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イノーバマーケティングチーム2024/02/02 17:29:331 min read

デジタルトランスフォーメーション、現在の市場規模と将来の展望

デジタルトランスフォーメーションの推進は多くの企業にとって喫緊の課題となっているものの、さまざまな事情もあり思ったように進んでいないのが現状です。しかし、AIやIoTなどの先端IT技術が急速に進化していることから、今後は着手する企業も増えていくとの予測も出ています。そこで、今回はデジタルトランスフォーメーションの概要、現在の市場規模を見たうえで、将来の展望についてお伝えします。

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デジタルトランスフォーメーションとは?

冒頭でも触れたように、AIやIoTなどの先端IT技術は常に進化を続けています。デジタルトランスフォーメーションとは、これら先端IT技術を駆使し、既存ビジネスの変革や新たな製品・サービスの開発、新規ビジネスモデルの創出などを行うものです。その目的は、業務効率化や生産性向上、他社に対する競争優位性の確保はもちろん、顧客にとって日々の生活を豊かでより良いものにするための価値提供にあります。

ただ、日本においては、現時点ではまだ本格的にデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる企業は多くありません。実際、2020年12月に経済産業省が公開した、「DXレポート2」。これは、2018年9月に公開された、「DXレポート」の中間取りまとめとして公開されたものですが、このなかで情報処理推進機構(IPA)が行った調査結果が紹介されています。

この調査とは、デジタルトランスフォーメーション推進状況を見たもので、2020年10月時点での推進状況を企業が自己診断したものです。分析結果を見ると、回答のあった約500社のなかで、実際にデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる企業は全体の約5%でした。それ以外の95%は、まったく着手していない、していたとしてもまだ、ほんの一部分だけという結果です。この結果から、日本ではデジタルトランスフォーメーションがまだ進んでいないどころか、周知さえされていないのではと推測されます。

日本でデジタルトランスフォーメーションが進まない要因

日本でデジタルトランスフォーメーションが思うように進んでいない要因として挙げられるのは、「先端ITを理解している人材が不足している」「老朽化した既存システムの刷新が進んでいない」などです。しかし、それ以上に企業自体の変革への危機感が低い点に大きな要因があると考えられます。

日本情報システム・ユーザー協会が2020年5月に発表した、「デジタル化の取組みに関する調査2020」。これを見ると、デジタル化に積極的ないわゆるトップランナー的企業は2017年から2019年の2年間で26.7%から36.3%まで増加しています。

しかし、「ビジネスモデルの変革の必要性の認識」にかんしては、全体の75.3%が、「現在のビジネスモデルを継続しつつ、新しいビジネスモデルも開拓する必要がある」と回答。「現在のビジネスモデルを抜本的に変革する必要がある(12.0%)」「現在のビジネスにこだわらず、まったく新しいビジネスの創造が必要(4.4%)」を大きく上回っています。

さらに、この結果は2019年のものです。2018年は、「現在のビジネスモデル継続しつつ…」と回答したのは70.9%のため、既存ビジネスを維持したいと考えている企業が4%以上も増加しています。

ほかにも、「経営に対するデータの活用状況」では、70%が、「部分的なデータを分析しており、その結果を部分的に経営判断に活用している」と回答。これらの結果から、デジタルトランスフォーメーションにより、現状を大きく変革させようと考える企業が少ないことがわかります。

もちろん、現時点で競合他社に対し競争優位性を持っている企業が無理をしてまでも新たなビジネスモデルの創出をする必要はないと思われるかもしれません。しかし、前出の「DXレポート」のなかで、「2025年の崖」として、「2025年までに多くの企業が活用している基幹系システムのサポートが終了すること」「先端IT人材が大きく不足してしまうこと」をリスクとして挙げています。

つまり、現時点で競争優位性を持っていたとしても、5年後、10年後に同じように競争優位性を保っていられる確証はありません。そうした意味でも、少しでも早くデジタルトランスフォーメーションに取り組む必要があるのです。

デジタルトランスフォーメーションの市場規模

さまざまな事情もあり、なかなか思うように進まないデジタルトランスフォーメーションですが、現在の使用規模はどれぐらいなのでしょう? ここでは、2020年10月に富士キメラ総研が発表した、「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」の調査結果を見てみます。

この調査では、「製造」「流通」「金融」「医療/介護」「交通/運輸」「不動産」「その他業界」の業界別に加え、どの業界でも共通である、「営業・マーケティング」「カスタマーサービス」に分け、それぞれのデジタルトランスフォーメーション国内市場での投資金額(2019年度)を結果として公開しています。

もっとも投資金額が多いのは、「交通/運輸」で2,190億円。そして、「金融(1,510億円)」「製造(971億円)」と続いています。また、部門別では、「営業・マーケティング(1,007億円)」「カスタマーサービス(572億円)」です。

交通/運輸業界でデジタルトランスフォーメーションを実現している企業の代表格は、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)です。「移動のシームレス化」「多様なサービスのワンストップ化」「データを活用した新サービスの導入」を目的とし、SuicaやMaaS(※Mobility as a Serviceの略でICTの活用により、シームレスな交通を目指す新たな移動の概念)を開発、導入しています。

金融業の代表的な企業は、株式会社りそなホールディングスです。個人向けには、「いつでも」「どこでも」「簡単・便利」に取引完結を実現するアプリの開発。そして、企業向けには、社員端末やATMなどと情報連携し、キャッシュカード一つで、ATMでは取扱できない取引も「伝票レス・印鑑レス」で手続き可能な「クイックナビ」の導入などを行っています。

営業・マーケティング部門では、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいますが、一つの例としては、東京ガス株式会社が挙げられます。AIを活用したオペレーションマーケティングの最適化を行い、顧客の特徴を数十~数百の項目て得点化。これにより営業効率の大幅な向上に取り組んでいます。

デジタルトランスフォーメーションの将来展望

次に、同じ富士キメラ総研の、「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」から、2030年の予測市場規模を見てみましょう。

もっとも市場規模(投資金額)が拡大していると予測しているのは、「交通/運輸」で9,055億円(2019年比4.1倍)、そして、「金融(5,845億円、同3.9倍)」「製造(4,500億円 同4.6倍)」と順位は2019年と変わりませんが、それぞれに大きく拡大しています。

これらの業界はどれも、日常生活に欠かせないものであり、ほとんどの人が利用するものであるからこそ、今後も大きく規模を拡大していくのではと予測しています。

また、2019年比でもっとも、拡大をすると予測しているのが、「流通」で367億円から2,375億円でその差は6.5倍です。流通は、交通/運輸に大きく関連していることもありますが、今後、人手不足がさらに慢性化した際の業務効率化、属人化の防止などの面でIT技術の活用が増えると予測しています。

デジタルトランスフォーメーションの市場規模は今後、拡大方向へ

これまで、なかなか思うように進まなかった日本のデジタルトランスフォーメーションですが、ここに来て大きく動き始めています。その一つの要因として挙げられるのが、新型コロナウイルス感染拡大です。多くの企業がテレワークを導入する際、ペーパーレスやWeb会議などを導入せざるをえなくなり、これまでデジタル化に消極的で合った企業もIT技術の活用を始めたことが挙げられます。

もちろん。2025年が少しずつ迫ってきていることもありますが、先端IT技術の進化もあり、デジタルトランスフォーメーションに着手する企業も増えていくでしょう。この流れに乗り遅れないためにも、少しでも早い段階からデジタルトランスフォーメーションの理解を進めていくことをおすすめします。

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参照サイト:

2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望|富士キメラ総研

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