作るだけで終わらない。カスタマージャーニーマップを最大限に活用する

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングの実践にはじまり、戦略の構築にまで活用できるカスタマージャーニーマップ。前回のブログでは、カスタマージャーニーとは何か、またその正しい作り方についてご紹介しました。

しかし、カスタマージャーニーマップはただ作っただけでは効果を発揮しません。そのポテンシャルは、どのような場面で最大限発揮されるのでしょうか。

マーケティング戦略の一部、カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを知り、最終的に購買するまでの、顧客の「行動」「思考」「感情」などのプロセスを図示化したものです。顧客を知り、

売上に至るまでの施策の全体像を示しています。

直接的に売上をあげるものではありませんが、マーケティング戦略の基礎となり、施策の優先順位を決める、つまり売上に直結させるアクションを決めるというところに意味があるツールです。

ここに興味深いデータがあります。アメリカでコンテンツマーケティングを実践している企業のデータです。

BtoBであれば、すでに93%の企業がコンテンツマーケティングを実践している。

でも、効果を感じている企業は42%しかありません。

また、なんらかのコンテンツマーケティングを実践している企業のなかで、およそ4割の企業だけが、戦略を書類化しています。

では、効果を感じている企業は何をやっているのか。

ポイントは戦略です。成果を感じている企業の65%が戦略を構築しています。

最適な戦略を構築したいのであれば、カスタマージャーニーの理解は必須です。

それを図示化するカスタマージャーニーマップは戦略を明確にするためにとても重要なツールなのです。

カスタマージャーニーマップは誰のためにあるのか?

では、具体的にカスタマージャーニーマップを必要とするのは誰でしょうか?

あなたがもしマーケターであったとしたら、当然あなたには必要です。そして戦略を立案したり、あなたの施策実施を承認したりする上長がいるのであれば、その方も対象になるでしょう。

でも、よく考えてみてください。

カスタマージャーニーマップはマーケティング戦略ともいうべき顧客との接点(タッチポイント)の全体像を俯瞰することができる貴重なツールです。実際に施策を実行していくマーケティング部門内での理解に止めるにはあまりにももったいないと思いませんか?言わずもがなですが、顧客と接点を持っているのはマーケティングの担当者だけではないからです。

カスタマージャーニーマップが効果を発揮する場面をいくつかご紹介しましょう。

カスタマージャーニーマップがあってよかった!と思う3つの場面 

(1)部門内の共有:共通認識を持つことで精度の高い施策を実行する

マーケターは日々やらなくてはいけない業務がたくさんあるでしょう。実際は、戦略立案も含めて一人で取り組んでいるというケースも少なからずあると思いますが、仮に上司がいる場合を想定します。上司が今あなたがやっている仕事の細かい内容を都度把握していないということはよくあるのではないでしょうか。

そんなときに上司から「それ、なんでやっているの?」や「どうして必要なの?」と聞かれたとしても、カスタマージャーニーマップがあれば明確に答えることができます。

「Facebookで遊んでばかりいないで仕事をしろ!」と言われてしまうこともなくなるでしょう。また、「これを先にやって欲しいんだけど、今のを後回しにできないかな」といった差し込みの依頼があっても、どの数字を改善するために何の施策をやっているのか、ターゲットの状態や目標値を根拠とした説得力のあるコミュニケーションが可能なので、建設的な相談ができるようになるでしょう。

つまり、カスタマージャーニーマップはコミュニケーションの土台の役割を果たしているのです。共通認識を得られるため上司やチームでのコミュニケーションが円滑になります。

具体的な業務でイメージしやすいのは、コンテンツマーケティングのプランニングの場面です。コンテンツマーケティングにおいて、コンテンツをつくる際の羅針盤になるというのは前回のブログでも触れたとおりです。カスタマージャーニーに立ち返ってもらえれば、なぜこのコンテンツが必要なのか、そのコンテンツの果たすべき役割は何かということが明確になります。どこでユーザーが脱落しているのかがわかるので、穴をふさげるようになるのです。ボトルネックになっている個所と最適なチャネルを見つけ出し、実際にアクションに落とす。その指標となるのがカスタマージャーニーマップなのです。 

そして、予算配分もやりやすくなります。延々と稼いでくれるチャネルはほとんどありません。キーワードが少なくなってきたらSEOの効果が落ちるかもしれませんし、リスティングも効果が落ちてくることもあります。そのとき、ペルソナ(自社にとって理想のお客様)が使っているチャネルは何かを確認し、次はなにをやるのが効率的か、適切なチャネルを判断し、予算をスムーズに配分できるようになるのです。

描いたカスタマージャーニーがうまく機能し、集客・顧客の獲得・育成に繋げられているかどうかを知るためには、顧客の行動を把握して仮説構築に役立てる仕組みが必要です。こうした仕組みをシステムの導入で可視化や自動化できたら……という期待は、昨今のDMP(データマネジメントプラットフォーム)やマーケティングオートメーテョンツールへの興味の高まりにも繋がっているのではないでしょうか。

