動画マーケティング:ファッション雑誌のYouTube事例を分析

コンテンツマーケティング

雑誌の売り上げは年々落ちており、廃刊に追い込まれるものも少なくないのは、皆さんもご存知のとおりだ。そして、それは日本に限ったことではない。

海外の雑誌社は奮闘する中、デジタル版の雑誌を登場させている。しかし、今日のデジタル環境を考えると、それだけでは十分でないらしい。今、多くの著名な雑誌はYouTube版の公開に乗り出している。

成功する個人をたくさん生み出してきたYouTubeは、すでに主流メディアのひとつになりつつある。そのことに気づいた昔ながらのメディアは、続々とYouTubeマーケティングに乗り出し、動画視聴者へのリーチを試みているのだ。

『Seventeen』『Vogue』『Vanity Fair』『Glamour』『GQ』といった雑誌も、YouTubeチャンネルで数々のコンテンツを提供している。本記事ではファッション誌にスポットを当て、そのマーケティング内容を詳しく見ていきたいと思う。

バラエティに富んだコンテンツ

もともとはファッション雑誌なので、ファッションに関連した動画が多数ある。例えば、特定のアイテムの着こなし方や、ウェディングに特化した内容などだ。モデルの後ろ姿や様々なポーズが見られ、より着こなしの参考にすることができるのが動画のメリットと言えるだろう。

しかし、雑誌とは異なった動画ならではのユニークなコンテンツも提供している。複数の雑誌において公開しているのが、撮影の裏側を収めた映像だ。特に、セレブが登場した表紙の撮影現場は、ファンなら喜んでのぞいてみたくなるだろう。

視聴者の役に立つような、ハウツーやDIY系の動画も豊富にそろっている。スキンケア、メイク、ヘアアレンジから、恋愛アドバイス、料理やカクテルのレシピなど、とにかくバラエティに富んだラインナップだ。

例として、「Teen Vogue」のYouTubeチャンネルで公開されている動画を、1本だけご紹介する。

Drop the Flatiron and Learn How to Style Your Natural Curls−Teen Vogue

タイトルは、「ストレートアイロンを捨てて、天然パーマのスタイリング方法を学ぼう」。くせ毛に悩む10代の少女なら、迷わずクリックしてしまいそうなトピックだ。

ガイド系は文章と写真やイラストを使うよりも、動画の方が分かりやすいものが多い。これも、YouTubeを使う利点のひとつだ。

再生回数とチャンネル登録者数は?

次に、各雑誌のチャンネルに対するファンの反応を見てみよう。以下は現在(2014年11月時点)の総再生回数と、チャンネル登録者数をまとめたものだ。

・Seventeen
総再生回数=約1億2400万
チャンネル登録者数=約43万

・Vogue
総再生回数=2400万以上
チャンネル登録者数=14万以上

・Teen Vogue
総再生回数=3100万以上
チャンネル登録者数=18万以上

・Glamour
総再生回数=約4000万
チャンネル登録者数=18万以上

・Vanity Fair
総再生回数=約2500万
チャンネル登録者数=3万以上

・GQ
総再生回数=約4000万
チャンネル登録者数=約13万5000

今のところ、『Seventeen』がトップを走っているが、他の雑誌もそれなりの結果が出ているのが分かるだろう。また、各動画に対するコメント、高評価ボタンが押された回数も伸びているので、読者から支持を得ていることは間違いない。

『Seventeen』の巧みな戦略

他の雑誌と差をつけている『Seventeen』には、何か秘策があるのだろうか? ヒントは、9月に発売された10月号の表紙を飾った、べサニー・モータさんにある。

ベサニーさんは、アメリカの10代の間で絶大な人気を誇る、YouTuber(ユーチューバー)。自身で購入したファッションアイテムの紹介、メイクやヘアアレンジ、レシピのガイドなどをYouTubeで公開している。チャンネル登録者数(約760万人)が、レディ・ガガ(約530万人)を上回っていることから、彼女の人気の高さが分かるだろう。

『Seventeen』は、人気YouTuberであるベサニーさんを表紙に起用し、「YouTube版Seventeen」の創刊号で彼女を取り上げた。以下の動画はその一部で、表紙撮影の映像を挟みながら、ベサニーさんがインタビューに答えている。

BETHANY MOTA Fashion & Beauty Inspiration at her Cover Shoot!!

『Seventeen』は、今後も人気YouTuberたちを取り上げていく予定だ。読者がどこにいるか、どのメディアを利用しているか、誰をフォローしているかなどを研究しつくしたからこそできる戦略と言えるだろう。

最後に

今回取り上げたYouTube動画の事例において一番のポイントと言えるのは、読者(お客さん)をよく理解していることだ。どの雑誌も、読者にとってYouTubeが身近な存在であることを理解し、彼らが必要とする情報や心惹かれるコンテンツを提供している。

やはり、コンテンツマーケティングの第一歩は、お客さんのニーズを深く理解すること。これは繰り返し言われているのでしつこいと感じるかもしれないが、それだけ重要で、欠かせないポイントだ。この機会にぜひもう一度、肝に銘じていただきたい。

 

記事執筆:(株)イノーバ。イノーバでは、コンテンツマーケティングのノウハウを詰め込んだ無料のebookや事例集をご提供しています。ダウンロードはこちらからどうぞ→https://innova-jp.com/library/