車から飲み水?ホンダの燃料電池車FCXクラリティの新プロモーションに学ぶ

コンテンツマーケティング

「子供たちに青空を」

環境問題が深刻化した1960年代、本田技研工業株式会社(以下、ホンダ)が社の合い言葉として掲げたのは「子供たちに青空を」というスローガンだった。

それ以来、未来の子供たちに青空を残したい、という思いとともに、環境に優しい車の開発に勤しんでいる。

そんなホンダがいま開発に力を入れているのが、水素を燃料として、排出されるのは水のみというクリーンカーである燃料電池車FCXクラリティ。

現在は日本、アメリカ、ヨーロッパで台数を限定したリースのみが行われている、希少価値の高い車である。

今日は、このFCXクラリティのマーケティングの一環として立ち上げられた、「H2O」というホンダ独自の飲料水について見ていきながら、オーストラリアのマーケティングチームが実施した話題のプロモーションに焦点を当ててみたい。

「パワー・オブ・クレバー・シンキング」

ホンダ・オーストラリアのジェネラル・マネージャー、ジェイソン・ミラー氏は「パワー・オブ・クレバー・シンキング」(創意工夫の力)を信じている。

FCXクラリティのように新しいコンセプトに沿ってデザインされた車はまさしくこの象徴で、口頭や文面で「環境汚染を減らそう」とただ訴えかけるより、企業としての努力をこうやって形にして伝えるほうが、より人々の心に響くものである。

「水が与えるインパクト」

もしあなたが映画館にいったときに、シートに無料のペットボトル水が置いてあったらどうだろうか。シートに座った後、映画開始までの間にまずそのボトルを手にとってみるだろう。

ボトルには「美しいミネラル・スプリング、冷たい山岳氷河……またはホンダFCXクラリティの排気管から生まれるおいしくてフレッシュなH2O」というキャッチフレーズ。

そして、それとともに、FCXクラリティが水しか排出されない燃料電池車であり、その水はボトルに入れて飲めるほどにクリーンでピュアなものであるということが書かれている。

手に取ったボトルをまじまじと見つめた後、隣に座っている友人や家族に「ねえねえ……」と思わず話しかけたくなってしまうインパクトである。

当然、興味を持った人々はFCXクラリティに関して、ネットやその他の情報源で調べてみるだろう。

たった1本のボトルで、興味を惹き、会話のネタとなり、人々が商品の情報を自ら調べたくなる。なんと効率的なマーケティングであろうか。

「ロゴでビジュアルに訴える」

マーケティングにおいて、ビジュアルコンテンツは忘れてはならないものである。ホンダは今回用意した水を「H2O」とシンプルにブランディングしたが、それにはきちんとしたワケがある。

配布したボトルの表面には大きく「H2O」と赤でプリントされているが、その「H」の文字は実はホンダのロゴ。

車社会で生活している人ならば、毎日見かけるロゴなので、一目見ればホンダとの関連性が見えるようになっている。

確認のしやすさと覚えやすさまで考えた上で、あえてシンプルなロゴにすることによって、見る人へのビジュアルでのインパクトを与えるロゴ作りに成功している。

時代の流れとニーズに合わせたマーケティング

今日のように、情報があふれかえっている社会の中で人々の興味を引くには、ただ雑誌や新聞、テレビなどに商品名と写真を載せただけの広告を出すのでは物足りない。

効率的なマーケティングを行う上で、コンテンツのプレゼンテーション方法、パッケージング、話題性、明確なコンセプトをよく考慮した上で、他の会社とは違う、インパクトのあるユニークなマーケティングが必要となってくる。

「環境汚染」という現代の世界が対面している大きな問題に対し、会社としての真摯(しんし)な姿勢を根底に、人々の興味を引き、話題性に富んだマーケティングを打ち出したホンダ。

そのクレバー・シンキングをぜひ見習いたい。

参考元: Honda Creates Bottled Water Brand in Honor of Vehicle That Emits Only Drinkable H2O Take a swig from that exhaust pipe How Did Honda Brand H2O? Honda’s birth of water brand H20 Honda Australia launches water brand H2O to demonstrate how clean Honda FCX's hydrogen fuel technology is via Leo Burnett, Melbourne Honda H2O Water Bottle 「子供たちに青空を」篇

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