通信販売を活用した海外進出のすすめ

EC(Eコマース)
先日、ATカーニーが発表した新興市場に関するEコマースレポートを紹介した。前回紹介しきれなかったのだが、このレポートの中で、ATカーニーは、通信販売を活用して海外進出がトレンドであると指摘している。これから海外進出を検討する日本企業に大変参考になる内容なので紹介したいと思う。
通信販売を活用した海外進出のすすめ
リーマンショック以降の長引く不況の中で、欧米では成長が全く見込めなくなっている。このような中、欧米の企業は、新興国に進出する事で、活路を見いだそうとしている。
新興国への参入に通信販売を活用
新興国の経済は急成長しているものの、市場への新規参入は常にハイリスクだ。消費者の購買パターン、競合状況、法制度、ビジネスの慣習などは、国毎に様々である。実際に新規参入してみたら、予想外のトラブルに見舞われる事も少なくない。そのような状況下、欧米企業は、新興国への参入に通信販売を活用している。
ニーマンマーカスの事例
例えば、米国の高級百貨店であるニーマン・マーカスは、中国進出にあたり、中国のアパレル通販サイトの株式を部分的に取得した。目的は、急成長する中国のラグジャリー・マーケットへの参入を果たすという事と、買収先を通じて中国の消費者に関する情報を集めるという事である。もし、従来通りのやり方で、中国にニーマン・マーカスの店舗網を構築しようとしたら、高額な不動産のリース契約を締結し、多数存在する地方都市への出店戦略をどうするかという問題に頭を悩ましていたはずだ。
LMVHの事例
同様に、フランスのラグジャリーブランドであるルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー(LVMH)は、ブラジルの化粧品Eコマースの会社であるSack’sを買収した。現地でのセフォラのブランド認知度を高めるために、Sack’sのECサイトを活用したのだ。
まとめ:ネット通販でグローバル市場にアクセスしよう
以上見てきたように、ATカーニーによれば、このように通信販売を活用した新興市場への参入が、欧米企業では一つのトレンドになっているという事だ。急成長する新興国に参入したい、一方で、初期投資やビジネス上のリスクは最小限に抑えたいという企業にとって、通信販売を使った市場参入が有効な戦略である事は間違いないだろう。
ただし、中国の通信販売の世界は、現在、大手企業が利益を犠牲にした投資を加速しており、体力勝負の争いを展開している。他の新興国も、中国ほどではないにしろ、強力なローカルのプレイヤーがいる事が多い。
ただし、日本の強みは日本独自の優れた商品やカスタマーサポートなどである。ニーマンマーカスやLVMHが行ったように、通信販売を活用して現地の消費者のニーズを把握しつつ、自社の独自商品を販売するのが有効な戦略になるだろう。
なお、弊社では、現在、多言語展開可能な通信販売のソフトウェアMagento(マジェント)のサービスのリリースを準備中だ。Magentoは、日本ではまだ知名度が低いのだが、海外ではNo1のシェアを持つECシステムである。同一のシステムを使って、多言語に対応した複数店舗を展開する事が出来るのが最大の売りである。Magentoは、昨年豊富な資金力を持つeBayに買収され、今後、eBayの中核事業として国際展開を強化していく。現在80カ国語以上に対応すべく開発が進んでいて、通信販売を国際展開する際にはもってこいだ。Magentoに関しても、今後、THE CONTENT MARKETINGで紹介していきたいので、期待して欲しい。 Photo Credit:Kanze
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