中小企業やベンチャーが陥る「ハムスター状態」とは?脱出するには?

経営・ビジネスハック

夢にあふれる独立・開業前夜。しかし、いざ事業をスタートさせてみると、実務はもちろんのこと、営業から経理まですべて自分でやらなければなりません。そのため、十分なマーケティング活動ができず、目の前の仕事に追われてしまう。1つの場所にとどまったまま回し車を延々と走る「ハムスター状態」です。この状態から抜け出すには、どうすればいいのでしょうか。

独立前の夢と独立後の現実

独立する前は、誰しも希望に満ちています。自分が今まで嫌だと感じていた問題がすべて解決すると思っているのです。嫌な上司につき合わなくなくてすむ、嫌なお客さんと仕事をしなくていい、好きな仕事を自由にやって、好きな時間に働けて、平日でも休みがとれる、と。

しかし現実はそうではなりません。むしろ真逆で、会社員時代よりも忙しくなります。なぜなら、会社に所属していたときは分業していたことも、すべて自分でやらなければならないため。なぜかわからないけど常に忙しい、という状態になりがちです。

営業活動とサービス提供の同時並行が忙しさのもと

営業活動をしつつ、お客さんへのサービスも提供するので当然です。しかも、顧客を獲得しながらサービスを提供するという作業は、延々と続きます。

ハムスターが回し車をまわしているようなもので、ひたすら走りはするけれど、ちっとも前に進みません。事業は永遠に成長しません。さらに悪いことには、走るのをやめてしまったら会社が潰れてしまう。生活ができなくなってしまう。サラリーマンに戻るしかなくなってしまう。

「ハムスター状態」の典型的な症状

ハムスター状態に陥りがちなのは、独立したてのフリーランスや、あるいは大学を出てそのまま起業した人です。そのような場合、紹介で案件をとるのが基本となります。つまり、もともと営業があまり好きではないので、友人や知人からの紹介がメインになります。そうすると、主に以下のような状況に陥ります。

紹介メインなので苦手な分野の仕事も受けざるをえない

決まった内容の案件がくるというよりは、「◯◯さんならコレできますよね?」などと、バクっとした仕事が多くなります。

そのような状態だと、本来、自分の仕事でないけど、とりあえずとってしまう。苦手な仕事をとることにもなりますし、値段的に厳しいけれど遊んでいるよりはいいかと請け負ってしまう。結果、下請けのジレンマに突入してしまいます。

新規顧客開拓やリードのメンテナンスをできていない

また、過去に取引してくれたお客さんや、名刺交換をしたお客さんにアプローチすればいいのに、忙しさにかまけてなかなかできません。新しい案件をとるチャンスを逃し、結局、紹介案件ばかりをグルグル回すことになってしまいます。

案件をとってくるのが社長だけ

案件をとってくるのは社長しかいない、というケースは結構ありますよね。社長が案件をとってきて、社内に投げる。でも、社内だけだと回しきれないので、結局、社長がやらなければならない。すると、社長の時間でしか会社が成長できない。

そのような現象は、頻繁に見受けられます。

参入しやすい業種はとくに危険

システム開発などは、スマートフォンのアプリとか、WEBサービスの開発、IoTなど、需要が増えているので、紹介でも稼げるかもしれません。しかし、そうではないフリーランスは、今後、厳しいかもしれません。

とくに、参入しやすいジャンルは危険です。WEBデザインとか、あるいは士業でも比較的資格がとりやすいところなど。WEBマーケティング全般も危険ですね。広告がちょっとわかっていたり、WEBサイトのディレクションができたりするとすぐ独立できるので。自称「WEBコンサルタント」みたいな人は多いですよね。

また、日々の仕事に追われているという意味では、フリーランスだけでなく、中小企業や、設立したばかりのベンチャー企業も、状況は似ています。

「ハムスター状態」を脱し、独立の本来の目的を達成するために

ハムスター状態がなぜ問題なのか。それは、そもそも自分たちで会社をやろうと思ったときの夢、自分のペースで仕事をしたいとか、好きな仕事をやりたいとか、良いお客さんと取引をしたいという、そもそもの動機を満たせないからです。

営業部隊を整えて新規顧客開拓

本来の目的を達成するには、新規の案件をとりつつ、既存のお客さんからもつねに追加の発注が入ってくる状態をつくらなければなりません。

営業部隊を整えようとする人もいるかもしれません。しかし、営業で解決できるのは、アウトバウンドが効く場合だけです。テレアポの効果があるとか、企業を訪問して契約できるとか、そういった場合には営業で伸ばしていくのは可能です。

ところが、そうではない場合も多いのです。たとえば、デザイナーとして独立した場合には、そもそも営業が効くかどうかも定かではありません。加えて、自分自身はまったく営業ができないということも少なくない。

営業活動が苦手でも、Webでの発信は必須

ただ、営業が嫌いな人でも、お客さんを獲得する方法はあります。それは「コンテンツを発信すること」です。

アメリカでは、中小企業や個人事業主の人も、自分でちゃんと情報を発信しています。たとえば、ブログを書くなどですね。そうすることで、自社のブランディングが可能になり、新規顧客の獲得につながります。

「お金がない」「忙しい」「営業が嫌い」。だからこそ、情報を発信するべきです。発信すれば、見つけてもらいやすい環境を構築できます。外部環境として、ソーシャルネットワークの普及や、検索エンジンが整備されているということも、プラスにはたらきます。

自分から発信することで、今まで陥っていたジレンマや、ハムスター状態から脱出できる可能性があります。

かつては僕も、そのようなハムスター状態に陥っていました。そこから抜け出せたのも、すべては情報発信がきっかけだったのです。

ブランディングで単価を高める

これまでの、知り合いから仕事をとっていたという状況から脱するために必要なのは、「ブランディング」です。

もし、自分の強みが明確になっていないと、「なんでもできます」「なんでもやります」「いくらでもやります」と言うしかありません。しかし、ブランディングできていれば、仕事を選ぶことも、単価をあげることも可能です。

たとえば、誰もが知っている大企業と取引しているデザイナー。そういうブランディングができていれば、「きっとこの人はすごく良いサービスを提供しているんだろうけど、きっと高いんだろうな。でも、質もいいはずだからお願いしよう」となるのです。

今の1.5倍~2倍の値段で仕事を受注するにはどうすればいいのか。どうやって自分の価値を高めればいいのか。そういったことを、ブランディングなどを前提にして考えていくべきだと思います。

10個の仕事が来たら、7個は断る

また、自分から情報を発信すれば、仕事が向こうからやってきて、選べる状態になります。

もし、毎月10個の依頼がきて、10個受けているようであれば、本来であればとってはいけない仕事も混ざっているはずです。そこで、10個依頼がきたら、2つか3つしか受けない。残り7割は断ります。そういう状態になれば、「あの先生に頼むには、3カ月は待たないといけないね」となります。

目指すべきは、そういう世界です。もちろん、提供するサービスのレベルも高くないといけません。ただ、ゴールのイメージとしては、仕事の7割を断れる状態を創りだすこと。それが大事です。

ハムスター状態からぬけ出すには、「自分なんてこんなものだ」とあきらめて、紹介の仕事を受けつづけるのを今すぐにやめなければなりません。

情報を発信すれば仕事が選べるようになる

独立前に描いた働き方を実現するには、マーケティング、ブランディングが欠かせません。まずは、コンテンツのハブを持ち、集客やブランディングにつながる発信をはじめてください。 自ら積極的にコンテンツを配信していくコンテンツマーケティングの発想こそ、中小企業やベンチャー、フリーランサーには必要です。

Photo by sualk61