入力フォームを最適化するEFOがマーケティングに効く理由

デジタルマーケティング

EFOという言葉を聞いたことがあるでしょうか? Webサイトにおける入力フォームの最適化をすることを指します。一見、ユーザが多少便利になるだけの地味な施策のようにも見えますが、実際にはマーケティング観点から重要な意味を持っています。今回は、このEFOの定義や具体的な手法について解説します。

EFOとは

EFOとは「Entry Form Optimization」の略で、サイト上の問い合わせや会員登録などに使われる入力フォームの最適化を意味します。自身がインターネット上で何らかの申し込みをする際に、「入力フォームが煩雑で面倒になった」という体験を持っている方もいるのではないでしょうか。

たとえば、入力項目が多すぎたり、あるいは微妙な書き方の違いでエラーが返ってきたりすると、ユーザは入力をあきらめて離脱してしまいます。これは、マーケティングの観点で言えば「CV(コンバージョン)の獲得に失敗」しているということです。

コンテンツを充実させて顧客のアクションを喚起できているのに、問い合わせページで離脱されてしまうのは非常にもったいないことだと言えるでしょう。EFOは、こうした取りこぼしを防いでCVRを上げるための施策です。

なぜEFOが重要なのか?

どのようなユーザを対象にしているかを考えることで、EFOの重要性がわかります。そもそも、入力フォームがあるページを訪れているユーザは、すでに他のページで情報を収集し自社や商品に興味を持ってくれている顧客です。この見込み客を、問い合わせや会員登録といったアクションでいかにファネルの次の段階に移行するかは、マーケティング施策における主要なポイントの1つです。

ただし、一定の興味を持っている顧客であってすら、個人情報を入力することに心理的なハードルを持っています。このため、入力が面倒に感じるような長すぎるフォームの場合、簡単に離脱してしまうのです。

こうした事情があるにもかかわらず、使い勝手の悪い入力フォームはいまだに一般的だといえるでしょう。デンマークを拠点とする調査機関であるBaymard Instituteが行った調査によれば、ECにおけるショッピングカートから購入フォーム入力までの段階で「購入を放棄」するケースは全体の約7割。この理由として、「購入までのプロセスが長く複雑」であることが3番目に挙げられています(ちなみにトップは送料や手数料などの追加料金が高すぎること)。

ここからも、入力フォームは顧客の利便性を損ね、機会損失につながっていることがわかりますが、逆にいえば入力フォームを改善することによって離脱率の低下やCVR向上につなげられるということでもあります。次章で詳しく見ていくように、具体的には入力項目を減らすことや入力方法をより平易なものにすることが考えられますが、使い勝手の良いフォームはユーザの心象を良くすることにも寄与するでしょう。

具体的なEFOの手法

具体的なEFOの手法としては、以下のようなものがあります。

入力項目を減らす

入力を求めている項目は、企業として入手したい顧客情報なので、減らすといってもなかなか難しいかもしれません。ただし、ここがユーザの利便性に直結するもっとも基本的な部分です。

もし、BtoBサイトの登録で入力が10項目程度あれば、注意が必要といえるでしょう。ユーザの視点に立ってみれば、気軽に資料ダウンロードやメルマガ登録をしようとして10個も入力を求められたら身構えてしまう気持ちがわかります。

項目数はどのようなCVを得ようとしているかによっても変わってきますが、興味が初期段階のメルマガ登録のようなケースではシンプルにメールアドレスのみにとどめるのがベター。あるいは、資料請求といった興味が高いユーザであっても氏名や会社名、電話・メールアドレスなどの5項目程度に収めておきたいところです。

わかりやすい入力例の提示

フォームに入力した内容を送信したらエラーとなって再入力を求められた。これは「入力フォームあるある」と言えるかもしれません。

何をどのような形式で入力すべきなのか、入力フォームに明確な例示を加えると、ユーザの利便性が向上します。たとえば、電話番号のハイフン表示(例:090-XXXX-XXXX)、姓と名の間のスペース(例:山田 花子)などです。

フォーム自体のデザイン

また、当然のことですがフォーム自体のデザインが見づらいものになっていないかも確認しておきたい項目です。欄が狭すぎたり字が見えにくかったりすると、フォームへの入力を途端に手間に感じてしまうものです。

フォームの位置はスクロールの前に

フォームだけではなく、入力フォームが設置されているページのデザインも重要です。というのも、フォームやCTAといったユーザにアクションを促す要素は、ページの上部に表示されるものの方がユーザに影響を及ぼしやすいためです。このため、入力フォームは全体がスクロールしない位置に設置しましょう。リードジェネレーションフォームをスクロールしなくても見える位置に設置したところ、スクロール後の位置に比べてCVRが2倍以上になったという例もあります。

フォーム以外の要素を少なくする

フォームの位置だけではなく、そもそもページデザインはシンプルなものにしておきましょう。

フォームのあるページに他のバナーやリンクが多いと、ユーザはそちらに気を取られてしまいます。ここからリンク先に飛ばれてCVが獲得できないという事態も発生するため、CV獲得のページでは目的以外の要素をできるだけ排除することが大切です。

EFOツールの活用

EFOのためのツールを利用し、フォーム機能の一部を自動化することも考えられます。非常に多機能なツールも提供されていますが、以下が代表的な機能です。

  • エラーをリアルタイムで教えてくれる
    入力内容を送信したらエラーで再入力、というケースを先にも紹介しました。たとえば、不正なドメインのメールアドレスの入力のようなエラーを、送信後ではなくその場でユーザに知らせる機能です。
  • 住所やフリガナの自動入力
    郵便番号から住所が検索できる機能は、ユーザとして使ったことがある方も多いのではないでしょうか。この他にも名前の入力に応じてフリガナの予測を出すという機能もあります。
  • 他のアカウントとの連携機能
    GoogleやFacebookのアカウントと連携することで、会員登録やログインをより少ない手間で可能にする機能です。

EFOのポイントと効果測定の仕方

ここまでで具体的な方法について見てきましたが、EFOを実施すべきかどうか判断するポイントはあるのでしょうか。

1つの判断基準となるのが離脱率です。Googleアナリティクスでサイト状況をチェックすることで可視化できます。その上で、フォームが設置されたページへのアクセスはあるものの離脱率が高い場合には改善が必要と判断できるでしょう。

先にも触れたように、フォームへの入力は心理的な抵抗もあり、ある程度の離脱は避けられませんが、著しく高い場合には注意が必要です。あるいは、そもそもCVRが低い場合にも入力フォームの改善を検討してみる価値があります。

効果測定の仕方

EFOを実施した際の効果測定にもGoogleアナリティクスが使えます。基本的にはEFO実施の判断とポイントは同じで、施策を実施する前後の離脱率の変化を測定します。さらに本格的に取り組む場合には、分析機能がついたEFOツールの導入もひとつの手となるでしょう。前述のようにユーザの利便性に貢献するさまざまな自動化を利用することができます。

EFOはCVR向上につながるコスパの良い施策

本記事ではEFOツールも紹介しましたが、Googleアナリティクスで現状を可視化し、ポイントをつかんで改善することができれば専用のツールなしでも実施可能です。このため、EFOは費用対効果が高く、すぐに取り組める施策と言えるでしょう。

CVRが伸び悩んでいる際には、ユーザをどのようにCV獲得のページまで遷移させるかを考えがちですが、実際にはページを訪問したユーザですら入力フォームの使い勝手によって離脱している可能性があります。入力フォームがユーザビリティに直結していることは専門知識がなくとも直感的に理解できる施策でもあるので、ぜひ一度見直してみるとよいかもしれません。

 

参考:

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