世界中で話題騒然!!「エビアン動画」のバズが止まらない理由

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2014年4月25日(金)に日本で公開された新作映画「アメイジング・スパイダーマン2」とミネラルウォーター「エビアン」がタイアップして制作した動画“evian Spider-Man – The Amazing Baby & me 2”が、すでに大ヒットしているのはご存知だろうか?

なにはともあれ、ぜひご覧いただきたい。

evian Spider-Man – The Amazing Baby & me 2

引き続き、バズりまくって再生回数8000万回を突破!この動画の元ネタともいえる“evian baby&me”もどうぞ。

evian baby&me

いずれも「エビアンを飲んで若々しく生きよう」をコンセプトに、大人たちが鏡の前に立つと、そこには可愛らしい赤ちゃん時代の自分の姿があらわれ、自分の動きそっくりにノリノリのダンスを踊りだすというものだ。
どうして、これほどまでに世界中の人々を魅了するのか?

ヒットし続ける動画コンテンツの秘密をチェックしてみよう。

やっぱり、子供と動物は強い!?

この動画にも当てはまるが、3Bの法則「企画に困ったら、赤ちゃん(Baby)、動物(Beast)、美人(Beauty)を使え!」は、鉄板ルールなのだろうか?

たしかに、人間が本能レベルで「かわいい!」と思えるものを冒頭で見せることによって、心理学でいう“初頭効果”は当然好感度の高いものになる。

たとえ数十秒の動画であっても、ユーザーを途中離脱させないための防止策として、かなり効果があるはずだ。

だが、それは上記の3Bに限られたものではない。大ブームの“ゆるキャラ”などもそうだが、この3Bに匹敵するもの、代わるものは、アイディア次第で、まだまだたくさん見つかりそうである。

ネタになる種(タネ)を仕込もう!

話題になる動画は、その凝縮された数十秒の中に、ユーザーの噂になりそうな「トリビア」ネタの種を仕込むのがとてもうまい。先ほどご覧いただいた動画から、その場面を切り出してみよう。

【evian Spider-Man – The Amazing Baby & me 2】編
20140033挿入画像1
2人がまるで“あやとり”をするように糸を出しあい、それが橋の形になるというシーンがある。ネット上では、「あれはゴールデンゲートブリッジではないか?」など、早くも色々な憶測が飛びかっている。

【evian baby&me】編
20140033挿入画像2

こちらでは、鏡に犬も映るのだが、映っているのは、生きた子犬ではなくぬいぐるみの子犬だ。これも気づいた人だけが、クスっと笑える小ネタである。

こういったネタは、人々の話題になりやすく、この短い一瞬を確認するために、同じ動画を、何度も繰り返し再生するという現象も生まれる。

宮崎駿監督のジブリ映画にも、たくさんのトリビアネタが仕込まれており、それらを確認したいという欲求がDVDの売れ行きにつながることにも似た現象だ。

「耳」からも攻める!

エビアンのターゲットはF1層(20~34歳の女性)だといわれているが、個人的には、その上の年代であるF2層(35~49歳の女性)にも、かなり訴求効果が高い動画だと考えている。

理由は2つある。

1つ目は、キャッチフレーズの「Live young」からもわかるように、アンチエイジングや健康志向にスポットを当てていることだ。

“若々しく”という言葉が特に意味を持って響きはじめるのは、F1層よりやや高い年代だ。

2つ目の大きな理由は、この動画のBGM「Here comes the Hotstepper(ヒア・カムズ・ザ・ホットステッパー)」である。

原曲は1994年にリリースされ、当時のクラブシーンで大ヒットしていた名曲である。

つまり、20年前、この曲で、この動画のように踊っていた世代は、この動画を“目”で見ることによって、かわいらしく無邪気だった自分の赤ちゃん時代を投影し、この動画のBGMを“耳”で聞くことによって、若々しく輝いていた青年時代をも投影することができるのだ。

そのウキウキするような楽しい投影は、潜在意識に深くすべりこみ、会社帰りに疲れて立ち寄った深夜のコンビニで、つい「エビアン」を手にとらせてしまうという仕組みになる。

動画コンテンツは、視覚からだけでなく、聴覚からも顧客心理を攻めることができるマルチツールなのだ。

メディアの違いはあるが、選曲1つで話題になったTVドラマ「カラマーゾフの兄弟」の例も是非マーケティングの参考にして欲しい。

キャッチコピーも秀逸すぎる!

前出の通り、若々しく生きる=「Live young(リブ・ヤング)」がキャッチコピーである。
一見すると、そのままの意味で何の特徴もないように思うが、動画の最後にもあるようにブランド名「エビアン」に続けて、このキャッチコピーを“音読”してみて欲しい。

「エビアン~リブ・ヤン(グ)~」と、“韻”を踏んでいることにお気づきだろうか?
筆者は思わず「evian-live young-tresbien(エビアン~リブ・ヤング~トレビアン~)」とつぶやいてしまったほどだ。

「セブンイレブンいい気分」や「インテルはいってる」に代表されるように、うまく韻を踏んだコピーは、リズム感がバツグンによく、人々の記憶に残りやすい。
このリズム感のよさが今回の躍動感あふれる、みずみずしい動画の基礎として重要な役割を果たしていることは間違いないだろう。

バズる動画コンテンツの仕掛けや手法を考えることは大切だが、まずは、土台となるブランドコンセプトをしっかり熟知したうえで、人の心を動かすキャッチコピーを作ることが大ヒット動画誕生の秘訣だといえる。

まとめ

書ききれないのが残念なほど、このエビアン動画には、まだまだいくつものテクニックが隠れている。
何度も動画をみて、自分なりに、自分の感性で、その理由を探ってほしい。
そうすることで、クリエイターが描く、目に見えない勝利の方程式が、おのずと浮かびあがってくるはずだ。

参考元:
evian Live young
エビアン、日本初のiPad版「iAd」を展開–F1層へリーチ

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