人間重視でコンテンツマーケティングを計画しよう!今、注目のH2H(Human to Human)マーケティングとは?

コンテンツマーケティング
「今日のマーケティングに、B2BとB2Cとを区別する必要があるだろうか。これからは、Human to Human (H2H: 人対人)だ」
シリコンバレーのソーシャルメディアマーケティングエージェンシーPureMatter社CEOであるブライアン・クラマー氏が提唱したこの新概念が、いま大きな話題を呼んでいる。しかし、H2Hというこの新しい概念、本当にB2B、B2Cという考え方を置き換えるほどのものなのだろうか?
本日は、いま一度初心に立ち返ってB2B、B2Cの概念を確認することを通して、H2Hという新概念の意味を紐解いてみたいと思う。
目次
B2BとB2Cとでは「顧客の求めているものが違う」
B2B=Business to Businessとは言うまでもなく、は企業が企業を対象に行う取引である。
対してB2C=Business to Consumerは企業が個人の消費者を対象に行う取引だ。
そして、どちらの場合においても購買行動につながる見込み顧客を惹きつけ、売上につなげたいというマーケティングの目的は共通している。
しかしB2BとB2Cとでは、それを実現しようとした場合のマーケティングのアプローチが次のように異なるとされている。
B2C:「消費者の感情に訴える、関心のある話題」を提供
B2Cの場合、製品を利用するのも購買を決定するのもその購買者自身だ(時には家族や伴侶が購買意思決定に影響を与える場合もあるが)。
したがってB2Cマーケティングの主眼は、顧客である消費者を「楽しませること」におかれ、発信するコンテンツも「消費者が関心のある話題」にあてられていることが多い。企業のイメージや印象、ブランドといったエモーショナルな部分が購買意思の決定に大きく寄与するためだ。
例えば、清涼飲料水のレッドブルはスポーツに焦点をあてており、スポーツを通してブランド力を構築したことで知られている。ターゲットとなる顧客が興味をもつスポーツを提供し、ブランドへのエンゲージメントを高めてきた。いまやレッドブルはスポーツメディアとして世界でも有数の企業となっている。そして、青とシルバーに赤字の缶飲料は、実に1年間に46億本も売れている。
B2B:「製品・サービス」の情報を提供
B2Bの場合も、コンテンツマーケティングが顧客をもてなすためのものであることに違いはない。
しかし、焦点は自社の「製品」「サービス」にあてられている場合が多い。Webサイトを訪れる顧客の最も求めているものは、購入すべきかどうか、その判断の材料となるものだからだ。
B2Bの場合、企業は製品やサービスの品質、信頼性、コストパフォーマンス等を厳しく検討し、複数の人間(担当者→部門長→担当役員、など)による極めて「合理的な判断」を経て一つの製品・サービスの購入にいたる。ここでは、製品・サービスの特長をいかにうまく伝えることができるかに焦点がおかれることになる。
結果、発信されるコンテンツは客観的に見て極めて「つまらない」ものになりがちである。
「企業」という顔の無い存在から、顔の見える「人」に対してのマーケティングへ
ここで、クラマー氏の唱えるH2Hという概念に戻ってみよう。
氏の思想とは、「B2BやB2Cといった区切り方ではなく、相手のニーズや感情にきちんと寄り添ったOne to Oneなマーケティングをしよう」、ということだろう。
“Business do not have emotion. People do.”
(ビジネスには感情がないが、ヒトにはある。)
との発言から察するに、特にB2Bマーケティングに対して、よりカスタマーエクスペリエンスの向上や感情に訴えかけるようなアプローチを求めるべきとの立場であるようだ。
クラマー氏は「人」の特徴をこんなふうにとらえている。
「人というものは、自分よりも大きな何かの一部になりたいものである」
「人というものは、何か感情を抱きたいと思っているものである」
「人というものは、自分も仲間に入れてほしいと思っているものである」
「人というものは、理解したいと思っているものである」
こういった「人」の特徴を踏まえた上で、現場担当者や決裁者の集まりとしての「企業」という顔の見えない顧客ではなく、人対人=Human to Humanのコミュニケーションを作るべきだ、というのだ。
7000万回再生されたB2Bの動画マーケティング事例
無味乾燥な「つまらない」情報発信になりがちなB2Bマーケティングだが、このH2H的な発想に基づいて成功した事例がある。
商業用トラックを扱うボルボトラックだ。
ボルボトラックでは、特にバック走行時の安定性を高める「ボルボ ダイナミック ステアリング」という新システムを開発。その宣伝に大型トラック2台と、人気俳優のジャン=クロード・ヴァン・ダムを起用したオンライン動画を作成した。
ジャン=クロード・ヴァン・ダムが、並走する大型トラック2台のサイドミラーに足を載せて、180度開脚状態で、そのままトラックはバック走行……という動画。
バック走行時にもかかわらず、大型トラックは2台が文字通り平行状態で走っていく。正確なステアリングの実現を、これほどダイレクトに伝えるものはない。YouTubeでは2014 年5月1日現在、7000万回以上が再生されている。非常に話題となったので、読者の中にもご覧になった方も多いかも知れない。
H2HはB2BやB2Cを置き換える概念ではなく、補完的概念
なにもB2B企業の方々に、有名俳優を起用してプロモーション動画を作れ、とオススメしているわけではない。
ただ、H2Hの「相手に寄り添う」という考え方を取り入れることは有効だ。
B2Bであったとしても製品やサービスに関する無機質な情報をただ発信しつづけるだけでなく、届けたい相手を具体的にイメージしながら、その人々が興味深いと思ってもらえるような情報をふさわしい手段で発信する。
それは、ビジネスへの貢献にも繋がるであろう。
その意味において、H2Hの考え方は現段階においてB2CとB2Bの境界を曖昧にするものではあるが、置き換える概念ではなさそうに思える。
皆さんはどうお考えになっただろうか?
参考元:
There is no more B2B or B2C: It’s Human to Human, #H2H
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