エクスペリエンシャル・マーケティング:「実際に体験してもらうのが一番!」な海外事例3選

デジタルマーケティング

「エクスペリエンシャル・マーケティング」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。

ターゲット顧客に商品やサービス、さらには、何かを実際に「体験」してもらうこのマーケティング手法は、インパクトもあり効果が高い。また、その様子を収めた動画は強力なコンテンツとなり、話題性や中毒性もバツグンであるのが特長だ。

そこで今回は、実際にエクスペリエンシャル・マーケティングを取り入れた海外事例を複数紹介する。その効果がいかなるものか、見ていこう。

事例1: 映画『The Simpsons』

1989年に最初のエピソードが放送されて以来、根強い人気を誇るマンガ『The Simpsons』。少し前になるが、2007年に映画のプロモーションの一環としてオープンした「Kwik-E-Mart」は、実体験がキーとなるエクスペリエンシャル・マーケティングの的を見事に射たものである。

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出典:10 Most Innovative Movie Marketing Campaigns

マンガに出てくるあのコンビニに、実際足を踏み入れることができる……。そして、登場人物がいつも飲んでいる、「Buzz Cola」という架空のドリンクを味わうことができる……。

ファンとしてはぜひ体験してみたいこのイベントは、話題が話題を呼び、多くの人がこの店舗を訪問。その体験をつづったブログやソーシャルメディアの投稿も多数あり、口コミ効果も抜群であった。

「昔からあるあのマンガ」という存在に、「話題性」という新たな息吹をもたらす良いきっかけとなったのである。

事例2: レッドブル(Red Bull)

そのユニークなマーケティング手法で、世界的に知名度の高いブランドへと成長を遂げたレッドブル。商品を売るのを目標にするのではなく、消費者の生活の一部になることに焦点を当てて成功に至った企業としても有名である。

エナジードリンクという商品自体を前面に押し出すのではなく、アスリートやミュージシャンとタッグを組んでプロモーションをしたり、日本を含む世界各国で行われるエアレースを企画したりしている。人々にエキサイトメントを与えるコンテンツを提供し、それらをブランドのイメージにうまくつなげているのだ。

そんなブランドが、科学者と組んで2012年10月に行った「Stratos」と呼ばれるイベント。同社に属しているベースジャンパー、フェリックス・バウムガートナー氏がなんと成層圏からスカイダイブを行い、動力補助不使用で人類が初めて音速を超えることに成功し話題となった。

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出典:World Record Jump | Red Bull Stratos

高度、落下の速度ともにギネス記録を更新したこのジャンプの様子は、世界各国で放送された。「自分自身がジャンプする」という実体験ではないが、イベントをフォローし、エキサイトメントを共有するという形でのエクスペリエンシャル・マーケティングである。

事例3: Shell Eco-marathon Asia 2014

Marketing Magazineが2014年度のエクスペリエンシャル・マーケティング部門のグランプリに選んだのは、「Shell Eco-marathon (SEM) Asia 2014」だ。

世界各国の学生がデザインしたエコカーの性能を競い合うこのイベント。地球の未来を支えていく若い世代に、もっと積極的に環境への取り組みや技術の進化に興味を持ってもらいたいという信念の下に、毎年開催されている。

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出典:Eco-marathon Asia 2014. Shell ‘Discover the world of tomorrow’.

2014年はマニラで開催され、イベントのために設置されたスペシャルレーストラック、エナジーラボや自動車整備施設の中では、同じゴールを目指す同志たちが情報や意見の交換にいそしんだ。

3万5000人以上の参加者を集め、ツイート数700万を超えたこのイベントは、訪問者やステークホルダーからの評判も上々。インタラクティブというマーケティングに欠かせない要素を、エクスペリエンシャル・マーケティングと見事に融合させることに成功し、グランプリ受賞となったのだ。

言葉で伝えきれなければ体験してもらおう

今回紹介した事例は規模が大きいものばかりだ。しかし、エクスペリエンシャル・マーケティングに重要なのは、お金でも、華やかなプレスでもないことを忘れないでほしい。

「自社のコンセプトや商品に自信があるけれど、どうもそれをうまく伝えることができない」

そんなときは街中(まちなか)に小さなブースを立てて、通りがかりの人にその商品を実際に使ってもらうのはどうだろうか。また、ちょっとしたイベントを開催して、興味がありそうなインフルエンサーや企業に参加してもらうのも良いだろう。

体験することで生まれる話題性や、商品・サービスに対しての好感度および信頼度を侮ってしまうのは、マーケターとしては非常にもったいない。コンテンツマーケティングを行う際のワンステップとして、エクスペリエンシャル・マーケティングは、チャンスがあればぜひ試してほしい手法である。