教育におけるオウンドメディア事例

オウンドメディア

相次ぐ定員割れ大学、熾烈さをきわめる英語学校の生徒争奪戦…

現在、各種スクールでは生徒獲得合戦が繰り広げられ、競合との差別化を図ることが、生き残りのために重要になってきている。

また、近年カルチャー教室が賑わいを見せているが、類似教室に埋もれずに生徒数を獲得していくためには、何かしらの「手だて」が必要になってくることだろう。

そして、その有力な「手だて」となり得るのが、このコンテンツマーケティングである。

なぜコンテンツマーケティングが重要で、一体どのようなメリットが得られるのだろうか? また、その成功要因とは何なのだろうか?

今回は、アメリカの事例、そしてABCクッキングの事例を参考に、教育機関・各種スクールにおけるコンテンツマーケティングの可能性を紹介していきたいと思う。

教育機関、各種スクールにおけるコンテンツマーケティングの目的

大学などの教育機関や各種スクールなどの「学びの場」において、コンテンツマーケティングで得られるメリットとは何だろうか?主に次のようなメリットが挙げられるだろう。

1. 大学などの教育機関・各種スクール共通のメリット

・多くの生徒を集める ・質の高いスタッフの確保 ・学校の認知や評判を高める

2. 主に大学におけるメリット

・同窓生のコミュニティ形成 ・同窓生などから寄付金を集める

いかがだろう? 教育機関の経営において、かなり"重要度の高い課題"を解決できる術となるのではないだろうか?

では、これらのメリットを享受するためには、どのようなコンテンツマーケティングを展開していけばよいのだろうか?

アメリカの事例を参考に、教育機関におけるコンテンツマーケティングの成功要因を紐解いていきたい。

どのようなコンテンツを制作していったらよいのだろうか?

まずはアメリカの大学の事例を見ていこう。

アメリカの大学におけるコンテンツマーケティング

アメリカには、大学を始めとする高等教育機関が4,000以上存在する。それぞれ自校の特徴を活かしてあの手この手で生徒を集めようとしているが、近年はコンテンツマーケティングの導入が盛んになってきている。多くの教育機関が存在する中で「我が校こそで」学んでもらう理由を示すためだ。では、どのように実践しているのか、その事例を見てみることにしよう。

キャンパスライフの魅力を存分にアピール

コルビー・カレッジは、メイン州にあるリベラルアーツを学べる大学である。同校は、メインのWEBサイトColbyの他に、Inside Colbyというサイトを持ち、生徒がキャンパス内で撮影した写真や学園生活を語る動画など、学校の魅力を存分にアピールできるコンテンツが掲載されている。「For students, by students」というサブタイトルが示す通り、学生のためのカジュアルな情報掲示板だ。

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出典:Inside Colby

1つコンテンツを紹介すると、「What Makes Colby Special?」という動画では、在学生がColbyの魅力を活き活きと語っている。このようなコンテンツを活用することで、入学希望者に大学の魅力を効果的にアピールし、「この大学で学んでみたい」という気持ちを喚起させることができるだろう。

http://www.youtube.com/watch?v=czHEZtsjoVc#t=21

また、このメディアには「受験者数の増加」のほかにも意外なメリットが存在する。オンラインで大学の様子や活動を報告することで、卒業生の母校に対する関心を仰ぎ、寄付金の獲得にも繋げることができるのだ。

IT時代に対応

近年、ソーシャルメディア・モバイルデバイスのインフラ化で、教育機関においてもこれらの接点で学生らにアプローチをすることがマーケティングコミュニケーション上必須となってきた。

例えば、デューク大学では、Social Mediaというリンクページにおいて、どのカテゴリーの情報をどのメディアで提供しているかが、カテゴリー名をクリックすることですぐに分かるようになっている。「同窓生情報」というカテゴリーをクリックすると、FacebookとTwitterのマークが現れる、といった具合だ。

また、MITなどのように、モバイルアプリを提供している大学もある。このアプリにより、地図やイベント情報など必要な情報をスマホでチェックしやすくなり、学生やスタッフにとって大変便利である。

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出典:MIT Mobile

このように、IT時代に即し、ソーシャルメディア対応策・モバイルデバイス対応策を他校に先駆けていくことが、今の時代を生き抜く学校になるためには不可欠であろう。

各種スクールにおけるコンテンツマーケティング

先日NTTドコモが買収したことで話題になったABCクッキングでは、ブログでクッキング教室の楽しそうな様子を伝えたり、また、ABC Health Laboというコンテンツで、医学・栄養学に関する有益な情報を発信したりしている。

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出典:みんなのABC BLOG

このブログを見ていると、何だか「ABCクッキングで学んでみたい!」という気持ちが高まってこないだろうか?

このような手法は、カルチャーセンターなどでも手軽に応用できるであろう。

また、英会話スクールや学習塾などの学びの機関のWEBサイトなどでは、コース説明などがメインになっているのが現状だが、「その学校で学びたくなる理由、今自分が学習しなければならない理由」をコンテンツを通じてもっと高めさせていくべきだろう。

例えば、海外の語学学校などでは、WEBサイト上で、簡単な英語の文法のテストを受けられる場合がある。このコンテンツにより、受験者(見込み客)はその場で自分の英語レベルをチェックでき、思ったより点数が低いと、「もっと勉強しなくては!」という学習意欲が湧き上がることだろう。

その学習意欲が高まっている真理状態に、サービス紹介のコンテンツを挿しこめば、入塾までスムーズに促すことができるはずだ。

また、過去にベルリッツが行った以下のキャンペーンを参考に、バイラル性の高い動画コンテンツを活用し、そこからサービスページまで自然に遷移させるのも有効だろう。

http://www.youtube.com/watch?v=gh5xu35bAxA#t=18

これは、ドイツの沿岸警備隊が舞台になっているのだが、途中、「メイデイ!メイデイ!」と叫んでいるのは、SOSのことだ。ある船員が、" We are sinking."と言いながら船が沈没(sink)しかけていることを訴えているのに、このドイツ人の新米警備隊員は"sink”とthink"の2つの発音を混同してしまったらしい。そこで、" What are you thinking about?" (何を考えているのですか?)と聞き返しているというわけだ。「正しい発音を習得しないと、人命にかかわる」というメッセージである。

まとめ

今回見てきたように、「学びの場」におけるコンテンツマーケティングにおいては、「そこでこそ学びたい理由」を作ってもらうことが大切である。また、生徒以外にも、スタッフ候補者を惹きつけたり、学校の評判を高めたりする際に、良質なコンテンツが威力を発揮することだろう。

学校も語学学校も、「そこで学んでみたい」という感性を刺激することが何よりも重要であり、コンテンツを通じてブランディングを図ることこそが、競合他社への差別化の源泉となるのだ。

日本でも、大学・語学学校で生徒争奪戦が繰り広げられていることかと思うが、ぜひコンテンツマーケティングを実践し、その熾烈な合戦の勝者となっていただきたい。

参照元: 4 Content Marketing Ideas for Colleges and Universities

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