確実にターゲットにリーチできる!ハーレーダビッドソン好きがおびき寄せられるワナ

デジタルマーケティング

「顧客が思わずとってしまう行動」というものに心当たりはないだろうか。

例えば、スーパーでフルーツを選ぶ際に匂いをかいでしまったり、本を買う際に一番上ではなく、そのひとつ下の本を取ってしまったりするような行動があげられる。こうした行動は誰に強制されるでもなく、顧客が自分から進んで行っている行動だ。

もし、こうした行動をうまく利用することができれば、面白いキャンペーンのアイデアになるのではないだろうか。今回は、そんな事例をご紹介したい。

ハーレーダビットソンのファンが思わずとってしまう行動とは?

ご紹介するのはアメリカンバイクのブランド、ハーレーダビットソンがチェコの街頭で繰り広げたキャンペーン事例だ。

ご存知の通り、同社のバイクにはコアなファンが多く、好きな人にはたまらない魅力がある。しかし、新車で買った場合、どのモデルを選んだとしても乗用車並みの金額になるため、欲しくてもなかなか手が出ない人も多い。「それでも欲しい」という人のために、リースという選択肢があることを訴求しようと行ったのが、以下の事例だ。

キャンペーンの内容は、ハーレーダビットソンのバイクを街中に駐車するというもの。

「え、それだけ?」と思う人もいるかもしれないが、まわりにはリース契約の説明をしている人もいなければ、チラシを配っている人もいない。ただ、街中にバイクを駐車するだけなのだ。

ここで、ハーレーダビットソンのファンが「思わずとってしまう行動」とは何かを考えてみたい。それは、どのような改造をしているかをチェックすることだろうか? それとも、モデルや排気量を確認することだろうか?

もちろん、そういった行動も当てはまるだろう。しかし、ここで注目したい行動は「思わず写真を撮ってしまう」ということだ。

街中で珍しい高級車を見かけた場合に、思わず写真を撮ってしまった経験がある人もいるのではないだろうか。ハーレーダビットソンの場合も同じで、バイクが街中に何気なく停まっていると、思わずカメラを向ける人は多い。なかには自分と一緒に、ツーショットの写真を撮る人までいるかもしれない。そして、友達に写真を見せながら「これ、オレのハーレーなんだぜ」と冗談をとばすのだ。

フォトボムで写真が台無しに!

しかし、そんなたくらみで写真を撮った人たちは、写真のなかに変な文字が映り込んでいることに気付くだろう。それは「HD Leasing, Quit pretending(ハーレーダビットソンはリースできます。持っているフリをするのはやめましょう)」というものだ。

実はこれ、同社がこのキャンペーンのために、13カ月かけて開発したフォトボム(写真を撮る際に、後ろや横から写真に写り込むいたずらのこと)なのだ。バイクの後ろには黒いスクリーンが貼られており、普段は何も見えないが、携帯電話のカメラを向けたときにだけ反応して文字が映り込むという仕掛けになっている。

このキャンペーンが素晴らしいのは、このフォトボムを起こさせる仕掛けもさることながら、「ハーレーダビットソンのファンは、バイクと一緒に写真を撮りたがる」という読みの鋭さにある。

バイクの写真だけを撮る人はそれほどのファンではないかもしれないが、自分とバイクを一緒にして写真を撮ろうという人は相当なファンであることが推測できる。そして、フォトボムによってバイクとのツーショットを台無しにされたファンには、「リースなら手が届くかな」という強烈なメッセージを残すことができるのだ。

Harley Davidson Photobomb

一方的に伝えても、高い効果は生まれない

「高くて買えないなら、リースという方法があります」といくら一方的にPRしても、ここまでの効果は生まれなかったのではないだろうか。顧客の行動を利用し、それに対するリアクションとして訴求するからこそ、強いメッセージを生むことができた好例といえる。

顧客が思わずとってしまう行動に心当たりのある人は、面白いキャンペーンのネタにならないか、ぜひ検討してみてはいかがだろうか。

参考元:?Harley Davidson: Invisible Photobomb?Harley-Davidson: Photobomb

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