中小企業だからこそできた!たった2日で新規顧客を1万2000人獲得したスゴい事例

コンテンツマーケティング

このサイトでも合言葉のように繰り返されるフレーズ。

「広告費のない中小企業こそコンテンツマーケティングを!」は本当なのだろうか?

そういう疑問をお持ちのマーケターに、夢のような本当にあった海外事例をご紹介したい。

4500ドルほどの低予算でつくったコンテンツ動画をきっかけに、たった2日間で“YouTube再生回数950万回ビュー、Twitterでは2万3000人のフォロワー、Facebookでは7万6000人のファン……そして、なんと新規顧客を1万2000人も獲得”することができた企業がある。

まずは、予備知識なしで、その動画をご覧いただきたい。 2012年3月に公開された動画だ。(*英語の苦手な筆者でも楽しめたコミカルな動画なのでご安心を!)

DollarShaveClub.com - Our Blades Are F***ing Great

「Dollar Shave Club」ってどんな会社?

では、この動画に出てくる「Dollar Shave Club」とは、いったいどんな会社だろう?

デジタルメディア、マーケティングのキャリアを持つMichael DubinとビジネスマンのMark Levineが2011年7月に2人で設立、従業員ゼロからスタートした「男性用カミソリ」の会社だ。

“男性用カミソリを自宅に定期的に、しかもたった1ドルという低コストでお届けする”というサブスクリプションコマースの手法をつかって、当時、大手メーカーに寡占されていた業界に、上記の動画を発端とする“革命”を巻き起こした。

なんと、起業から1年ちょっとの2012年10月には、シリーズA(起業したばかりのスタートアップ企業に対し、ベンチャーキャピタル等が出資する段階のひとつ)で、980万ドル、10億円相当もの資金調達に成功し、急成長を続けている。

では、「Dollar Shave Club」の爆発的な人気の導火線となった動画、その魅力に迫ってみよう!

キャンペーンコピーは“放送禁止用語”

「Our Blades Are F***ing Great(俺らのカミソリ、すっげえ最高!)」というスラング混じりのこのコピーは、動画の中でも「ピー」音が入ってしまうほどの放送禁止用語……

どうにもルール違反なインパクトである。 歴史が長く、保守的な企業では、なかなか採用しづらい類のものだ。

しかし、これはインパクトだけでなく、企業姿勢を表し、かつ、求めるユーザーのターゲット層をよく絞り込んでいるコピーだということもわかる。ここでのターゲットイメージは、おそらく“都会に生きる、男らしさに誇りを持った前衛的な男性”ではないだろうか。

日本の雑誌でいうと、マガジンハウスが発売している男性向け情報誌「BRUTUS(ブルータス)」に近いターゲットイメージだ。 ちなみに、BRUTUS(ブルータス)創刊号のコピーには、「男が海に出る この行為に理屈は必要ない」、「男の化粧品には匂いなど必要ない」などがある。

少しそれるが、ここからヒントを得て「Dollar Shave Club」に似合いそうなコピーを考えることもできる。

「男がヒゲをそる この行為に飾りは必要ない」、「男のカミソリにはハイテクなど必要ない」

雑誌は、コピーの宝庫だ。自社製品のターゲットに沿うコピーを考えたい場合、御社の理想とするユーザーターゲットの読みそうな雑誌をくまなくチェックしてみて欲しい。

自社商材とはまったく関連がないコピーの中にも、魅力的なキーワードを探し出せるはずだ。

この人についていきたい!男心をくすぐる力強いストーリー

もうお気づきだろうが、動画の中で、語りに語るこの男こそ「Dollar Shave Club」のCEOであるMichael Dubinだ。

彼は、趣味でコメディアンもしていたというから、さすがの表現力である。

少し緩めたネクタイの襟元、ノージャケット、まくった袖口……「俺はCEOだけど、出荷の荷造りもやってるぜ!」といわんばかりの風貌は、ユーザーイメージにもかなり近く、ターゲットユーザーに親しみやすさと憧れを感じさせる。

その彼が語る理念はこうだ。

「男性用カミソリに振動機能やフラッシュライトなんてものは本当に必要なのか?(それって有名ブランドの陰謀じゃない?)これからも、おとなしく、そういうブランドカミソリに毎月20ドルも払い続ける気かい?」

「お前ら、男だろ? カミソリなんて、シンプルで、安くて、そこそこイイ感じに剃れればいいんじゃね?」という挑発的な言葉まで聞こえてきそうだ。

その巨大な敵を相手に素手で立ち向かうかのような男の姿は、「弱きを助け、強きをくじく」という男性ユーザーの“本能”に火をつける。 業界での自社の「位置づけ(ポジショニング)」をうまく利用した見事なストーリー展開である。

また、ここまでユーザーの心をかきたてた後、販売方法についてはサブスクリプションコマースを採用したことが、より効果的に働いている。 ユーザーはこの勧善懲悪?の仲間になりたくてウズウズしてしまうのだ。 だが、たった1度商品を単体購入したところで、その連帯感は得られない。

しかし、定期的に、継続的に、商品を購入できれば、「メンバーシップ」という称号を与えられ、強力な仲間意識を満たすことができるのだ。

まとめ

いかにユーザーを惹きつけ、その“本能”をかきたてるストーリーが描けるのか、かきたてた後の販売方法はどうすれば、より効果的か。 こういった設計フローをしっかり構築できれば、広告費の不足分はいくらでも補うことができる。

制作費の違いはあるが、“本能に訴える”成功事例として、現在TV放映中のサントリー・ペプシネックス ゼロ『桃太郎「Episode.1」』篇 の切り口もぜひ参考にして欲しい。

ペプシネックス ゼロ『桃太郎「Episode.1」』篇 Long ver. 小栗旬 サントリー CM

我らマーケターも、いざ、ゆかん! ユーザーの“本能”を狩りとる旅へ。

参考元: Top 11 Most Powerful Content Marketing Examples By Small Businesses Dollar Shave Club Riding the Momentum Created by a Cheeky Video

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