仕組みをうまく活用し、実際に導線やコンテンツの最適化については、細かく人力でチューニングすると強みが発揮できるようになります。

(2)営業部門と協働する場面:共通言語化して心地よい顧客接点を作り出す

カスタマージャーニーマップ上、マーケティング施策と営業活動は繋がっています。顧客との接点を分担して持っているようなものです。

そのため、営業担当者も施策の全体像を理解し、自身の営業活動の前後にどのようなコンテンツがあるのかを把握することで実際の業務を進めやすくできるようになります。

想定したカスタマージャーニーどおりに進んでいる顧客であれば、セミナーの情報や公開しているebook、導入事例といったコンテンツについて聞かれることもあるでしょう。万が一、そのとき営業担当者がその内容や存在を知らないと問題です。お客様を不安にさせてしまうかもしれません。

また、両部門で一緒にコンテンツを作ったり、企画を進めたりする場合にもギャップを埋める効果を発揮します。

先ほどの上長との例と同様に、営業からマーケターへ「早くこれをやってくれ」という依頼があったとき、カスタマージャーニーマップの共通理解があれば、「もう少し前の段階のコンテンツが先に必要だから、優先順位は次にして取り組みたい」ときちんと説明をすることで、理解を得られるようになります。また違う場面で、営業からマーケターに「現状のコンテンツではカスタマージャーニーマップで描いたとおりの効果は見込めなさそうだ」といった顧客の反応のフィードバックがあれば、その内容の改善を進めることができるようになります。

通常の仕事をしているだけでは、そういったギャップに気づくことはあまりありません。カスタマージャーニーマップによって全体を俯瞰すれば、ひとつの仕事レベルではなく、全体としてどこが問題になっているのかについても気づきやすくなります。

カスタマージャーニーマップの存在が認識のかい離をなくし、マーケティングや営業の施策を円滑に進めること、また、さらに効果を出せるように改善することを助長するのです。

(3)社内教育の場面ー点から線へ。業務への意識を改革する

とくに、企業の経営者や事業責任者といった上位層の方にも知っていただきたいことですが、カスタマージャーニーマップは社内教育にも活用することができるツールのひとつです。

自分たちが行っているビジネスへ顧客が初めて接するところ(入り口)から購入(出口)までの道筋をざっくり把握するには、カスタマージャーニーが便利です。その顧客との接点において、自分がどういう役割をはたすべきなのかも一目瞭然になります。

自分の業務だけでなく、自分の業務のミッション、別の部門のミッションも把握すれば、お客さんのニーズに応えられるような動き方ができるはずです。自分の仕事は何のためにあるのか。次にどのような活動が待っているのかを知れば、今やるべきことも見えてきます。

カスタマージジャーニーのなかで、顧客との接点にはさまざまな役割の人が登場します。とくにWEBは”SEO担当者”のように「点」での仕事のイメージが強いのですが、その作業がどういう施策につながっているのかを理解できておらず、取りこぼしが発生してしまうことがあります。その点、カスタマージャーニーマップは図なので、施策を「点」ではなく「線」で理解しやすくなります。

特定の職務のマーケターに限った話ではなく、営業担当者にも、サポートの担当者にも、開発部門や製品企画部署の担当者も同様のことが言えます。自社の製品やサービスはどのようなお客様に、どのように認知されているのか、どのような利点を認められているのか、具体的にどんな情報を提供することで商談となったのか、把握しているのとしていないのとでは、業務の質に大きな違いが生まれてくるでしょう。

繰り返しになりますが、顧客接点を作るのはマーケティングだけではありません。営業部門や開発・生産部門、経営層など他の役割を担う人たちともマーケティング戦略や顧客に対するアクションを共有し、企業としてのマーケティング活動を充実させていくことは重要な課題です。

実現したいことの意味や価値、そこに至るまでの前提情報について理解がなく、組織が縦割りになってしまうと、施策の評価もゆがんでしまいます。

まとめ

このように、カスタマージャーニーマップは戦略の一部を具現化したものであると同時に、とても有能な社内のコミュニケーションツールとも言えます。

お客様が誰であるか考え、お客様の気持ちになって思考するという重要なマーケティング活動の第一歩。図示化したもので全社で共有することにより、マーケティング活動の効果は必ず変わってくるはずです。

マーケティング部門のアクションは、売上に貢献するための顧客に向き合った活動だと理解を得られ、その流れを理解したうえで営業担当者も顧客のフォローを行うようになります。ただ役割だからではなく、本質的に顧客と自社がどのように関係構築していくかを知ることで初めてその業務の意味を知ることもあるでしょう。

また、顧客に対する活動は営業やマーケティングだけが作り出すものではないため、販売の場面に限った話ではありません。顧客(見込み顧客も含めて)や顧客と自社との接点に関する情報は、サポート、製品開発や事業開発、広報……さまざまなセクションで価値ある情報になるでしょう。もちろん、経営者にとっても。

いかがでしょう。

作成したカスタマージャーニーマップを社内で共有したり意見交換したり、していますか?

まだ作っていない方は、改めて見ると自社はどうなっているんだろう、と気になりませんか?それぞれの業界、商材、ペルソナによって、アレンジは必要ですが、作り方やサンプルはこちらを参照しつつ、ぜひ取り組んでみてください。

理想としては、全社で把握・共有することと個別に応用することです。

さまざまなフィードバックを盛り込んでいけば、やがてカスタマージャーニーマップそのものが成長し、マーケターだけでなく全社員を巻き込んで、顧客満足を追求した活動を実現させるツールにもなるでしょう。