魅せる・読ませるコンテンツを実現するハリウッド式「面白さの法則」を大公開!

コンテンツマーケティング

エンターテインメントの基本は、人を楽しませることにある。人が、ある創作物に接したとき、一瞬でも「心を奪われる状態」になり、楽しむことで、人はその作品を「面白い」と評価するのである。

では、その「面白い」と評価してもらえるものは、どうやったら作り出せるのだろう? 数学の公式のように、具体的なフォーマットはあるのだろうか? あるとしたらそれはどのようなものだろう? それはコンテンツ制作にどのように活用できるのだろうか。

ハリウッド映画の作劇「基本公式」を知っていますか?

「面白さの法則」を考えるとき、最良のテキストとなるのが、ハリウッド映画のストーリーテリングだ。ハリウッド映画が世界中をマーケットにできているのには、ちゃんとした理由がある。

偶然面白いストーリーができるのではなく、戦略的に、地域・民族を問わず、普遍的に「面白い」物語はどうすれば生まれるのかを考え抜き、「誰もがわくわく面白がってくれる」物語化のフォーマットを作り出したのである。

詳細に説明すると、本がまるまる1冊書けるだけの分量になるので、ここでは、その基本的な公式だけ紹介しておこう。(数学の公式みたいでしょ?)

ハリウッド式物語のフォーマット「基本公式」

1. 主人公は何かを探す状態におかれる(人、もの、思い出、愛、復讐、成功、etc.)
2. 多くの場合、主人公を動かす動機を与える人間が現れる
3. 主人公は自らの意思により、探しに出かける(そうせざるを得ないパターンもある)
4. 主人公の探索を邪魔する者が現れる
5. 主人公は窮地に陥(おちい)る
6. 窮地を救ってくれる者が現れるが、その援助を手に入れるために別の試練が与えられ、試練を乗り越えるための苦闘が続く
7. 無事に援助を受け、探しものが見つかる

これがストーリー作りのための基本公式だ。大ざっぱなプロットをこの公式にあてはめて作り、そこから、詳細なストーリーラインを作成する。

日本の場合、シナリオライターは単独で担当することがほとんどだが、ハリウッドの場合、数人のシナリオライターが、プロットに従い、ストーリーラインを作りこんでいく。

そして、ストーリーラインが決定してはじめて、シナリオが執筆されるのである。

「こんなに単純なの?」と、思われる方もいるだろう。ハリウッドでヒットした作品を、この公式にあてはめてみてもらいたい。基本構造が、ほぼこの公式どおりなのに驚かれるはずだ。

ひとつだけ例をあげる。

1. 主人公は大きな港に職を探しに出かける。
2. 職が見つからず、偶然入った港の酒場で、船の出港待ちの男から賭けに誘われる。「アメリカ行きの豪華客船のチケットを賭けよう」といわれ、賭けに乗り、勝つ。
3. 主人公はアメリカで職を探すことを決意し、受け取ったチケットで乗船する。そこで上流階級の娘と出会う。
4. 娘の婚約者たちから、嫌がらせや妨害を受ける。泥棒に仕立てあげられ、地下の船倉に鎖で拘束される。
5. 船が座礁し、沈没しはじめる。主人公はなんとか脱出しようともがく。娘が探しまわる。
6. 救出への苦闘が続くが、ぎりぎりでなんとか脱出できる。脱出ボートにひとりしか乗れないのを知り、主人公は娘を乗せる。
7. 厳寒の北極海に浮かぶボートに乗る娘と、海に浸かりながら娘を励ます主人公。愛を見つけ、主人公は水没していく。

