1000万人の口コミを起こすプレスリリースの8つのコツとは?

コンテンツマーケティング
先日、Facebookの上場のタイミングで、GMがFacebook広告の中止を発表し、大きな物議を醸し出した。実は、この騒動に便乗して(?)、口コミを広げまくった会社がある。米国のベンチャー企業ワードストリーム社だ。今回は、そのスーパー口コミが起きた顛末と、そこから企業のマーケティング担当者が学べべき事がらを紹介しよう。
1000万人の口コミを起こすプレスリリースの8つの秘訣とは?
スタートアップ企業がたった一つのプレスリリースで1万に上るメディア掲載を獲得し、1000万人もの人の目に留まることが可能なのだろうか?? そんなメディア・バズが、ボストンを拠点とするSEM(サーチエンジンマーケティング)のベンチャー企業ワードストリーム社に実際に起こったのだ。。設立者でCTO(最高技術責任者)のラリー・キム氏は「我々はPRの宝くじに当たったんだ。。」と述べた。
ワードストリーム社がどのように注目を集め、PRに成功したか。同社が教える8つの秘訣を見てみよう。
(1)話題性のある題材を選ぶ
キム氏によると、同社は自社のサービスであるSEOやSEMよりも、より多くの人の興味を惹くようなプレスリリースを毎月発表していたそうだ。多くのメディアがフェイスブック社のIPO(新規株式公開)の話題を取り上げていたので、彼らもフェイスブック社を題材を選んだ。
(2)独自の視点で語る
企業のオンライン広告を手掛けるワードストリーム社は、自らの見識に基づきフェイスブック社IPOの話題について書いた。「信頼性とネットマーケターとしての視点が重要だと思った。だから我々はフェイスブック社とGoogle 社のバナー広告効果の比較調査結果を発表した」と、キム氏は語る。
(3)フックを作る
調査をする時は、何がフックになるかを考えなくてはいけない。“どうしてこの調査に注目しなくてはいけないのか?”という読者の問いに答えないといけないのだ。、一般に信じられている事に疑問を投げかけつつ、しかも、既存の見解にとらわれず、事実に基づいた調査を発表するといい。。ワードストリーム社が行ったフェイスブック広告の調査結果は驚くべきものだった。興味をそそる広告が少なく、ターゲティングもお粗末なフェイスブック広告のクリック数は、Google のリスティング広告の10分の1にも満たなかったのだ。つまりフェイスブックでは2000広告中1つしかクリックされないのに対し、Google のリスティング広告では250広告中1つがクリックされていたのである。
(4)タイミングを見極める
フェイスブック社のIPOを3日後に控えた2012年5月15日。多くの人がフェイスブック社の市場価値を見極めようとしていた時に、ワードストリーム社は“フェイスブック広告はそもそも効果があるのか?”というインフォグラフィックを用いたプレスリリースを発表した。「我々はウォールストリート紙のような大手メディア2社に注目され、10の主要メディアに掲載された」
(5)思いがけないチャンスに備える
一旦話題が広がると、、もう止めることは出来ない。。同日午後3時にウォールストリートジャーナル紙が、ゼネラル・モーターズ社がフェイスブック広告を効果が薄いとして出稿を停止すると報じた。「その後、我々がプレスリリースを送った記者たちが一斉に連絡を取ってきた。FOXもBBCもNPRもだ。ロイターのような通信社に取り上げられた。さらに様々な言語に翻訳され、ニュース配信された。ニュージーランドからトルコ、インドネシアにまで我が社のプレスリリースが届いたのだ。」
(6)視覚の力を利用する
もしインフォグラフィックを使ったマーケティングを行っているなら、ピンタレストのボタンを設けよう。インフォグラフィックのような視覚に訴えるものは共有されやすい。「何千人もの人々が我々のインフォグラフィックをピンし、多くのサイト流入を生んだ・・・ご自身のビジネスに置き換えてみて欲しい。どんな種類のデータにアクセスでき、どんなことに精通しているか? この二つを関連付け、有意義なインフォグラフィックにしてみよう。我々のインフォグラフィックは、ナウソーシング社のブライアン・ウォレスのチームに依頼して作ってもらった。」
(7)メディア報道の流れに合わせる
ワードストリーム社のプレスリリースは当初、”フェイスブック社とGoogle 社:広告効果比較の最新調査” という単刀直入な面白みの無いタイトルだった。そこで、ゼネラル・モーターズ社がフェイスブック広告からの撤退を発表をした際に、タイトルを微妙に変更して再びプレスリリースを発表。「タイトルを“フェイスブック広告は有効か?”に変えたところ、次々に広がっていき、メディア報道の流れにはまった。」
(8)決してあきらめない
「こうしたPR努力がいつも有効というわけではない。メディアが本当に記事を取り上げてくれるのか、無視されるのかは予め予測ができないからだ。でもがっかりしないでほしい。我々のリリースにに似た話の半分はメディア取り上げられなかったのだ。諦めずに、取り上げられるまで挑戦するしかない。」
まとめ:これはインバウンドマーケティングの実践例だ
企業がコンテンツを作る時代
今回のストーリーの教訓は何だろうか?私は、企業が自らコンテンツを作る時代になってきた、という事だと理解している。ワードストリーム社は、ベンチャー企業であり、マーケティング予算が限られているものの、その限られた予算をコンテンツの制作へと振り向け、PR活動に力を入れてきた。それはとりもなおさず、少額でも投資対効果の高いマーケティング手法だからに他ならない。その地道な努力が今回の大ヒットに繋がったという事だろう。
インバウンド・マーケティング は中小企業・ベンチャー向きの手法
今回のように、何らかのコンテンツを制作し、それをビジネスにつなげる手法を、米国では、コンテンツマーケティング、あるいは、インバウンド・マーケティングと呼んでいる。このインバウンド・マーケティングは、大きな広告予算が不要であるため、中小企業が自社のブランドを確立し、多くの人に製品やサービスを効果的にマーケティングする上で欠かせない手法はとなっている。
インバウンド・マーケティングの可能性は極めて大きい
私自身、前職のトーチライト時代よりブログを使った情報発信に力を入れており、このインバウンドマーケティングが日本でも十分に通用すると考えている。またそれだけではなく、日本の企業が、英語という言語を使ってコンテンツを制作し、インバウンド・マーケティングを行うならば、その可能性は非常に大きい。英語でビジネスを行う20億人がビジネスの対象になるからである。
おすすめ書籍
今回の記事を読んで、インバウンド・マーケティング、コンテンツ・マーケティングに興味を持たれた方は、以下の本を読むなどして研究を深める事をおすすめしたい。
マーケティングとPRの実践ネット戦略(リンク先)
日本語版の 出版年月日は2009年2月と古めだが、やはり基本なので抑えておきたい。
インバウンドマーケティング(リンク先)
これはもう中小企業のマーケティングのバイブルだと思う。コトラーとかポーターとか、大企業向けの本を読むのは止めて、こちらを読んだ方が良い。
出典:CASE STUDY: HOW ONE STARTUP’S PRESS RELEASE WENT VIRAL AND SNAGGED 10,000 MEDIA MENTIONS
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