食材をツイートするとレシピを返信!ヘルマンズ・ブラジル(Hellmann’s Brazil)の1日で2200万インプレッションを獲得したキャンペーン

デジタルマーケティング

サンドイッチに、生野菜に、ソースとして魚に……。“マヨラー”という言葉があるくらい愛され、ご飯にかけて食べる人もいるくらい応用が利く、万能ソースのマヨネーズ。

世界中で親しまれている数ある有名ブランドの中で、100年以上も人気を誇るヘルマンズ(Hellmann’s)マヨネーズを知っているだろうか。

その歴史は、米国へ移民してきたドイツ人、リチャード・ヘルマンがニューヨークにオープンしたデリカテッセン(デリ)から始まった。ヘルマンは、デリで評判の良かったサラダの秘密は自家製マヨネーズにあると考え、それを家庭用として「売る」ことを思いついたのだ。こうして、ヘルマンズ・マヨネーズは、バターを計量する際に使用していた舟形の木製容器で売り出された。

ヘルマンズ・ブラジル(Hellmann’s Brazil)がすごい!

時代を超えて北米、ヨーロッパ、南米と、世界中に広まっていったヘルマンズ・ブランド。現在では商品ラインも充実し、その人気は確かなものであるが、ヘルマンズ・ブラジルの経営陣は以前より頭を抱えたくなるような悩みがあった。

それは、人々が持つ「マヨネーズ」に対する固定観念だ。

日本ではさまざまな料理のアレンジに使われるマヨネーズ。しかし、ブラジルの家庭では、いまだに「マヨネーズ=サンドイッチ」というイメージが根強く、売上向上のためには“マヨネーズを他の料理にも使ってもらうこと”が必須だった。

かといって、スーパーマーケットでよく見られるような商品の横にレシピを置くと言った方法では話題性も、意外性も何もないと考えたヘルマンズ・ブラジルは、普段とは違うレシピにも興味を持ってもらえるようにと、近年、ユニークなキャンペーンを次々と展開してきた。

そして2014年、ヘルマンズは冷蔵庫の中を眺めながらメニューを考えているTwitterユーザーのため、「9つの材料があれば360,000以上のレシピがある」を基本に、レシピ配信キャンペーンをスタートさせた。

2014年キャンペーン:ReciTweet(レシツイート)レシピ配信キャンペーン

「ヘルマンズ・ブラジル」は、公式Twitter(@hellmannsbrasil)上で、「#PreparaPraMim(私のために準備して)」というハッシュタグと共に食材をつぶやくだけで、それらの食材を使ったレシピが返信されてくる、というキャンペーン(ReciTweet)を展開した。

キャッチコピーは、“Thousands of Recipies, Just a Tweet Away” (何千というレシピが、たったひとつのツイートで)

アプリのダウンロードも必要がなく、シンプルで手間がかからないのにパーソナライズされたレシピが手に入るという手軽さで、「#PreparaPraMim」のタグがついたインプレッション(インターネット広告が表示された回数)は、たった1日で2,200万を優に超えた。

また、15日間のキャンペーン期間中のクリック、フォロー、リツイート、リプライを合計したエンゲージメント総数は85,000件に上り、2,000人を超える新たなファンの獲得に成功した。

「PreparaPraMim」

2013年キャンペーン:タブレット付きショッピングカート

ヘルマンズ・ブラジルがReciTweetのように、レシピを提案するキャンペーンを行ったのは、今年が初めてではない。

2013年にはスーパーマーケットとコラボレーションし、ショッピングカートにタッチスクリーンのタブレットを装着。買い物客がヘルマンズのマヨネーズをカゴに入れると、店内におけるそのカゴの位置を自動認識し、野菜売り場に行けばサラダ、魚売り場に行けばオニオンフィッシュなど、マヨネーズを使ったレシピを動画で紹介した。

お気に入りのレシピが見つかればSNSでシェア! そのレシピに必要な材料も、タブレットに表示される店内マップのおかげで、どこにあるのかが一目瞭然だった。キャンペーン開始後1カ月で、約45,000人がこのカートを利用し、売り上げは70%近く伸びた。

「Hellmann’s The Recipe Cart」

2012年キャンペーン:レシピレシート

さらにさかのぼって2012年には、買い物客がヘルマンズのマヨネーズを購入すると、一緒に購入した食材を使ってできるマヨネーズレシピがレシートにプリントされるというキャンペーンを行った。

ソフトウエアがインストールされたレジ約100台で、3カ月にわたって続けられたキャンペーンの成功は数字でも明らかであり、初月の売り上げは44%アップを記録した。

「HELLMANN’S RECIPE RECEIPT」

まとめ

「マヨネーズはサンドイッチに使うもの」という固定観念を打ち砕くと同時に、「普段は作らないような料理にも挑戦してほしい」という思いからヘルマンズ・ブラジルが行った、3つのユニークで効果的なキャンペーン。全て成功に終わった、これら3つに共通して言えることは何だろう?

まずは、手順がシンプルだった。アプリをダウンロードしたり、URLをタイプしたり、面倒なことは一切なく、ゲーム感覚で楽しくできたという点は大きい。

そして、手順がシンプルなのに、使える(パーソナライズされた)コンテンツ! まさに“その時”欲しかった“使えるレシピ”情報に簡単にアクセスできたのだ。

加えて、内容がユニークで、何度も試してみたくなるようなキャンペーンであったことも成功の鍵となった。期間を限定することで、飽きられることなく、話題性も抜群のうちに惜しまれながら、キャンペーンは終わりを迎えた。

また、2014年のTwitterをうまく活用したキャンペーンでは、他のキャンペーンにはなかった“どこでもアクセスできる”という絶対的な利点があった。ちょっと暇ができたら、どこにいてもレシピを何度も入手できるようにしたことで、大成功を収めたのだ。

2015年、次はどんなキャンペーンが企画されているのだろうか? ブラジルのヘルマンズ・ファンだけではなく、新たなアイデアを模索する世界中のマーケターたちにとっても、楽しみである。

参考元:?Hellmann’s ReciTweet: #ReciTweet action beats all records on Hellmann’s Brazil Twitter page?Hellman’s Brazil Suggests Meal Ideas As You Browse The Aisles?Hellmann’s Prints Recipes On Grocery Receipts Based On The Food Purchased

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