「それやったことある!」をヒントに共感を呼んだキャンペーン事例2つ【新聞社のExtra Newspaper、化学メーカーの3M】

コンテンツマーケティング
「どうやったら顧客は、ウチの製品を好きになってくれるだろう」
そんなふうに考えている人は、日常のインサイトを利用してみてはいかがだろうか。
新しい発想は、いつも日常のなかから生み出されるもの。今回は、顧客の共感を得るために実施された、誰もが、「それやったことある!」と感じる事例をご紹介したい。
新聞を傘代わりに使ったこと、ありませんか?【新聞社・Extra Newspaperの事例】
まず、ご紹介したいのは、エクアドルの新聞社「Extra Newspaper」の事例である。
赤道直下に位置するエクアドルでは、11~5月の間は雨期になる。雨天の日に、外で新聞を読む人はいないため、このシーズンになると新聞が売れなくなる。そして、露店での販売数が、エクアドルで最も多いExtra Newspaperにとって、雨期にいかにして新聞を売るかは、大きな問題であった。
同社が、この問題を解決するためにつくったのが、今回ご紹介する「Umbrella Newspaper」である。その名の通り、新聞にプラスチックフィルムをコーティングし、傘としても使えるように防水加工してしまったのだ。その様子は、以下の動画でご覧いただきたい。
Umbrella Newspaper - Maruri Grey
現地を訪れたことのある人はご存知かもしれないが、赤道直下のスコールは激しい。傘をささずに外に出てしまうと、あっという間に、ずぶ濡れになってしまう。
そんな急な雨の場合でも、この新聞があれば濡れずに済むというわけだ。もちろん、雨の中で開いても、ぐしゃぐしゃにならないというメリットもあるかもしれないが、動画を見る限り、ほとんどの人は傘として利用しているようだ。
この「Umbrella Newspaper」は、SNSなどで話題になったこともあり、前年に比べて、販売部数が12%もアップしたということだ。急に雨が降ってきたときに、新聞を傘代わりに使うというインサイトを、見事に利用した好事例といえるだろう。
メガネをTシャツで拭くのは、もうやめましょう【化学メーカー・3Mの事例】
もう1つご紹介したい。ポストイットで有名な化学メーカー「3M」が、メキシコで行った事例だ。同社は、「Scotch-Brite Microfiber」というメガネ用クリーナーを訴求するために、以下の写真のようなTシャツを制作した。
出典:GUTE WERBUNG/Scotch-Brite: The Cleaning T-Shirt
Tシャツの裾に付けられた、ふわふわした青い布地。メガネをかけている人なら、この使い道にピンときたのではないだろうか。そう、Tシャツに、メガネ用クリーナーが縫い付けられているのである。
レンズが汚れたからといって、クリーナーを普段から持ち歩いている人はそう多くない。ほとんどの人は、「着ているTシャツの裾で、拭いてしまった」という経験があるのではないだろうか。同社は、そんなユーザーのインサイトに注目し、このTシャツを、3Mのストアでプレゼントするというキャンペーンを行ったのだ。
このキャンペーンが秀逸なのは、単に、顧客のインサイトに着目したところだけではない。やったことのある人はご存知かもしれないが、Tシャツの裾でメガネを拭いても、レンズはあまりきれいにならない。やはり、専用のクリーナーには勝てないのだ。
その点、このTシャツならそんな心配はいらない。心ゆくまでメガネを拭いて、ピカピカにすることができる。そして、何度か使っているうち、「専用クリーナーなら、メガネはこんなにきれいになるんだ」と、気付いてくれるのである。
誰もが持っているわけではないメガネ用クリーナーという商品が、こんな風に見直されたら、キャンペーンは、大成功と言えるのではないだろうか。
日常のインサイトが、新しいプロモーションのネタに
今回ご紹介した2つのアイデアは、どちらも顧客が日常的に行っているインサイトを利用したものだ。こうしたプロモーションであれば、顧客からの共感も得やすく、スムーズに受け入れられるのではないだろうか。
あなたの会社の製品は、どのような場面で使われているだろうか。この機会に、柔軟な発想で、見直してみるのもいいかもしれない。
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