インバウンドマーケティングの最新動向とは?(INBOUND 2013 )

インバウンドマーケティング

8月19日より4日間に渡り、アメリカのボストンで開催されたインバウンドマーケティング(※)の最大カンファレンス、INBOUND 2013。その参加者、スピーカーらがソーシャルメディアなどを通じて会場から発信してくれたメッセージは、今後のコンテンツマーケティングのあり方や、理想を照らし出すものであった。 今回は、開催期間中にツイッターのタイムラインを眺めていて、特に力強く、印象に残った言葉をいくつかご紹介したい。

※インバウンドマーケティングとは、こちらから一方的に売り込むあるいは誘導するのではなく、顧客にコンテンツを見つけてもらい、Webサイトに来てもらう部分に重点を置いているマーケティング手法で、コンテンツマーケティングとほぼ同義である。

“Delightion”

今開催期間中、もっとも多くの参加者たちに感銘を与え、つぶやかれた言葉ではないだろうか。 "The goal (of inbound) is not customer satisfaction. The goal is customer delightion." インバウンドマーケティングの提唱者で、この最大カンファレンスを主宰し、世界中でインバウンドマーケティングのソフトウェアを提供するアメリカのHubSpot社。その共同創始者でありCTO (Chief Technology Officer) である Dharmesh Shah氏が21日のセッションで発したこの “delightion” という言葉は、瞬く間に世界中を駆け巡った。Twitterには #delightion というハッシュタグも登場したほどだ。 これは、”delight” と “satisfaction” を掛け合わせた氏の造語で、辞書にある言葉ではない。が、すでにマーケティング新語として多くのマーケターたちに語られはじめている。 「インバウンドマーケティングの目指すところは顧客を満足させることではない。顧客を大いに喜ばせ満足させることだ。」というこのメッセージ。 CTOが発したメッセージとして 「もはや顧客満足度だけを測るだけの手法では勝ち残ることは出来ない。マーケティングは顧客”歓喜度” を”測定する”時代に来ているのだ。」という意味にも取れるという意味では、今後のマーケティングツールや測定尺度の進化をも窺わせる、とても興味深い一言だ。 今、マーケティングは顧客満足を目指した時代から、「歓喜させ満足させる」時代に来ているのだ。

透明性

"I think great marketing is transparent... if it's not uncomfortable, you're not being transparent enough." 「優れたマーケティングは透明である。もしそれが(あなたにとって)心地良くないものであるならば、あなたが十分に透き通っていないのだ。」 コンテンツマーケティングと分析を手がける Mozの創設者でCEOのRand Fishkin氏の言葉だ。 確かにマーケティングの「透明性」は、先に紹介した「顧客を歓喜させ満足させること」の前提として存在しなければならない要素である。氏がプレゼンテーションの中で触れた、 “Transparent content, transparent approach, transparent selling.” も会場から数多くツイートされていた印象深い言葉である。 「透明なコンテンツ・アプローチ・販売」が、オンラインマーケティング界が抱える焦りや苛立ち(筆者は、消費者が成長したことにより効果が薄れてきた従来のマーケティング手法に対するものだと解釈している)への挑戦に応えるキーワードだと紹介されている。

何かが恐れを抱かせる時こそ、やる価値のある時

最後にこの言葉を紹介したい。MarketingProfsのCCO (Chief Content Officer) でベテランのライターでもある Ann Handleyさんが投げかけたこのメッセージも多くの人々を惹き付けていた。 "Very often when something scares you, it's the very thing worth doing." 「頻繁にある何かがあなたに恐れを抱かせる時こそ、やる価値のある時なのだ。」 つまり、ふだんよく躊躇したり不安を抱いている時には、やること、やりたいことから逃げ腰になリがちであるが、実はその瞬間こそ、それをするべき価値がある、やり甲斐がある時なのだ、と述べている。 みなさんは、これに近い言葉をこれまでにも多く読んだり聴いたりしているだろう。 しかし、筆者にとっては彼女の言葉の中の「何かが恐れさせる時」が単に「やるべき時」なのではなく、「やる”価値”のある時」であるという部分にマーケティングカンファレンスならではの深いメッセージを読み取ったのでここで取り上げた。

最後に

今回も、本当にたくさんのトップマーケター、エンジニア、クリエイターらが、それぞれのセッションで力強いメッセージを残していた。 すべてを紹介しきれないのが残念だが、公開されているキーノートなどからも、特に今回は、より「ヒト」に、つまりユーザーの体験や行動・感情により強くフォーカスしていくマーケティングの未来が語られていた。と同時に、マーケターやエンジニア、クリエイターも含め、要はすべてが「ヒト」であり、その人たちがとても人間的で、魅力的であることがビジネスを成功に導くのだということを再認識させられた。 カスタマー・ディライション (Customer Delightion)、透明なコンテンツ・アプローチ・販売を念頭に、恐れに屈せずに行動することで生み出される新たな価値を、サービス提供者と顧客の双方が享受できる未来を創っていきたいものである。

参考元:

https://twitter.com/search?q=%23INBOUND13&src=hashhttp://bostinno.streetwise.co/channels/13-memorable-quotes-from-inbound-13/

Photo: Some rights reserved by vanhoosear, flickr

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