グローバルマーケティングにおいて絶対に避けたい3つのミス

デジタルマーケティング
「グローバルマーケティング」と聞いて、なにを思い浮かべるだろうか? とりあえずWebサイトとFacebookページの英語版を公開すること?
確かに、英語コンテンツの提供は大事な第一歩になるだろう。しかし、グローバルマーケティングとはそれほど浅いものではない。
本記事では、グローバルマーケティングを実施するうえで避けたいミスをご紹介しながら、その奥深さを覗いてみたいと思う。
ミスその1:ターゲット国の市場に合わせていない
1つの国で成功したマーケティングキャンペーンが、他の国でもうまくいくとは限らない。実際、成功する確率は10%ととても低いのだ。(出典元:『Seven avoidable mistakes in global marketing』 Christian Arno 著)特にユーモアやジョークは国によって異なるので、使い回しのものを受け入れてもらうのはかなり難しいだろう。
つまり、Webサイト・ソーシャルメディア・キャンペーンのいずれも、ターゲット国の市場に合わせる必要があるということだ。これをうまくやっている企業の1つがマクドナルド。日本の月見バーガー、イタリアのパスタメニュー、インドのベジタリアンメニューなど、国に合わせて展開している。
海外でのキャンペーンの際は、その国の言語でコンテンツを作成するだけでなく、プラットフォームも慎重に選びたい。例えば中国で動画キャンペーンを行う場合、アクセスが規制されているYouTubeは利用できない。Youku、Tudouや56.comといった現地で人気の動画共有サイトを使うことになるだろう。
また、ターゲット国の国別ドメインを取得するのも効果的だ。フランスなら「.fr」、オーストラリアなら「.au」のドメインを使用することで、訪問者は親しみを感じ、信頼を得やすい。さらに、その国の検索エンジンに対しても有利だ。
ミスその2:ターゲット国の文化や流行のリサーチ不足
前述の「市場に合わせる」ことにも通じるが、国や地域ごとの違いを把握することは必須である。つまり、ターゲット国の文化や流行についての深いリサーチが必要ということだ。
例えばWebサイトのデザインも、世界中の人が同じ印象を受けるとは限らない。カラフルで華やかなデザインは、アジアでは注目を集めるかもしれないが、欧米では変更になることが多い。
買い物のパターンが国によって異なることも、頭に入れておきたい。ドイツ人はオンラインで家電を購入するが、ロシア人、中国人、日本人は店舗で買うことを好む。
全てのユーザーがクレジットカードを好むわけではないので、その他の支払いの選択肢も重要だ。カナダはデビットカードを利用する人が多いが、小切手やPayPalを好む国も存在する。日本でも着払い、コンビニ払い、振り込みを選ぶ人がたくさんいることを考えると納得できるのではないだろうか。
コピーや文章のトーンにも気をつけよう。フレンドリーな方が効果的な国もあれば、日本のように丁寧な方が良しとされている国もあるからだ。
文化や宗教のタブーにも気をつけたいが、そういった問題も十分にリサーチをすることで避けられるはずだ。ベストなのは、地元に拠点を置くソーシャルメディアマネージャーを雇うことだろう。
ミスその3:翻訳の質が低い
商品名・コピー・コンテンツのいずれも、翻訳の質が低いことで見込み客を失ってしまうケースは多々ある。また、そのまま訳した言葉が、国によってはタブーワードとなる場合もあるということを覚えておきたい。
例えば、「mist」という単語が入った商品にはアイリッシュミスト(酒)、ミストスティック(カールアイロン)、ロールスロイスのシルバーミストモデルなどがある。しかし、ドイツで「mist」と言えば肥料や肥やしを意味するのだ。
また、マイクロソフトの「Windows Vista」で顔をしかめる国もある。「Vista」は英語圏では「展望」という意味だが、ラトビアでは「鶏」、「やぼったい女性」になるのだ。
商品名などが、意図したイメージと全く異なる印象を与えるのであれば、それは誤訳と同じである。そして、誤訳に気づいたときには、すでに多額のコストがかかってしまっているだろう。そういった状況を避けるためにも、特定の分野に詳しいネイティブの翻訳家に依頼するのが最良の選択だ。
また、十分なリサーチをせずに、全く同じキーワードを使って失敗する例も多い。同じ意味の言葉でも、国によってはその略語、頭辞語、口語表現、または全く別のワードが使われている場合があるからだ。例えば、英語でメールマガジンは「eZine」だが、「メルマガ」と言うのは日本だけではないだろうか?
この場合もネイティブに再確認するか、ネイティブの翻訳家をチームに入れて相談しながら進めていくのがいいだろう。
最後に
冒頭でも触れたが、日本語以外に英語のページを用意することは大切だ。英語は現時点において、インターネット上で一番使われている言語だからだ。しかし、その英語ですら、全体に占める割合は4分の1でしかないこともまた、頭に入れておきたい。
ユーロバロメーター(EUの世論調査)の調査によれば、ユーザーの約50%が外国語のサイトを訪問している。そのうち、頻繁に購入すると答えたのは18%、母国語以外のサイトでは買わないと答えたのは42%だったそうだ。
母国語サイトの方が信頼できる、安心して購入できるというユーザーが多いということだ。それを考えると、英語以外の言語も検討すべきなのではないだろうか。
また、英語コンテンツの提供も、ただ日本語から訳せばいいというものではない。丁寧なビジネス口調の日本語をそのまま英語に訳しただけで、英語圏のユーザーにアピールできるだろうか? フレンドリーなトーンやユーモアを加えた方が、効果があるのではないか? というレベルまで考えてみよう。
今後は本記事を参考にしてリサーチを徹底的に行い、日本の素晴らしい商品やサービスを、ぜひ世界に広めていただきたいと思う。
参考元:?Global Marketing: 5 Common Mistakes to Avoid?Avoid These 6 Common Mistakes in Global Marketing?Seven avoidable mistakes in global marketing
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