ようこそ、FMCGならぬFMCCの世界へ

コンテンツマーケティング

私たちの生活に欠かせない日用品など、消費者需要に合わせて比較的短期間で売られている一般消費材のことをFMCG (Fast Moving Consumer Goods) と呼ぶ。FMCG製品は低価格のため商品単位の利益は低いのだが、大量に売られるため、累積利益は大きい。

先日、Content Marketing Agency, Content Ampの共同創始者である Dale Lovell氏による、コンテンツマーケティングのコンテンツをFMCGに例えた記事が目に留まったので、今回はその概要とイギリスからの事例を「素早さ」をキーワードに紹介したい。

私たちはコンテンツが短期間に量産される世界に住んでいる

“私たちは現在、FMCGならぬFMCC (Fast Moving Consumer Content) の世界に住んでいる。継続的なマーケティング活動に対応するべく、飽くなき消費者たちによる素早いオンライン消費と共有のためにコンテンツは量産されている。

私 たちは、新しくてユニークなコンテンツを通じて生まれるソーシャルメディア上などでの素早いインタラクションが好きだし、Google はコンテンツ制作者(オーサー)たちに対して「消費者が探しているものを、より深い内容で、より早く、多く作って欲しい」と考えているだろう。そんなわけ で、今後もFMCCは追求されていくと考えられる。” (意訳)

確かに、フォーマットに関わらずコンテンツ制作・共有・消費のスピードは上 がっている。消費者の求めているもの(情報の信頼性、面白さ、有益性など)がそこにあれば、あとは「素早さ」が重要だ。さらには消費者の反応を見てすぐに 次のコンテンツを発信する「次の一手の素早さ」というのも、コンテンツマーケティングの効果を最大化させるための重要な要素と言えよう。

効果を出した2つの動画コンテンツ事例

動画コンテンツにおいても、次の一手の素早さが相乗効果を生んでいる。そんな事例を2つご紹介しよう。

まずひとつ目は、このコンテンツで世界的に有名になったネットワーク通信会社Threeの 動画コンテンツだ。 ”Silly Things, It matters.”というコピーで締めくくられる愛嬌のあるこの動画は、#DancePonyDance というハッシュタグとともに、瞬く間に世界中で話題となり、現在 YouTubeでのオリジナルビデオの再生回数はなんと720万viewを超えている。

http://www.youtube.com/watch?v=Ekr05T9Iaio

実 は、彼らはこのビデオの反響が大きいと知ったすぐ後に、素早く何本かのシリーズビデオをリリースした。それらは軒並み数十万viewsを獲得したのだが、 結果的にそれらのビデオが視聴者をオリジナル動画へと誘導し、共有され、更なるブランド認知度向上につながったという事例である。

http://www.youtube.com/watch?v=E4uKaZse2tc

続いてはフィアット。こちらはもともと認知度の高いイタリアの自動車メーカーだが、イギリスで子育て世代をターゲットとしたミニバン 500LのTVコマーシャルがインターネット上で話題となり、大ヒットを生むことになった事例だ。

タ イトルは ”Motherhood” という。 リアルな母親の心境を、一見普通の母親が見事なラップで綴り、ターゲットの心をつかんだ。フィアットUKはすぐに次作 ”Fatherhood” をリリース。父親の悲哀とニュー・ウェーブ・ミュージックというターゲット世代の心に突き刺さる組み合わせで、”Motherhood” に共感した夫婦はこちらも楽しんだであろう。

こ れらの動画がリリースされたのは昨年末からこの春にかけて。この夏、フィアットの欧州全体の売上こそ減少しているものの、500Lは特にイギリスとスペイ ンで好調のようだ。もちろん、このコンテンツがすべての要因だとは考えていないが、売上に何らかの好影響は与えているであろう。

ようこそFMCCの世界へ

今や、私たちが毎日のように触れ、生活に欠かせなくなっているコンテンツ。短期的な消費者需要に合わせて、品質を保ちながら素早く、ある程度の量を素早く制作することは今後ますます求められていくのであろう。

ようこそ、Fast Moving Consumer Content の世界へ。

参考元:Content marketing: welcome to the world of Fast-Moving Consumer Content (FMCC) Photo: Some rights resrved by KEEP AMP, flickr

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