件も言及されました。

Cisco Championsプログラムは、専門知識を持つインフルエンサー同士がコミュニケーションを取れる希少な場となり、お互いの知識を高めあう事にも役立ちました。

また、Ciscoは、議論の中で生まれた改善案や、課題を自社のビジネスに取り入れ、ファン達によりよい製品を届けることに役立てています。

マンガを活用して認知度向上を図る

AWS(Amazon Web Services)事例

米Amazonが展開するクラウドコンピューティングサービスAWS社では、日本におけるサービス開始の際に、専門的で難しいサービスを日本人にとって分かりやすく説明するために、人気漫画家をインフルエンサーに起用しました。

日本では、漫画を使ったSNSやブログコンテンツが人気で、多くのフォロワーを抱えている漫画家インフルエンサーが多く存在しています。また、人気漫画家インフルエンサーは、フォロワーのエンゲージメント率が高い傾向にあり、SNS上でも話題となりやすい点が魅力です。

BtoB特有の専門的で浸透が難しい製品を、親しみやすくわかりやすく伝えてくれる漫画家インフルエンサーとのコラボレーションによって、日本での認知度向上に成功した事例の一つです。

従業員をインフルエンサーとして教育・活用する”従業員アドボカシー”

自社の商品・サービスを最もよく理解しているのは自社の従業員である

従業員アドボカシーとは、企業に信頼を寄せる従業員が自らの意思で企業や製品のプロモーション活動に貢献することを指します。従業員が個々のソーシャルメディアアカウントを持つ現代においては、従業員それぞれが企業のアンバサダーとなり得ます。

従業員アドボカシーが注目される背景には、社会やユーザーの「信頼」情報源の変化にあります。

Edelmanが実施した「2014 Trust Barometer(信頼に関する調査)」によると、企業が発信する情報を信じる人は25%に満たなく、一方で、回答者の52%が、従業員からの企業情報を信用すると答えています。これは、2009年に比べ、20ポイントも上昇しています。

参考:sprinklr japan 従業員アドボカシーを成功に導く10のステップ

つまり、企業が主体となって発信されるメッセージよりも、従業員が企業のアンバサダーとなって、企業や製品を支持する姿勢のほうが「信頼」を得るには効果的と言えます。

これは、BtoBのインフルエンサーマーケティング施策の選択肢としても有用であり、この手法を使って成功している企業も増えています。

従業員アドボカシーは、従業員の個人ソーシャルメディアアカウントを通じて、ブランド認知の拡大、見込み客のリード量増加、顧客への転換率向上、また既存顧客のLTV(ライフ・タイム・バリュー)の向上だけでなく、人材採用のリード獲得、採用までの時間を短縮化させたり、採用後の定着率の向上にも役立つため、インフルエンサーマーケティングの領域を越えた多くのメリットがある点が魅力です。

ソートリーダーシップ

従業員アドボカシーを成功させるための仕組みのひとつにソートリーダーシップという概念があります。

顧客の大きく困難な課題に対して、これを解決しうる哲学や根本的な考え方を表明し、特定の分野やビジネスの世界などでリーダーシップをとっていく人または企業のことを「ソートリーダー(thought leader)」と呼んでいます。

ソートリーダーは、業界や分野において革新的な解決策となる考えを発信し、ステークホルダーからも共感を得ています。

ソートリーダーが存在する企業では、従業員が企業に属していることへの誇りと情熱を持つようになり、自社の活動や製品について自発的にかつポジティブな情報発信するという好循環を生み出します。

従業員教育を行っていく上での注意点  

ここで、注意しておきたいのは、従業員アドボカシーは、企業が従業員に強制的に実施を求めるキャンペーンではなく、自発的な活動となり、内側からじわじわと自然と広まっていくように浸透させていく必要があります。

なぜならば、従業員が主体的に会社を支持し、その支持している姿勢を自分の保有するソーシャルメディアアカウントやブログで発信したいという感情と意思を持って情報発信することにこそ意義があり、ユーザーは、そういった従業員の「真実の声」に信頼を置き、耳を傾けています。

