「失敗」は「成功」の絶対条件 アメリカの最新研究が教える失敗のすすめ

経営・ビジネスハック

ハーバード・ビジネス・レビューのブログから面白い記事を紹介しよう。投稿者は、多くの企業でCEOや営業推進チームの戦略顧問を務めるピーター・ブレッグマン氏だ。

「ピーター、この後少し残ってくれますか?居残り特訓をしましょう」

カルビンが言った。カルビンは私が通うジムのトレーナーで、私は彼のワークアウト・クラスがお気に入りだ。
「居残り?何をするんですか?」私は訊いてみた。

「今日、まだやり残したことがありますよね」と彼は言う。

「え?やり残したことなんて何もないはずだけど…」

「今日はまだ“持ち上げ失敗”をしてないんじゃありませんか?」

「ええ?失敗しないと居残りになるんですか?」

カルビンはマシンに、どう見ても軽過ぎる重りをセットした。そして私のトレーニングスタイルを真似して言う。

「こんなワーク・アウトは意味がないんです。だって筋肉はぎりぎりまで酷使することで初めて成長するんですからね。あなたはもっともっときつい重りを使うべきだ。つまり、失敗しなければいけないということなんです」

彼のこの言葉には真実がある、と私は思う。

成功した経営者に、自分を大きく飛躍させたきっかけを五つ挙げて下さいと聞くと、「失敗」は常にそのリストに上がって来る。失業、事業の失敗、また、 不況のような社会的原因を挙げる人もいる。

しかし一方我々の多くは、「失敗をどう回避するか」ということに途方もない労力を費やしているのではないだろうか。

スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授によれば、失敗とは、我々のマインドセットの問題である。教授はこれまでに膨大な量のリサーチを行い、「このまま失敗に終わってしまうのか?それとも乗り越えることが出来るのか?」というぎりぎりの逆境に立たされた人がギブアップに流れる場合、そこにはどんな要因があるのか、ということを明らかにした。

その結論はあきれるほど単純なものだ。
全てはあなたの頭の中にあるのだ。

考えてもみてほしい。もしもあなたが、人間の能力とは生まれつきのもので、永遠に改善のしようがないと思っていたら、どうにかして失敗を回避しようとするのではないだろうか。何故なら、失敗はあなたの能力の限界を意味してしまうからだ。だから、こちこちにこり固まったマインドセットの持ち主は、何度も何度も、自分で解決出来るレベルの似たような問題を解決することを好む。そして心の中でその成功体験を、強固に固めてしまおうとする。

そう、“こちこちマインドセット”の子どもは決して難しいパズルは選ばず、前に一度遊んだことのあるパズルを完成させて満足感にひたる。こちこちマインドセットの学生は新たな外国語を学ぼうとはしないだろうし、こちこちマインドセットのCEOなら、イエスマンばかりで周囲を固めてしまうだろう。何故って彼らのイエスの声だけを聞いている限り、自分は賢く、絶対に間違っていないと思い込めるからだ。

しかし、もしもあなたが、人の能力は意志と努力の力によって変えられると確信していれば、失敗を成長へのチャンスと捉えることが出来る。このようなしなやかなマインドセットを持った人々は、全てが順調に行っている時ではなく、むしろ何かを学んでいる時にこそ、自分の賢明さを感じ取ることが出来るはずだ。

世界NO.1のバスケットボールプレイヤー、マイケル・ジョーダン。彼はあらゆる成功者と同様、“しなやかマインドセット”の持ち主だ。

例えば高校時代、彼はバスケットボール・チームから退部させられた。しかしそのことで決定的に挫折してしまうことはなかった。ジョーダンは言う。

「私は現役時代、9000回以上シュートを外した。300回近く試合に負けたし、試合の勝敗を決めるウィニングシュートを26回も外してしまった。僕の人生には何度も何度も何度も失敗があった。だから僕は成功したのだ」

もしもあなたがしなやかマインドセットの持ち主なら、失敗を成長の糧に出来る。しかしもしもこちこちマインドセットの持ち主だったな、一度も失敗はしない代わりに、学ぶことも、成長することもないだろう。

ところで、失敗はこのように大変重要な体験であるが、しかしビジネスの現場においてはタイミングをよく見極める必要がある。リスクがあまりにも高く、失敗した場合ビジネスに与える影響が大きい場合には、ひとまず現状の能力内に留まっているほうが良いだろう。

逆に、失敗しても影響が少ないロー・リスクの場合には、自分の能力の限界を超えるよう努力してみるのが良い。限界を超えようとする。すると失敗してしまうことが多い訳だが、重要なことは、何故失敗が学びであり、成長であり、成功につながるのか?ということを、自分が実際に体験してみることなのだ。そう、それこそ人生の大きな大きなチャンスである。

いいニュースをお伝えしよう。あなたはマインドセットを変えることで、確実に成功することが出来る。ドゥエック教授はある時子どもたちに、人は誰でも自分の知的能力を伸ばす力を持っている、という話をしてみた。すると子どもたちはそれまでよりもずっと真剣に授業に取り組むようになり、また、辛抱強くもなった。そして、以前なら「自分には解けない」と放り出していた算数の問題を、素晴らしい成績で解けるようになったのだ。

しなやかマインドセットは、自らの可能性を最大化するための魔法の薬だ。部下を成長させたい?ならば彼らに能力以上の仕事を与えなさい。彼らが「自分たちにはとても出来ません」と言うだろうって?では彼らに、「しばらくの間この仕事に取り組んで、試行錯誤を重ねてほしい」と伝えるべきだ。これまでやって来た仕事よりも時間がかかるはずだし、いくつかミスを犯すかもしれない。それは全部承知している、と伝えよう。けれど最後には結局、君たちは成し遂げられる。私にはそれが分かっている、と伝えるのだ。

あなた自身の能力を向上させたい?では、あなたのゴールを、成功確率50~70%の目標に置くと良い。ハーバード大学の心理学研究員デイビッド・マッククレランド氏によれば、それが人を大きく飛躍させるためのスイート・スポットだという。

そして、挑戦半ばで失敗した時は、実際はどうするべきだったかを客観的に振り返ること。そして再び挑戦する。この繰り返しがトレーニングになるのだ。最近の研究が教えるところでは、10000時間のトレーニングで、人はどのような分野であってもエキスパートになれるという。そう、スタートがどこからであっても、ゼロからであっても、である。

次のワークアウト・クラスで私は、カルビンと一緒にふだんの2倍の重りを使ってみた。ああ、それは正解だった。何と私は腱鞘炎になり、アイシングを受ける始末に。人は時に、失敗しようとして失敗することさえ出来るのだ。

そう、確かに今、私は学んでいる。

出典:Why You Need to Fail

記事執筆:(株)イノーバ。イノーバでは、コンテンツマーケティングのノウハウを詰め込んだ無料のebookや事例集をご提供しています。ダウンロードはこちらからどうぞ→https://innova-jp.com/library/