おわかりかと思うが、これは映画『タイタニック』である。基本的な枠組みが、公式にほぼ沿っている。

ハリウッド式のストーリーテリングは、このような全体の枠組み(プロット)をまず作り、そこから時系列に沿ってストーリーラインを作成するのである。

そうすることで、ドキドキワクワクする物語ができるのだ。

実験:50秒の動画で「イレギュラーな飛躍」をしてみる

ハリウッド式の物語作成法は、実はあらゆる分野で応用できる。

たとえば、このブログ記事のように、2000文字前後で面白く読ませるためには、基本公式のエッセンスを抜き出し、そこに構成をあてはめればいい。1分程度の短い動画でも、この公式のエッセンスを使えば、ちょっとした驚きを出すことができる。

エッセンスとは、何か? それは、「イレギュラーな飛躍」である。

人は思考の流れに沿って文章を読んだり、映像を観ている。つまり、無意識のうちに次の展開を予測しながら、文章や映像を目にしているのである。これが、「レギュラーな状態」だ。

ところが、突然その予測をはずされたとき、人はちょっとした驚きと共に、「面白さ」を感じてしまうのだ。その「面白さ」は、関心と言い換えてもいい。

理屈を並べるより、実際に体験してもらった方がわかりやすいだろう。

この原稿のために、2本の動画を作り動画サイトにアップした。途中までまったく同じカットが続くが、後半の数カットが変化している。そのことで、最後まで見ると、正反対の意味を持つ動画になっているはずだ。

それぞれ50秒ほどの短い動画である。まずは、ご覧いただこう。

モンタージュ実験「未来」

モンタージュ実験「破壊」

いかがだろう? 途中までまったく同じ意味を持つ動画が、後半に出るテロップと、それに続く数カットだけで、まったく反対の意味を持つ映像に変化している。

最初の「未来」を見て、次の「破壊」を見ると、テロップ後のカットが表す意味に、驚くのではないか? この驚きは、「イレギュラーな飛躍」からきているのである。

予測をはずされた驚き。そしてこの驚きを上手にすくいあげると、それは「面白さ」につながるのだ。

これは、この稿のために簡単に作った動画なので、非常に単純なものだが、わずか数十秒の動画でも、上述の「基本公式」のエッセンスを使えば、それなりにサプライズを起こすものが作れるということである。

「面白さの法則」はあらゆるコンテンツで活用できる

さて、いよいよまとめの段落に入ってきた。

この稿の目的は、「面白さの法則」を明らかにし、それを様々なコンテンツに活用できるかどうかを検証することにある。ここまで、映画のストーリーテリングからはじまり、短い動画での活用法を説明してきた。最後は、ブログなどの文章コンテンツでの活用法だ。

読者に驚きを与え、「面白さ」を感じさせるためには、動画と同じように、「イレギュラーな飛躍」を文章の中で行えばよい。

一般的な文章作法として、「起承転結」を意識しなさいと、小学生の頃から教えられているが、面白さを追求する上では、そんなものはまったく役に立たない。

「転・転・結」、もしくは、「結1・転・結2」の構成の文章が、読者に一番驚きと興味を与える。つまり、「イレギュラーな飛躍」は、このどちらかの構成から生まれるのである。

実際の例をご覧いただきたい。

あなたが今お読みの、この記事である。

この記事は、リード文をのぞくと、「転・転・結」の構成をとっているのだが、気がつかれただろうか? 

リード文で命題提出したあと、「ハリウッド映画の作劇『基本公式』を知っていますか?」の項で、「ハリウッド式ストーリーテリング」はどうだ?という「意表をついた提案」を持ってきている(すなわち「転」)。

続いて、「実験:50秒の動画で「イレギュラーな飛躍」をしてみる」の項は、前項で提示した公式からエッセンスを抜き出すという荒技を行っているため、やはりこの段落も「転じる」部分になっている。

最後の項は「結」。

けっこう理屈っぽい内容であるにも関わらず、ここまで読み進んできていただけたということは、「イレギュラーな飛躍」が発露した結果であろう。

というわけで、「面白さの法則」を使って、ぜひ多くの人の関心を引くコンテンツを制作してほしい。