従業員アドボカシープログラムは、まず、ソートリーダーシップに強く共感する従業員や、ソーシャルメディアでの発言を好む従業員を見つけ、数人から始めます。

中心的な人物へ、企業の哲学や理念、考えを丁寧に伝えて行き、彼らがインフルエンサーとなってその他の従業員に影響を与えていきます。従業員という枠を越え、ユーザーや顧客、社会へと自然に情報伝播していくようになることが重要です。

従業員をインフルエンサーとして教育・活用した成功事例

ここからは、従業員アドボカシープログラム実施している個別事例をご紹介していきます。

Reabock

英スポーツブランドReabockでは、2014年にグローバルソーシャルメディアシニア・マネージャーのBen Blakesley氏が従業員アドボカシープログラムの仕掛け役となりました。従来Reabockではエリートレベルと言われるアスリートをターゲットに置きプロモーション活動を実施してきましたが、Ben Blakesley氏は、新たなターゲット層を、ミレニアム層で運動を日常的に好む層へとシフトしました。

ある日、彼の同僚が、エクササイズにコミットメントする姿を見て、彼がReabockの新たなブランド戦略に沿った、理想的なアンバサダーであるという気づきを得ました。その後の調査で、すでに社内にはミレニアム層で運動を日常的に好むという従業員が8割を占めていることがわかりました。

彼らのスポーツに対する情熱やエクササイズに励む姿とReabockの製品を「#fitasscompany/#reabock」のハッシュタグを付けて、従業員の個人のTwitter、Facebook、Instagramなどにポストしてもらうキャンペーンを実施し、新たなブランドイメージを消費者に伝えることに成功しました。Instagramには1000件近くの投稿が寄せられました。

Adobe

Adobeは、2014年から従業員アドボカシープログラムを実施しています。現在は、900人もの従業員が「ブランド大使」となっています。ブランド大使になれる条件は、Adobeの従業員であることが誇らしいと思っていること、製品を熟知している、またはその努力をすること、などがあるそうです。

Adobeはブランド大使のモチベーションを向上する方法として、まずブランドが大使を信頼していることを伝え、個々のソートリーダーシップを高め、他従業員との接点を創出し、社内外ともに露出させていくことで、ネットワークを強固にしていく手法をとっています。

ブランド大使は、自らの口でAdobeブランドの素晴らしさを語り、#AdobeLifeのハッシュタグを使って、それぞれのソーシャルメディアアカウントでAdobeのストーリーテラーとなります。こういった活動を通じて、ブランド大使である従業員が、Adobeのファングループやコミュニティを生成しているのです。

現在、Instagramの「#AdobeLife」には73万件もの投稿があります。

IBM

米ソフトウェア開発会社IBMでは、IBM Verseという新商品リリース時に、自社社員に「#NewWayToWork」ハッシュタグで、IBM Verseについて自社のアカウントに投稿してもらうキャンペーンを実施しました。

このキャンペーンにより、新規登録者が製品リリース2週間で5万人達成するという成功を収めました。

BtoBでインフルエンサーマーケティングを行う上で考えるべきポイント

それでは、実際に自社でインフルエンサーマーケティングを実施していく上での注意点や選定方法についてご紹介していきます。

本質はBtoBマーケティングに通ずるものであることを理解する

インフルエンサーマーケティングと聞くと、目新らしいマーケティング手法と感じるかもしれませんが、本質を見極めれば企業がとるべき姿勢は変わりません。

自社のユーザーが抱えている課題やニーズをユーザーの購買フェーズに応じて答えるために、カスタマージャーを描き、各施策や適切なコンテンツ、チャネルを選定します。インフルエンサーマーケティングはこういった従来のBtoBマーケティングに取り入れられる一つの手法に過ぎません。

また、インフルエンサーマーケティングは、ターゲットの疑問やニーズへの解決策を、より信頼ある情報として届けることを目的としているため、適切なインフルエンサーをアサインすることが重要です。有名人を起用すればいい、バズらせればいいというわけではない点を注意しましょう。

