YouTubeチャンネルの完成形はこれ!ファンを増やし続ける「Guitar Center TV」の事例

コンテンツマーケティング
世界最大の規模を誇る楽器の小売りチェーンGuitar Centerは、動画を使ったコンテンツマーケティングに長けている。YouTubeチャンネル「Guitar Center TV」を通じて、音楽ファンを魅了するコンテンツを配信しているのだ。
「Guitar Center TV」は、2014年度のContent Marketing Awardsで、Project of the Yearを受賞している。これはContent Marketing Instituteが毎年開催している、優れたコンテンツを提供している企業に贈られる賞だ。
また、コンテンツマーケティングにYouTubeを効果的に用いた企業に贈られるBest Use of YouTube for Content Marketing部門では、銀賞を受賞。さらに、登録者数を伸ばした企業を対象としたHighest Subscriber Growth部門では、金賞を受賞した。
本記事では「Guitar Center TV」がどのような動画を配信し、どれだけ注目を集めているかをご紹介すると同時に、その人気の秘密に迫る。
ファンの心をつかむ動画の数々
「Guitar Center TV」で公開されている動画は、バラエティに富んでいる。そのなかでも特に目を引くのが「Guitar Center Sessions」だ。これは、もともと米国の衛星テレビ放送大手ディレクTVで放送された番組を再編集したものである。
中身は、ジャムセッションとミュージシャンへのインタビュー。セッションはGuitar Centerの店舗内の一室で、実際に行われているそうだ。出演者リストにはピーター・ガブリエル、スヌープ・ドッグ、コールド・ウォー・キッズ、グー・グー・ドールズなどなどが名を連ねている。
こちらはグー・グー・ドールズのセッションを収めた、動画の一例だ。壁を埋め尽くしているビンテージギター、レアギターにも注目していただきたい。
Goo Goo Dolls "Rebel Beat" Guitar Center Sessions on DIRECTV
その他に提供されているのは、ドラムコンテスト、シンガーソングライターのコンテストや、ミュージシャン別にまとめられた動画シリーズなどだ。
また、公式サイトでも「Guitar Center Sessions」の動画は公開されている。他にもオーディオポッドキャストやインタビュー記事などが揃っているので、YouTubeからやってくるユーザーが違和感を感じることはないだろう。
再生回数がハンパない!
「Guitar Center TV」の総再生回数は、なんと1億回を超えている(2014年10月時点)。
ディスカウント百貨店チェーンである、TargetのYouTubeチャンネルは、総再生回数が約1400万回だ。Guitar Centerと同じく、ニッチ市場の小売りチェーンB&H Photoは約2800万回。競合となるミュージックストアのSam Ashの場合は、約300万回だ。
比べてみると、すごさが分かるのではないだろうか。ちなみに「Guitar Center TV」は、毎週平均2600人の登録者を獲得していて、今では合計が25万人を超えている。
成功の秘密
Guitar Centerが創業から約50年の間続けてきたのは、人々に楽器を売ること。しかし、それ以上のものを提供しているのは明らかであり、成功の秘密もそこにあるのだろう。
「All We Sell Is The Greatest Feeling On Earth.(私たちが売っているのは、地球上で最高に素晴らしいフィーリングだ)」……これが、Guitar Centerのキャッチコピーだ。素晴らしい音楽を奏でる楽器や優れた数々のコンテンツも、全てここにピッタリ当てはまるのではないだろうか。
Guitar Centerのミュージック・マーケティングディレクター、Dustin Hinz氏はこう語っている。「私たちは、Amazonや他のオンライン小売業にはできない、「体験」に焦点を当てているのです」と。つまり彼らは、実際に店内を見て回り、素晴らしい楽器を手に取って弾いているように感じられる体験を、コンテンツを通じて提供しているのである。
壁に貴重な楽器が並んだ空間で、素晴らしい演奏を聞かせてくれるミュージシャンたち……。音楽ファンにとっては、たまらなくぜいたくなコンテンツだろう。「Guitar Center TV」で公開されている画期的な動画は、音楽を通してターゲットオーディエンスに熱く語りかけているのだ。
Guitar CenterがYouTubeチャンネルを見込み客の獲得、売り上げの増加、ブランドの認知向上につなげた手法は、学べることが多い。
まずは、自分のお客さんの情熱がどこにあるのか? どんなものを求めているのか? を探るところから始めてみてはいかがだろうか?
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