ファッションECの返品率を下げる4つの方法

EC(Eコマース)
ファッションECの返品率、どの程度だと思うだろう?
バーチャル試着サービスを提供するFits.meの調査によれば、ECで購入されたファッション用品の実に25%は返品されているという。
輸送費や梱包費を考えると、EC側にとって手痛い問題であることは間違いないだろう。
本日は、海外事例を参考にファッションECの返品率を下げるための4つ方法をご紹介したい。
1. 商品説明の充実化
ドイツ、レーゲンスブルグ大学に属する研究チームibi researchがオンラインショップ経営者に行ったアンケートによると、返品の主な原因は「商品が合わない」(86%)と「商品が気に入らない」(68%)であるそうだ。
店頭での購入と違い、着心地や素材感を確認できないため、消費者の想像と実物とのギャップが生じてしまうからだろう。
返品されないためには、そのギャップをなるべく埋められるように、商品説明をきちんと行う必要がある。そんな当たり前のことを…と思う方もいらっしゃるかと思うが、この点が返品の要因となっているケースも多い。
では、どのようなことを心掛ければいいのだろう?
ファッションECでの商品説明の鍵は、シルエットや着心地など、写真だけでは分かりづらい情報を充実させることである。
例えば、「厚いデニム素材のスカート。シルエットが体のラインをきれいに見せます。」と書けば、このスカートは秋冬用、比較的細い体型の人に向いていることが容易に推測できる。肩幅や身丈の長さを明記するのも有効だろう。
また、商品の細かい特徴(ポケット、ロゴなど)が見える画像を載せる。モデルを用いた画像にはモデルの身長と着用サイズも記載すべきだろう。
出典:MAGASEEK
地味な施策であるが、この点が原因となっている場合も多いので、ぜひ見直してみて頂きたい。
2. 返品率を公開する
アメリカの靴専門オンラインショップShoelineは、返品率の程度をシンプルなバロメーターで表示するReturn-O-Meterを導入している。
例えば、矢印が緑の間を指し、”Low-Return-Rate”と表示されていれば、返品率は低いということになる。
更に、Return-O-Meterの横には購入者からのコメントが公開されている。レビューを書く際は、靴のサイズ・幅についてコメントしなければならない仕組みとなっている。例えば、Catherineさんは「サイズ:半サイズ分小さい・幅:ピッタリである。」とコメントしている。
このシステムにより、ユーザーは返品率の程度・理由を理解した上で、慎重に商品を選ぶことができるのだ。
また、Shoeline側にもメリットがある。返品率の程度・理由をデータとして収集し、商品開発・デザインに活かすことができるのだ。どの型の商品が返品率が高いのか、その原因は何なのか、これらの情報は商品ラインナップを考える上で、非常に有効なデータとなり得る。
実際に、このシステムは驚異的なビジネスメリットを発揮した。Shoelineは、たった1年で返品率11%減らし、商品ページのクリック率を18%向上させることに成功したのだ。
返品率を公開することには抵抗があるかもしれないが、そのオープンさが結果的にユーザー側にもEC側にもメリットを与えてくれることもあるだろう。
3. バーチャル試着室プログラム
オンラインショップの最大の弱点とは、試着ができないことである。しかし、今ではアバターを利用してバーチャルで試着体験をすることが可能になっている。
エストニア発祥のFits.meは、アディダスやHugo Bossも使用しているバーチャル試着室プログラムだ。
このプログラムでは、ユーザーが登録したバスト・ウェスト・ヒップなどのデータを元に、自分のアバターがオンライン上で商品を試着してくれる。
“ Too tight”(きつすぎる)などのコメントも付くおかげで、自分に合ったサイズを簡単に選ぶことができる。
今後このプログラムが導入されていけば、「試着ができない」というファッションECの最大の問題を克服することができるだろう。
4. 「アメとムチ」の顧客対応
返品をする客層には2タイプがいる。
1つは、わざと多めに注文し、購入する商品を選ぶチョイスオーダー(choice order)タイプ。もう1つは、商品が期待にそぐわなかったため、仕方がなく返品するタイプだ。
ECサイト経営者は、返品する顧客がどのタイプに属するか見極められないといけない。チョイスオーダーを繰りかえす顧客は経営に不利益をもたらすので、場合によってはルールを作る必要がある。
例えば、同じモデルの服を2サイズオーダーしてきた場合、1サイズしか送らない。そして、もしそのサイズが合わなければ別のサイズを無料送達する。
この方法ならば計画的な返品を減らすことができるだろう。逆に、返品することがほとんどない顧客にはクーポン券を贈り、相手を喜ばせよう。クーポン券は次の購入を促してくれる。
ECサイトではお客様は神様、という考え方を全てのお客様に対して持つと危険である。時として、ささやかな「アメとムチ」の関係を作ることが大事とされる。
まとめ
ECサイトの返品率を0パーセントにすることは不可能だろうが、対処の仕方はある。その際、「誰」が「何で」返品しているのかを分析することが、まず重要だろう。本日紹介した事例がヒントになれば幸いである。
参考元:
・Return-O-Meter reduces returns and boosts click-throughs for Shoeline.com
・How Many Online Clothing Purchases Do You Return?
・Garment returns and apparel ecommerce: avoidable causes, the impact on business and the simple solution
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