先述したように、現代のユーザーは、自分に親しい立場の人や業界のオーソリティ、ソートリーダーなどに耳を傾ける傾向にあります。ターゲットが信頼を置いているインフルエンサーを起用することが重要です。

KPIに落とし込んで考える

インフルエンサーマーケティングにおいても、従来のBtoBマーケティング同様、KPIの設定が施策の効果を上げていくために必要です。

インフルエンサーマーケティングでも、まずは目的設定をし、目的の達成度を図るためにKPIまで落とし込みます。インフルエンサーにもインフルエンサー側のアカウントで提供しえるデータの共有を依頼し、その効果のほどを定点観測していく必要があります。

インフルエンサーマーケティングで使用するチャネルによって定点観測可能な指標は異なりますが、例えばInstagramであれば、コンテンツの閲覧者数や、いいねやコメント数(インプレッション)、インフルエンサーから自社アカウントへの遷移数(率)などが一つ指標として挙げられます。

認知を目的としたインフルエンサーマーケティングであれば、先行指標となるインプレッションなどがKPIとなり得ますし、よりファネルの下層となる購買意欲の後押しを目的とするのであれば、ウェブサイトへ流入した後の行動までトラッキングし、デモページへの遷移率などをKPIとすることも出来ます。

BtoBマーケティングの仕組み同様に、KPIや、KPI周りの指標を観測しながら、PDCAをしっかり回していくことで、インフルエンサーの選定の適正性や、インフルエンサーマーケティングの効果を向上させていくことに繋がります。

自社のビジネスに親和性の高いインフルエンサーを選定する

インフルエンサーマーケティングを実施するにあたって、迷うのがインフルエンサーの選定です。

自社のビジネスの業界・分野に所属している人、または関連性、親和性があり、自社のターゲット層をより多く抱えるインフルエンサーを起用しましょう。

こういった人物は、自社のターゲット層と近いフォロワーを有している傾向にあり、潜在顧客層への認知を高めるという目的も果たせると同時に、自社のターゲットにとっても価値の高い情報発信を行っている傾向にあります。

業界や分野に関連性の低いのに、フォロワーの多さや有名度合いのみでインフルエンサーを起用してしまうと、情報の受け手側が、企業側のプッシュ型プロモーションであると誤解するケースがありますので注意が必要です。

また、インフルエンサーのフォロワー数だけに囚われず、フォロワーとインフルエンサーの関係性にも目を向けてみてください。これは、いいね数などのエンゲージメント率が一つの指標になります。インフルエンサーのコンテンツにいいねなどのインタラクションがあれば、フォロワーはそれを有益な情報であると判断しています。

フォロワー数が多いにも関わらず、エンゲージメントが生まれていないインフルエンサーには情報価値が低いという評判が立っていたり、共感が生まれていない可能性があるため注意しましょう。

ステマ(ステルスマーケティング)は絶対にNG

ステルスマーケティングとは、企業とインフルエンサーの間で金銭や報酬の契約があるにも関わらず、ユーザーに対して、宣伝行為であることを隠して、良い評価や口コミ、リコメンドをするマーケティング手法です。

日本では、インフルエンサーが金銭・報酬の契約がある場合は、必ずその旨を記載することが義務付けられており、ステルスマーケティングは実質法律で禁じられています。 

それだけでなく、ステルスマーケティングは、企業にもたらすデメリットが多く、例えば、投稿コンテンツからの炎上リスク、炎上対応にかかる人的コスト、さらには、長期的な企業の信用力を低下させるリスクを伴います。

インフルエンサーマーケティングでは、ステルスマーケティングと誤解をされないように、信頼できるインフルエンサーを慎重に選定した上で、自らの言葉で発信してもらうようにすると良いでしょう。ユーザーは、インフルエンサーを観察しています。一貫性の失われたメッセージやポリシーに反した発言に敏感に反応します。

企業はそういった背景を理解した上で、インフルエンサーが商品やサービスを自らの意思でよいと感じた場合に発信してもらうなど、ある程度の裁量権を与えることが重要です。

同時に、SNSへの寄稿等では企業側が自社で文章をチェックしたり修正したりすることができない場合もあり、企業側の意図しない情報がインフルエンサーによって拡散されるというリスクも発生することを念頭におきましょう。

