ソーシャルメディア飽和時代のマーケティング戦略

コンテンツマーケティング

Facebook、Twitter、YoutubeにInstagramと、増え続けるソーシャルメディア。

しかし、そうしたメディアを使ったカスタマーとのコミュニケーション設計に必要なのは、個々のメディアやツールの活用戦略だけではなく、コミュニケーションのベースとなるブランドの再定義かもしれない。

ケーキミックスなどのパッケージ食品のBetty Crocker、朝食シリアルのCheeriossなど、あわせて37ものブランドをもつ米食品大手General Mills。

自社のソーシャルメディア戦略の第一歩として、ソーシャルメディア上でのカスタマーとのコミュニケーションを念頭において各ブランドの再定義を行い、多くのファン獲得に成功している。

今回の記事では、数あるGeneral MillsのブランドからBetty Crockerの事例を元に、ブランドとソーシャルメディアの関係と、その活用方法を紹介する。

General Millsのソーシャルメディア戦略

General Millsは比較的早い時期からソーシャルメディア戦略に力を入れてきた。ソーシャルメディア&マーケティングを担当するAaron Millerによると、General Millsのソーシャルメディア戦略には、ふたつの大きなステップがあったという。

ひとつは、ソーシャルメディアを念頭においたブランドの基礎づくり、もうひとつはソーシャルとデジタルに関するスキルセットをもったスタッフ採用の強化だ。

Aaronは、ブランドがソーシャルメディアを使って成功するためには、まずは目指す世界や存在価値を明確に設定することが大事だと語る。なぜなら、その世界観がカスタマーとのコミュニケーションのベースになるからだ。

たとえば、Betty Crockerは「Help Make Home(家庭をつくるお手伝い)」というブランドコンセプトをもつが、このコンセプトは商品だけでなく、カスタマーに役立つコンテンツの提供でも、実現されるべきだとする。

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出典:Betty Crockerr

Betty Crockerのサイトを訪れると、そのコンセプトが明確に伝わってくる。Webサイトは商品紹介のためのサイトというよりも、レシピサイトといった雰囲気だ。美味しそうな料理の写真とともに、季節やイベントに合わせたレシピや、ちょっとした料理のコツが記事や動画で紹介されている。

さらにそれだけではない。季節のイベントや誕生日などのパーティアイディアが、魅力的なビジュアルとともにテーマ別に紹介されており、何かイベントがあるごとにのぞきたくなりそうだ。

Betty Crockerはこうした充実のコンテンツをソーシャルメディア上でもうまく活用している。

Facebook:季節に合わせたコンテンツをタイムラインにお届け

現在、Betty CrockerのFacebookページは250万人のファンがいる。Web上で公開されたレシピがFeedされ、人気のレシピや写真には2万件以上の「いいね」とシェアを得ている。

特に、季節をイメージしたデコレーションのケーキや、ハロウィーンなどのシーズンもののシェアは飛びぬけて多い。Betty Crockerのコンテンツが、シーズンやイベントに合わせたクッキングのアイディアとして、多くのカスタマーの心をつかんでいることがうかがえる。

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出典:Facebook, Betty Crocker

Pinterest:「テーマ×写真」でさがせるクッキングアイディア集

バースデーケーキから毎日のお弁当、カクテルのアイディアにいたるまで、Betty CrockerのPinterestページには、思わず真似してみたくなるような料理の写真がずらりとテーマ別に並んでいる。

元々はWebサイト上に掲載されたコンテンツも、Pinterest上では、心くすぐるビジュアルインデックスになり、「おうちをちょっと楽しくしたい」というカスタマーの気持ちをうまく盛り上げるつくりになっている。

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出典:Pinterest,Betty Crocker

YouTube:ちょっとした料理のコツを短いムービーで紹介

Betty CrockerのYouTubeページは、さながら3分クッキング、あるいは生活情報番組のようだ。長くても5分以内におさめられた動画で、料理の作り方はもちろん、「ケーキ型へのアルミホイルのしきかた」や、「マンゴーの切り方」など、ちょっとした料理のヒントが色々と紹介されている。

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出典:BettyCrockerTV

驚くのは、WebサイトでもFacebook等のソーシャルメディア上でも、カスタマーの生活シーンをサポートするコンテンツがメインを占め、直接Betty Crockerの商品を紹介するコンテンツが目立たないことだ。Betty Crockerの各メディアを見れば、コンテンツを通じたコミュニケーションが、”Help Make Home”という大きなコンセプトに基づいてつくられていることがよく伝わってくる。

Aaronはこうも語る。「私達が目指しているのは、カスタマーが自分のタイムラインで見たい、自分のコミュニティに広めたいと思うようなコンテンツを提供することです。」

ソーシャルメディア専門人材の雇用

37のブランドに対して、それぞれのブランドに適したソーシャルメディア戦略を設計するために、General Millsはソーシャルやデジタルに関するスキルセットをもった専門人材の雇用を、次の重要な戦略にすえる。

過去16ヶ月にPR代理店やその他の会社から15人の新しいソーシャルメディア戦略専門スタッフを雇った。

また、Facebook、Twitter、YouTube、Google+、LinkedIn上でのコンテンツ掲載、カスタマーコミュニケーションを行うSpredfastというシステムも導入し、増え続けるソーシャルメディアへの対応をさらに磐石なものにしている。

まとめ

多様な特性をもつソーシャルメディアは、カスタマーとのコミュニケーションに広がりを与えてくれる。それぞれの特性を知り、ブランドにあわせてうまく使うことは大事だ。

しかしそれ以上に、ソーシャルメディアでのカスタマーとのコミュニケーションを成功させるために必要なのは、ブランドの提供価値の再確認だ、というGeneral Millsの考え方は、どのようなブランド・サービスにも示唆するものが多いのではないだろうか。

参考元:General Mills Ramps Up Social for 37 Brands Implements Spredfast for cross-platform management Photo: Some rights reserved by Roadsidepictures, flickr

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