インフルエンサーの選定に困ったら

インフルエンサーをエージェントを使って探す方法もあります。下記に、手法別、タイプ別でご紹介していきます。

1.インフルエンサーのキャスティングを行っている会社やプラットフォームを通じて探す

①総合ディレクション型

インフルエンサーマーケティングの専門家がプランニングやディレクションを行います。自社にノウハウや人的リソースがない人におススメです。

  • Find Model(ソーシャルワイヤー株式会社)

-AIを活用したインフルエンサー選定やハッシュタグ分析も行い、効果の高いインフルエンサーキャスティングを支援。

  • UUUM(UUUM株式会社)

-Youtuberによる動画配信を活用したサービスを提供。HIKAKIN、はじめしゃちょーなどの有名Youtuberが所属。

②プラットフォーム型

クライアントがプラットフォームを利用して自分たちでインフルエンサーの選定や交渉を行います。

自社にインフルエンサーマーケティングに関する知識のある人がいる場合におススメ。総合ディレクション型と比較して中間業者が少なくなるため、コストを抑える事が出来ます。

  • indaHash (IDM Media Limited)

-マイクロインフルエンサーがメインで、アプリを通じて世界80か国以上のインフルエンサーと繋がる事が出来るため、海外展開を希望している人向け。IDHコインと言うトークンを発行し、プラットフォーム内で商品等の割引を受けられるなど、独自の経済を生み出しています。

  • SPIRIT(リデル株式会社)

-サービスに登録しているインフルエンサーに対して、企業から依頼されている案件に参加したい人を募る公募形式のキャスティングが特徴。公募のため、インフルエンサーの士気が高く、高品質が期待できます。ニッチな商品・サービスを提供する人にお勧めです。

③ジャンル/マイクロインフルエンサー特化型

特定ジャンルのインフルエンサーを選定したい方向け

  • P-Conne(テテマーチ株式会社)

-大学生特化型インフルエンサーマーケティングサービス。大学生は社会人と比較してコミュニティへの依存度が高いため、そのコミュニティに対してインフルエンサーマーケティングを仕掛けてくれます。

  • OTONARI(株式会社OTONARI)

-大人特化型インフルエンサーマーケティングサービス。大人インフルエンサー(Youtube)に特化したサービス。SNSは若年層が多いですが、年代の高い世代への商品やサービスを提供している場合にお勧めです。

2.デスクトップリサーチで探し、直接アプローチ

自社の事業が関連する紙媒体やウェブメディア、業界カンファレンスを調査してみましょう。対談に頻繁に露出していたり、記事を寄稿していたり、スピーカーとして登壇している業界著名人を見つけ、直接依頼することも一つの方法です。

3.自社の従業員にヒアリングしてみる

ソーシャルメディアを活用して情報収集をしている従業員に、どういったインフルエンサーをフォローしているかをヒアリングしてみましょう。営業部門・技術部門・IT部門など、複数の部門をまたいで調査すると、共通のインフルエンサーが浮き彫りになってくる可能性があります。

4.競合他社がフォローしているインフルエンサーをリサーチ

競合他社のソーシャルアカウントがフォローしているインフルエンサーやコラボレーションしているインフルエンサーをリサーチしてみましょう。ソーシャルアカウントであれば、良いエンゲージメント指標(いいねやシェア)があるか、インフルエンサーを使ったキャンペーンがあるかなど、インフルエンサー像を参考にすることができます。

まとめ

本記事ではインフルエンサーとは?という定義から、BtoB業界における成功事例の紹介や、実行していく上で気を付けたい点などについてお話ししてきました。

今後もインフルエンサーマーケティングはまずます注目を集め市場規模が拡大していくことが予想されますが、BtoBでインフルエンサーマーケティングを行っていく上で最も重要なのは、施策の目新しさではなく、従来のマーケティング手法と同じく自社がターゲットとするユーザーの二ーズにいかに答えていくかを本質的に考えることでしょう。